概要
胃憩室とは、胃の壁の一部がポケットのように飛び出ている状態のことを指します。憩室は、胃に形成されることはまれであり、消化管のなかでは大腸や十二指腸、食道に多くみられます。
胃憩室の多くは無症状ですが、ときに胃の不快感や吐き気、腹痛などの症状を引き起こすことがあります。こうした症状がある場合や出血などを伴う場合には、手術が検討されます。
原因
先天的なものと後天的なものがあります。
先天的なもの
胎児期の発生において、胃は十二指腸や膵臓などと複雑な位置関係を形成します。この、胃が形成される過程に異常を生じることで胃憩室が発生します。
後天的なもの
胃潰瘍や胃の悪性腫瘍、膵炎、消化管の閉塞性疾患などが原因となります。また、胃の手術に伴う合併症として胃憩室が発生することもあります。
症状
多くの場合症状を認めず、別の理由で行われた上部消化管の透視検査(胃バリウム検査)などによって偶発的に憩室を指摘されます。
ときに症状を引き起こすことがあり、この場合には、胃の不快感や吐き気、腹痛、胸焼け、食欲不振、体重減少などがみられます。
また、病変部位から出血したり、胃憩室の壁が破れる穿孔が生じたりすることもあります。
検査・診断
胃憩室は、造影剤であるバリウムを飲んだあとにレントゲンで消化管を観察する上部消化管X線検査によって指摘されます。
その他、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)や、造影剤を血管内に注入して撮影するCT検査によって、胃憩室が確認されることもあります。
患者さんに症状がなく、検診などの際に上記検査が行われ、偶発的に胃憩室を指摘されることが多いです。
治療
多くの場合は症状を認めず、特別な治療が行われずに経過観察となります。
胃の不快感や胸焼けなどの自覚症状がある場合や、憩室からの出血がある場合には、対症療法が行われることがあります。具体的には、胸焼けに対して胃薬が用いられたり、止血のために内視鏡下でアドレナリンが使用されたりします。
症状が強い場合や、胃憩室の穿孔がみられた場合などには、手術による根治的な治療が検討されます。
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