概要
発疹熱とは、発疹熱リケッチアという細菌を原因として発症する感染症のことを指します。野生のネズミなど齧歯類が、この細菌の病原巣となります。
主に衛生環境の整っていない海外でみることの多い感染症ですが、まれに日本国内でも発症することのある病気です。
治療をしなくても自然に治癒することのある病気ですが、まれに重症化することもあるため注意が必要です。
原因
発疹熱は、発疹熱リケッチア(Rickettsia typhi)に感染することを原因として発症します。
発疹熱リケッチアは、ネズミに寄生する傾向のあるネズミノミの体内に潜伏する細菌で、ネズミノミの糞便の中に混入することがあります。
そのため、主にネズミノミに刺されることや、皮膚の引っかき傷などを介して、発疹熱リケッチアが体内に入り込むことで感染が成立します。
発疹熱リケッチアは、衛生環境の整っていない地域に多く分布することが知られており、流行地域からの国内持ち込み例として発症することがあります。
保健衛生の関係上、国内での発症報告は少ないですが、病原体が潜むノミは日本でも生息が確認されています。そのため、頻度は高くないとはいえ病気を発症するリスクはあります。
症状
発疹熱リケッチアの混入がみられるノミとの接触後、2週間前後の潜伏期間を経て病気の発症に至ります。
生じる可能性のある症状としては、発熱や寒気、全身倦怠感、筋肉痛、食欲低下、関節痛など、インフルエンザにも類似した症状を挙げることができます。また、吐き気や嘔吐、腹痛、咳などの症状が現れることもあります。
さらに、病名からも推察されるように、体幹を中心とした発疹の広がりを確認することもあります。
多くの場合、治療を行わなくても自然に治癒します。しかし、重症化するケースもあり、その際には肝臓や腎臓、心臓、肺、脳など全身各所の臓器が障害を受けます。
その結果、黄疸や尿量の低下、息苦しさ、意識障害などの症状が出現し、命にかかわる可能性もあります。
検査・診断
発疹熱リケッチアに感染すると、体内では病原体を排除しようという免疫反応が構築され、抗体と呼ばれるタンパク質が産生されます。
そのため、血液検査を行ないこの抗体を検出することで、発疹熱の感染を証明することがあります。ただし、一度の抗体検査でははっきりしないこともあるため、複数回の血液検査を要する場合もあります。
また、血液を用いてPCR法と呼ばれる方法を行い、遺伝子検査を行うことで診断することもあります。
発疹熱は時に重症化することもあるため、臓器障害の評価を目的とした血液検査や尿検査などが検討される場合もあります。
治療
発疹熱は無治療でも自然に治癒することのある病気ですが、治療が必要と判断される場合には、テトラサイクリン系と呼ばれる抗生物質を用いて治療します。
軽症で済むことが多いとはいえ、時に重症化することもあります。そのため、予防策を講じることも重要です。
具体的には、感染経路であるノミとの接触をさけるために、衛生環境の向上を努めることが重要です。また、ノミの付着が疑われる動物とは極力接触を避けることも大切です。
医師の方へ
「発疹熱」を登録すると、新着の情報をお知らせします
関連の医療相談が10件あります
解熱後の熱せん妄について
夕方から熱が上がり、19時頃38.5℃の発熱がありました。受診し、喉の風邪と診断されています。(検査はしていません。) その後すぐに服薬なしで自力で解熱し、21時頃には37.2℃程となり就寝しましたが、夜中の3時頃せん妄の症状が出ました。 我に返るまで5分程、何かを怖がり抱きついたり、意味不明な言葉を発していた状態です。 検温しましたが、その際も発熱はなく37.1℃でした。 熱せん妄は発熱時に何度も経験していますが、解熱後のせん妄は初めてです。 解熱していてもせん妄は起きるものなのでしょうか。 もしくは、気になる症状として再受診した方が良いのでしょうか。
解熱後の発疹について
2回突発性発疹にかかることはあるのでしょうか? 1回目は0歳児にかかり、熱は出ずに発疹だけでした。 今回2日間の熱が出て(38〜40度)、解熱後1日半経ってから発疹が出てきました。 他の風邪の症状などはありません。 熱が出た時は小児科へ行き、コロナやインフル、血液検査などしてもらいましたが、白血球が少ないくらいで頓服だけ処方してもらいました。 やはり発疹の具合を見て明日以降病院へ行くべきでしょうか? その場合同じ小児科でよろしいでしょうか?
わきのしたのしこり
コロナにかかり、自宅療養中です。熱が3日続きましたが、下がったので、入浴しました。そしたら、右脇の下にしこりが3個発見しました。痛みはありませんでしたが、次の日から痛みをかんじるようになりました。コロナ療養後すぐ病院にいったほうがいいでしょうか?
しびれ、を伴う失神、多汗の症状
数日前に発熱と咳がでました。新型コロナ抗原検査で陰性で自宅で休んでいました。熱が下がったあと、布団から起き上がり数歩歩いたときにめまいと同時に指先や足先からしびれた様な感覚になり、とっさに柱を握りました。気がつくと子供が「落ち着いて」と声をかけてくれていてなぜ自分がそんなところに座っているのかわからなかったのですが、すぐに「めまいする」っていってたなぁと状況を思い出しました。起立性失神かと思ったのですが、翌日仕事で真夏に着込み作業をしていると動悸とクラクラしてまた、しびれるかんじがしたので座らせてもらい事なきをえました。その後他の人に指摘されてきづいたのですが服が透き通るくらい汗をかいていて、過去にない量でした。クーラーのきいた部屋にいても1時間ほど汗が止まらずでした。色々しらべると起立性以外に更年期とかにもあてはまるのか思い、何科を受診するべきか発熱からの体調不良なら完全に治るまでようすをみるべきか悩んでいます
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。