治療
胃MALTリンパ腫の多くはピロリ菌感染を併発しており、ピロリ菌陽性で病変が胃以外の臓器に広がっていない場合、すなわち限局期(Lugano病期分類)では、ピロリ菌の除菌治療が第1選択です。除菌治療では胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)またはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)と、アモキシシリン、クラリスロマイシンの2種類の抗菌薬を組み合わせて1週間内服投与する3剤併用療法が行われます。この一次除菌が不成功の場合はクラリスロマイシンをメトロニダゾールに替えた二次除菌を実施します。一次除菌の成功率は約70~90%であり、二次除菌の成功率は約80~100%です。除菌治療による奏功率は50~80%といわれています。除菌治療後3〜6か月ごとに上部内視鏡検査で病変を観察し、生検検査を行います。除菌治療後MALTリンパ腫が消失するまでの期間は2か月~数年と報告されています。
一方、除菌治療が無効の場合やピロリ菌が陰性の場合(胃MALTリンパ腫の10%はピロリ菌陰性)また除菌が成功したが腫瘍が縮小しない場合には、放射線治療(総放射線量25~40グレイ)や抗がん薬を使用する化学療法、分子標的薬のリツキシマブによる抗体療法などを組み合わせて治療を行います。
進行期(Lugano病期分類)の胃MALTリンパ腫ではリツキシマブ単独または化学療法との併用が行われます。なお、進行期でも症状がない場合や低腫瘍量である場合は、慎重な経過観察(watchful waiting policy)が適用されることがあります。
なお、過去には胃MALTリンパ腫に対して手術による切除が行われていたこともありましたが、現在ではほとんど行われません。
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