概要
黒色真菌症とは、黒色を呈する真菌によって引き起こされる感染症のことを指します。多くの場合は、真菌の侵入門戸である皮膚に症状が出現しますが、ごくまれに目、脳などが障害を受けることもあります。
治療では、病変部位を切除する外科的治療、病変部位を温める局所温熱療法、液体窒素を用いた治療法などが選択されることがあります。また、病原菌に対して効果が期待できる抗真菌薬を使用することもあります。またインターネット上では、クロモミコーシスと検索されることも多いようです。
原因
黒色真菌症の原因となる病原体は複数あり、多くの場合はFonsecaea属やCladophialophora属と呼ばれる真菌によって引き起こされます。その他にも、Exophiala属、Phialophora 属などがあり、病原体によって地域性があることも知られています。
黒色真菌はメラニン色素を含むため、肉眼的に黒い形態を示します。黒色真菌は、土壌や腐敗した植物などに広く生息する真菌であることと関連して、土仕事に従事する方において病気の発症リスクが高いことが知られています。この場合、病原体が皮膚の傷口を介して体内に侵入することで感染が成立します。
症状
黒色真菌症では、侵入門戸である皮膚を中心として、外傷などのあとに、皮膚の盛り上がりやカサカサした感じ、しこりなどの見た目の変化を生じます。進行はゆっくりのことが多いです。
土壌中の黒色真菌に触れることで発症するため、手や足などが好発部位ですが、ときに肩や臀部(おしり)、鼻などにも症状がみられることがあります。見た目の変化に加えて、かゆみや痛みなどの症状を伴うこともあります。皮膚病変の治癒過程で、瘢痕形成をきたすこともあります。
黒色真菌症は、多くの場合は皮膚の症状にとどまる病気ですが、まれに合併症をきたすこともあります。たとえば、脳や角膜などが障害を受けることがあります。
検査・診断
黒色真菌症では、皮膚の病変部位から採取された検体を用いて、KOH直接鏡検、病理検査、培養検査などを行います。これらの検査を通して、黒色真菌が存在することを証明することで病気を診断します。
KOH直接鏡検はKOH液を用いて顕微鏡で観察する検査、病理検査は染色などを行った後に顕微鏡で観察する検査です。特にKOH 直接鏡検は簡便な検査であり、短時間で診断することが可能です。
治療
黒色真菌症では、皮膚病変の大きさや数、患者さんの全身状態、合併症の有無などから総合的に治療方針が決定されます。治療法としては、病変部位を切除する外科的治療、病変部位を温める局所温熱療法、液体窒素を用いた治療法などがあります。
また、病原菌に対して効果が期待できる抗真菌薬を使用することもあります。薬物療法は長期間に渡るため、治療中は副作用の出現に注意が必要です。
医師の方へ
「黒色真菌症」を登録すると、新着の情報をお知らせします