がそくえん

鵞足炎

監修:

概要

鵞足炎とは、膝の内側に痛みや違和感を伴う慢性的な炎症です。鵞足滑液包炎と呼ばれる場合もあります。

鵞足とは、太ももの筋肉から膝の関節のすぐ下にある脛骨(すねの内側の長い骨)につながっている縫工筋(ほうこうきん)半腱様筋(はんけんようきん)薄筋(はっきん)の3つの腱(筋肉と骨をつなぎとめている線維組織)の総称です。この形状がガチョウ(鵞鳥)の足のようにみえることから鵞足と呼ばれます。

スポーツなどで過度に膝を曲げ伸ばしする運動を行うと、摩擦によるダメージが生じて鵞足炎を発症します。膝の内側に痛みが生じ、初期段階では膝を動かしたときのみに痛みが引き起こされますが、進行すると安静にしていても痛みが生じるようになります。主な治療は膝の安静と貼り薬などでの薬物療法となりますが、症状が強い場合にはステロイドの注射が行われることもあります。

原因

鵞足炎は、膝の曲げ伸ばしに伴い、鵞足と膝の内側の骨や靭帯(内側側副靱帯)、腱同士が擦れることによって引き起こされます。通常の運動で発症することは多くありませんが、過度な運動をすると発症につながると考えられています。また、膝を内側にひねる動作で発症しやすくなるほか、鵞足に含まれる筋肉や腱の柔軟性が低い場合にも発症しやすくなります。

そのほか、脛骨に骨軟骨腫(外骨腫)という腫瘍(しゅよう)がある場合や、X脚など脚の形の異常がある場合などは、鵞足への摩擦の原因となり過度な運動をしなくても鵞足炎を発症することがあります。さらに、高齢者は変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)を発症すると鵞足炎を併発するケースも多いとされています。

症状

鵞足炎を発症すると、膝の内側を中心に痛みや違和感が生じるようになります。痛みは膝に負担がかかるジャンプやランニングなどの運動を行った際に引き起こされます。症状が進行すると歩行や階段の昇り降りのみでも痛みが生じるようになり、最終的には安静にしていても痛みを感じるようになります。

さらに重症な場合などには膝を伸ばしきることが困難となり、歩行などの日常動作に支障をきたすケースもあります。

検査・診断

鵞足炎は、膝内側の痛みや腫れ、鵞足を押したときの痛み、鵞足につながる筋肉を伸ばしたときの痛みなどから診断を行います。

鵞足の状態を評価するために画像検査を行うことがありますが、状態によってはX線検査では異常を確認できないため、超音波検査やMRI検査を行うこともあります。

治療

鵞足炎と診断された場合は、膝を安静にすることが大切です。スポーツの内容によっては、症状の程度により休止も必要になります。

軽度の場合はテーピングとアイシングなどを行うことでスポーツを継続できることもありますが、痛みが強い場合など重症であれば、できるだけ膝を動かさないようにする必要があります。

治療としては、鵞足部につながる筋肉のストレッチを行い柔軟性を高めるほか、炎症を軽減するために超音波療法などの物理療法が行われることもあります。

また、炎症や痛みに対して、貼り薬などによる薬物療法が行われます。痛みが強い場合などには、飲み薬が使用される場合や、鵞足の局所にステロイドなどを注射する治療が行われる場合もあります。

一方で、X脚など脚の形の異常や骨の良性腫瘍などが原因となっている場合は、足底板(インソール)の使用や腫瘍の摘出手術などの対応が行われることがあります。

予防

鵞足炎は膝の曲げ伸ばしを伴う過度な運動を行うことにより生じるほか、膝に負担の大きいフォームでの運動も原因となります。運動量が多すぎる場合はその調整が必要になりますが、正しいフォームを身につけることも予防として重要です。

また、鵞足につながる筋肉の柔軟性が低いと発症しやすくなるため、ストレッチを行うことも予防につながります。

最終更新日:
2025年08月06日
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2025/08/06
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

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