さいたいけんらく

臍帯巻絡

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概要

臍帯巻絡(さいたいけんらく)とは、臍帯が胎児の体(首の周りや腕、足、胸腹部など)に巻きついてしまった状態を指します。

臍帯(さいたい)とは、妊娠中にお母さんと胎児をつないでいる「へその緒」のことです。臍帯は、血液を胎児へ送ることにより栄養分や酸素など発育に必要な成分を与える大切な役目を持っています。臍帯は胎児が子宮内で自由に動き回っても問題ないようにある程度の長さを保っています。これは血液の供給を途絶えさせないために重要なのですが、長さに余裕があるということは、胎児の体に巻きついてしまう可能性があることも意味しています。

すべての胎児に起こり得る可能性があり、決してまれなものではありません。巻きつく部位はほとんどが頸部(首の周り)とされています。多くは一周する一回巻絡ですが、ときに二回以上巻きつく場合もあります。

原因

母体(お母さん)側の原因で発生することはありません。過長臍帯(正常な臍帯よりも長いもの)や活発な胎児の運動が原因になりうると考えられていますが、過長臍帯があると必ずしも臍帯巻絡が生じるわけではありません。どんな年齢の方にも発生する可能性があり、多胎(双子や三つ子など)の場合でも同様に発生することがあります。

症状

お母さん側に特に症状はありません。陣痛が始まるより前の妊娠期間中に発生する場合もありますが、分娩経過中に発生した場合には、陣痛時の子宮収縮により臍帯部分が圧迫されます。これにより胎児への充分な酸素が送られず、胎児心拍の低下(胎児が酸素不足により苦しいことを示すサイン)が認められることもあります。また、胎児に巻きついているぶん、臍帯の長さが短くなり、陣痛がきていても、なかなか胎児が降りてこられない状態となり、遷延分娩(通常より余計に分娩時間が長くかかってしまうこと)につながる場合もあります。

検査・診断

分娩前に把握するためには超音波検査が有効です。毎回の妊婦健診で行う超音波検査でも、胎児の首の周りに臍帯が巻きついているかは判断できることが多く、特に2回以上巻きついている場合には分娩時に注意が必要と判断されます。胎児心拍の低下が起こるかどうかは、分娩開始前は胎児心拍モニタリング、分娩経過中は胎児心拍陣痛図という測定機器で判断が可能です。母体の血液検査やレントゲン検査ではわかりませんので、超音波検査が唯一の検査といえます。

治療

胎児の体に巻きついた臍帯を外してあげることはできないので、間接的な対応を検討することになります。分娩開始以前、つまり陣痛が始まる前の段階では、まずは経過観察となります。

胎児は羊水の中に浮かんでいる状態のため、陣痛がなければ臍帯の圧迫等で苦しくなる可能性は通常低いです。しかし、胎児心拍モニタリング検査で胎児心拍の異常が認められたときは、外来もしくは入院での慎重な胎児心拍モニタリングを継続します。改善しない、もしくは悪化する場合には、必要に応じて分娩のための処置(このような緊急の状況では、緊急帝王切開術が選択されることが多い)が行われます。

陣痛が始まった後であれば、分娩までにかかる時間と胎児の心拍異常の程度を総合的に判断し、経腟分娩か帝王切開術かが検討されます。経腟分娩の場合でも、胎児を早く出してあげるために器械分娩(吸引分娩や鉗子分娩といって医療器具を用いて胎児を引っ張り出す処置)が必要となることがあります。