せんようのうほうがん

腺様嚢胞がん

最終更新日:
2020年05月21日
Icon close
2020/05/21
掲載しました。
この病気の情報を受け取るこの病気は登録中です

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

医師の方へ

概要

腺様嚢胞(せんようのうほう)がん(adenoid cystic carcinoma:ACC)は、粘液や消化液などを産生する“分泌腺”から発生するがんです。多くは耳下腺や顎下腺などの大唾液腺に発生し、それ以外にも口腔内の小唾液腺や鼻の中の分泌腺など、頭頸部(顔や首周り)に発生するとされていますが、食道、肺、乳腺、子宮頸部などの分泌腺に発生するケースも報告されています。

腺様嚢胞がんは非常に珍しいがんのひとつであり、1年間で新たに発症するのは10万人に6人未満とされています。また、発症しやすい年代は40~60代で、男女比はほぼ同等です。

症状は発症した部位によって大きく異なりますが、子宮頸部などに発生した場合は症状が現れにくく発見が遅れることも少なくありません。しかし、腺様嚢胞がんは周囲の器官や組織を破壊しながら大きくなり、再発・転移を起こしやすいため進行すると治療が難しくなるとされています。

原因

腺様嚢胞がんは分泌腺の細胞が異常増殖することによって引き起こされますが、現在のところ、はっきりとした発症メカニズムは解明されていません。

症状

腺様嚢胞がんの症状は発症した部位によって大きく異なります。

頻度の高い耳下腺や顎下腺などの腺様嚢胞がんでは比較的早い段階からしこりが触れるようになります。しこり自体に痛みはありませんが、腺様嚢胞がんは周囲の器官や組織を破壊しながら大きくなっていくため、進行すると痛みやしびれ、顔面神経麻痺などを引き起こします。一方、鼻腔内に発生した場合は鼻づまりや鼻血、口の中に発生した場合は物が飲み込みづらくなったり、言葉を発しにくくなったりなどさまざまな症状が現れます。

また、腺様嚢胞がんは進行するスピードは比較的緩やかであるものの、転移や再発を起こしやすいのも特徴のひとつです。このため、最終的には長い経過を経て重篤な状態になることも少なくありません。

検査・診断

腺様嚢胞がんが疑われるときには次のような検査が行われます。

画像検査

がんの位置や大きさ、周辺の器官への影響を調べるために行われる検査です。画像検査にはさまざまな種類がありますが、腺様嚢胞がんでは超音波検査、CT検査、MRI検査などが行われます。また、腺様嚢胞がんは転移を起こしやすいため、病気が発見された場合は転移の有無を確認するため全身のCT検査が行われることも少なくありません。

病理検査

腺様嚢胞がんの確定診断に必須の検査です。検査では、がんの組織の一部を採取して顕微鏡で詳しい観察が行われます。検査に必要ながんの組織は、皮膚や口の中などに触れるしこりに表面から針を刺して組織を抜き取る“針生検”で採取されるのが一般的です。一方で、肺や食道、子宮など針を刺すことができない部位に発生したケースでは内視鏡や胸腔鏡などを用いて採取することもあり、体への負担が大きな検査となります。

治療

腺様嚢胞がんの治療は基本的に手術による切除が行われます。化学療法や放射線療法などが有用との報告も多数ありますが、治療法としては確立しておらず、手術が選択されるのが一般的です。

また、腺様嚢胞がんは再発を起こしやすいため、病変の周囲を広範囲に切除する必要があります。このため、顔面などに発生したものなど広範囲の切除が難しいケースでは、手術後に再発予防を目的として放射線治療を追加することも少なくありません。

医師の方へ

医師向けの専門的な情報をMedical Note Expertでより詳しく調べることができます。

この病気を検索する

「腺様嚢胞がん」を登録すると、新着の情報をお知らせします

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

実績のある医師をチェック

腺様嚢胞がん

Icon unfold more