白癬は、白癬菌という真菌(カビ)に感染することによって発症する皮膚疾患で、一般的には水虫と呼ばれています。
白癬(水虫)は足に起こると考えられがちですが、白癬菌は足だけでなく、手や頭、爪など全身に感染し、感染部位に様々な症状を起こします。白癬(水虫)の症状は、皮膚に赤みや痒みが出たり、水疱ができたり、皮膚がカサカサしたりと、原因となる白癬菌の種類や、感染部位によって異なります。他の皮膚疾患で白癬(水虫)の症状に似た症状が現れることも多いため、鑑別には注意が必要です。
白癬(水虫)の種類と詳しい症状について、帝京大学医学部附属溝口病院 皮膚科科長 清 佳浩先生にお話しを伺いました。
白癬(水虫)は白癬菌という真菌(カビ)が、皮膚の角質に感染することで起こる皮膚感染症です。
『水虫』と聞くと、足の皮膚疾患の印象が強いですが、白癬菌による病変は、髪の毛や爪を含む全身に起こります。
白癬(水虫)の原因となる白癬菌のほとんどは人間の角質層に住みついており、感染者から剥がれ落ちた角質(垢やフケなど)を介して、人から人へと感染していきます。
つまり人間の垢やフケなどが多数存在している、温泉やスポーツジム、プールなど、様々な場所に白癬菌は潜んでいるのです。
家庭内に白癬(水虫)の感染者がいる場合は、絨毯やバスマット、トイレのスリッパなどに白癬菌がみられることが多く、これらの家財道具を共有することで家族間での感染が起こるケースもあります。
白癬(水虫)は、性別や年齢関係なく、条件が揃えば誰でもかかる可能性がある疾患です。前項でも述べたように、白癬菌は私たちの身近なところに存在しているからです。
しかし、白癬菌に触れてもすぐに白癬(水虫)にかかるわけではなく、一定の条件を満たしてはじめて感染します。
白癬菌に感染しやすくなる条件として、皮膚に白癬菌が24時間接触していることが挙げられます。これは白癬菌が人間の角質に入り込むのに24時間かかるといわれているためで、こまめに体を洗い流すことを意識すれば感染の確率を下げることができます。
また、白癬菌は高温多湿なところで繁殖するという特徴があり、必然的に夏頃に白癬(水虫)にかかりやすくなります。ですから、白癬菌の繁殖を防ぐためには乾燥を保つ工夫が大切です。
たとえば足白癬(足水虫)の場合、指の間をきちんと洗って清潔にし、乾燥を保つだけで、白癬菌の多い環境下でも感染を予防することができます。
一般的に『水虫』といえば、足に感染した足白癬(足水虫)のことを指すことが多いのですが、感染部位によってそれぞれ別の名前がついています。
また、白癬(水虫)の症状は、原因となる白癬菌の種類や感染部位によって異なります。
足白癬(足水虫)は白癬(水虫)のなかでも圧倒的に多いタイプです。
足白癬(足水虫)は主に、趾間(しかん)型、小水疱型、角質増殖型に分けられます。
趾間型の足白癬 提供:清先生
足の指の間にできることの多い趾間(しかん)型の足白癬(足水虫)は、もっとも多くみられるタイプの足白癬(足水虫)です。指の間がジュクジュクとふやけて、かゆくなります。さらに症状が進行すると、皮膚がただれることもあります。
小水疱型の足白癬 提供:清先生
小水疱型の足白癬(足水虫)は、足の側面や土踏まずに、赤い小水疱(水ぶくれ)が多数できます。水疱にはかゆみを伴います。
角質増殖型の足白癬 提供:清先生
角質増殖型の足白癬(足水虫)では、かかとの角質が厚くなり、カサカサと白っぽく粉をふいているようになります。かゆみがほとんどないので、白癬(水虫)だと気づかずに治療しない方もいます。
上半身にみられる体部白癬 提供:清先生
頬にみられる体部白癬 提供:清先生
うぶ毛の生えている全身の皮膚にみられる体部白癬(たむし・ぜにたむし)や、性器や臀部、鼠径部などの股間周辺にみられる股部白癬(いんきんたむし)は、かゆみを伴った赤い湿疹が現れることが特徴です。
足白癬(足水虫)の症状が進行して体部・股部に広がって、体部白癬(たむし・ぜにたむし)や股部白癬(いんきんたむし)になることもあります。
頭部白癬 提供:清先生
『しらくも』と呼ばれることもある頭部白癬では、フケが大量に出る、髪の毛が抜けやすくなるといった症状がみられます。また、症状が進行すると、頭皮が赤くなり、かさぶたのようなものができます。
かゆみがほとんど出ない場合が多いので、治療をせずに放置している患者さんもいらっしゃいます。
頭部白癬(しらくも)は、円形脱毛症や脂漏性皮膚炎などの他の疾患と間違われやすく、誤診によってステロイド外用剤などを使用し、症状が悪化することも多いので注意が必要です。
手白癬 提供:清先生
手のひらに症状が出る手白癬(手水虫)は、ほかの白癬(水虫)に比べるとまれなタイプですが、足白癬(足水虫)と同じように、趾間(しかん)型、小水疱型、角質増殖型に分けられます。
手白癬(手水虫)の場合は、角質増殖型の患者さんが圧倒的に多く、手のひらがカサカサする症状から、手荒れと間違えられることもあります。
足にできた爪白癬 提供:清先生
手や足の爪に症状が出る爪白癬(爪水虫)の特徴は、爪が厚くなり白濁していくことです。
症状が進行すると、爪が黄褐色へと変色し、ボロボロと欠けていきます。爪が変形し、皮膚に食い込んで痛みを伴うこともあります。
帝京大学医学部附属溝口病院 客員教授
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手湿疹ですが、痒みと痛みがともなっています。
体が温かくなると痒くなり、身体が冷えたり乾燥していると痛み出します。寝ている時にかきむしっているみたいで(無意識です)一向に良くなりません。皮膚科に通って飲み薬と塗り薬ももらいましたが、使ってはいますが完全には治りません。かきむしっている所はかき餅の表面みたいにひび割れて、つゆが出てきたりしてます。
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