原因
肥厚性皮膚骨膜症は、SLCO2A1やHPGDと呼ばれる遺伝子に異常が生じることによって発症します。
SLCO2A1やHPGD遺伝子は、どちらもプロスタグランジンE2の代謝にかかわるタンパク質をつくっています。プロスタグランジンE2は発熱や骨吸収などに関係したはたらきがある物質で、細胞の外から中に取り込まれる必要があります。しかし、SLCO2A1遺伝子に異常があると、細胞内にプロスタグランジンE2がうまく取り込まれなくなります。また、HPDG遺伝子に異常があると、プロスタグランジンE2の分解が障害を受けることになります。
このどちらの遺伝子異常であっても同様にプロスタグランジンE2が体内で蓄積する結果に至ります。プロスタグランジンE2は、健康な体であっても存在する物質ではありますが、過剰に存在することで病的な意義が見られると考えられています。
肥厚性皮膚骨膜症は、「常染色体劣性遺伝」といった遺伝形式をとります。人の細胞の中にSLCO2A1やHPGD遺伝子はそれぞれ2組、父親と母親からそれぞれひとつずつ受け継いでいます。ひとつの遺伝子(たとえばHPGD遺伝子)に異常が存在する場合、残りのひとつが正常な酵素機能を代償することができるため、病気を発症することはありません。一方、両親ともがひとつずつ異常なHPGD遺伝子を持っている場合、理論的に25%の確率でお子さんが異常なHPGD遺伝子を2つ持つことになり、結果として病気を発症します。そして、50%の確率でお子さんが病気の保因者になります。
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