紅色陰癬

概要

紅色陰癬とは、コリネバクテリウム・ミヌティシマム（Corynebacterium minutissimum）と呼ばれる細菌によって引き起こされる皮膚感染症を指します。

陰部や腋(わき)の下など、皮膚がこすれあう場所に生じることが多い病気です。皮膚の色の変化やひび割れ、またかゆみなどの症状が現れることがあります。

高温多湿な環境を好む細菌であるため、夏場や汗をかきやすい方はとくに注意が必要です。

原因

紅色陰癬の原因となる細菌であるコリネバクテイルム・ミヌティシマムは、高温湿潤環境を好む傾向にあります。

そのため、汗をかき湿潤環境になりやすい皮膚のこすれあう場所で症状を引き起こしやすいです。具体的には、陰部周辺や腋(わき)の下、乳房の下などにおいて生じやすいです。

誰にでも生じる可能性はありますが、糖尿病をはじめとした免疫機能が低下している方に起こりやすいです。そのほかにも、高温多湿になりやすい夏場、汗をよくかく方や肥満の方、局所の不潔状況なども発症しやすい要因です。

また、紅色陰癬が発症しやすい環境・状況は、いわゆるカビである真菌感染が生じやすい状況とも一致します。そのため、真菌感染症を同時に合併することもあります。

症状

紅色陰癬では、陰部周辺や腋(わき)の下、乳房の下などの皮膚と皮膚が擦り合わさる場所において起こりやすいです。具体的な症状としては、ピンク色や褐色調の皮膚の変化が起こります。

また、皮膚にひび割れが生じたり、カサカサと皮膚がはがれ落ちたりすることもあります。さらに、このような皮膚の見た目の変化に加えて、かゆみを伴うこともあります。

検査・診断

紅色陰癬は、皮膚に生じた変化を詳細に評価することで診断されます。原因の項目で記載したように、紅色陰癬が生じる状況では真菌感染などの合併が起こることもあります。

これらとの鑑別を行うために、皮膚の一部を擦りとってそれを顕微鏡で観察する検査を行うことがあります。

また、紫外線を用いて病変部位を観察し、紅色陰癬に特徴的な変化を確認することもあります。紅色陰癬では、紫外線をかざして観察することで病変部位が赤色に変化します。

治療

コリネバクテリウム・ミヌティシマムと呼ばれる細菌を原因として発症する病気であるため、抗生物質の外用薬もしくは内服薬を使用します。どのような治療薬を使用するかは、皮膚病変の広がり具合や糖尿病などの合併状況を加味して判断されます。

また、真菌感染症の合併が起こっている場合には、抗真菌薬を同時に使用することもあります。

紅色陰癬は、局所の湿潤環境が原因で再発することもあります。局所をタオルで拭き取る、もしくはシャワーを浴びるなどで局所を清潔に保つことが、病気の発症・再発予防の観点からは重要です。

また、高温環境では汗もかきやすくなるため、室内環境を涼しくすることも重要な要因と言えます。

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