概要
頭部白癬とは、髪の毛に皮膚糸状菌が寄生することで生じる病気を指します。「しらくも」と呼称される場合もあります。
皮膚糸状菌には数多くの種類のものが含まれていますが、代表的なものとして水虫を引き起こす真菌が挙げられます。頭部白癬の病原体として知られるものは、Trichophyton tonsuransやMicrosporum canisなどと呼ばれる皮膚糸状菌です。
頭部白癬は、まれな病気ではありますが、感染力が強く皮膚と皮膚の接触を介して人から人へとうつることもあるため、注意が必要です。
原因
皮膚の接触を介して人から人へとうつることもある病原体であるため、近年では、格闘技や柔道、レスリングなど、濃厚な体部接触機会が多いスポーツを行う方に流行する病気として知られるようになっています。
頭部白癬を引き起こす皮膚糸状菌は感染力がとても強く、治りにくいことも特徴です。明らかな自覚症状がないまま経過することも少なくないため、知らず知らずの間に他人へとうつしてしまう危険性もある真菌といえます。
症状
フケが大量に出る、髪の毛が抜けやすくなる、髪の毛が折れやすくなるなどといった症状が現れます。皮膚糸状菌が感染している部位の頭皮が赤くなり、かさぶたのようなものができることもあります。
髪の毛が抜けてしまったり、折れてしまったりすることから限局的な脱毛がみられることもあります。頭部白癬ではかゆみや痛みを伴わず、明らかな自覚症状のないまま経過することもあります。
臨床経過は慢性的に経過し、多様な経過をとることから診断されるまで時間がかかることも少なくありません。
検査・診断
頭部白癬の検査では、皮膚糸状菌の感染が疑われる髪の毛を採取して、顕微鏡で観察を行います。観察により病原体を確認することができれば頭部白癬と診断が可能です。
この検査は外来で行うことができる検査であり、結果がでるのも比較的早い検査といえます。そのほかにも、髪の毛に寄生する皮膚糸状菌を培養検査にて特定することもあります。
治療
頭部白癬では、抗真菌薬を用いて治療を行います。外用薬では治療効果を充分得ることができないため、抗真菌薬を内服することで治療します。日常生活においては、頭皮の清潔を保つことを心がけることが大切です。
頭部白癬では明らかな自覚症状がないまま経過することも少なくないため、診断までに時間がかかることもあります。その間、知らず知らずのあいだに周囲の人に病気を広げてしまうことも懸念されます。
不用意に他者に広げてしまうことがないよう、頭皮や髪の毛に疑わしい変化がある場合には、早い段階で医療機関を受診することが大切です。
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