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命に向き合い、患者さんが元気になることが医師の喜び

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命に向き合い、患者さんが元気になることが医師の喜び

心臓血管外科医として多くの命を救い続ける山﨑文郎先生のストーリー

静岡市立静岡病院 心臓血管外科 副院長
山﨑 文郎 先生

心臓の治療をしたいと思い、心臓血管外科の医師として歩む

父の仕事を見て幼少の頃から医師を志した

私の家族はほとんどが医者で、開業医の父が自宅で診療したり往診に出かけたりする様子を見て育ちました。子どもの頃から医師になるのだと心に決めており、高校卒業後は父の出身大学である京都大学医学部に進学しました。

私が医師になった1980年頃は、胃がんなどの消化器疾患の患者さんが多く、父と兄は消化器内科の医師として働いていました。私も、消化器の病気で困っている多くの方を助けるため、消化器内科の道に進もうと考えていました。しかし、当時の京都大学医学部にはまだ消化器内科がなかったことから、将来的に患者数の増加が予測されていた肺がんの診療に携わりたいと考え、呼吸器外科を選択しました。

呼吸器外科から心臓血管外科へ

大学卒業後は、現在の勤務先である静岡市立静岡病院に赴任しました。私が所属したのは、肺外科と心臓外科の診療を担う「胸部心臓血管外科」です。以前は、肺外科では結核の手術療法を行っていましたが、医療の発展により薬剤での治療が可能になったことから、結核の手術件数は減少していました。一方、肺がんの患者さんは増加傾向にあったため、胸部心臓血管外科は、肺がんを診る医師と心臓を診る医師とで2つに分かれていました。私は肺がんの手術をするつもりで赴任したのですが、ここでは心臓の治療を担当するようになりました。

研修期間終了後は、心臓の治療に近いテーマである肺移植の研究をし、トロント大学胸部外科へ3年間留学しました。心臓の治療に携わってきた経験から、高い技術を要する肺保存を担当し、若手の中でもとくに血管縫合の技術には自信を持っていました。

恩師の秋山文弥先生との出会い

静岡市立静岡病院に赴任した当初、同院の呼吸器外科を開設した秋山文弥先生の指導を受け、大きな影響を受けました。先生は陸軍士官学校のご出身で、知力と体力を兼ね備え、また先見の明がある方でした。結核の手術件数が減少していた当時、これからは心臓の手術だといって、心臓外科の技術を学ぶため自ら東京女子医科大学へ行き、心臓外科の開拓に注力されました。また、日本の心臓外科を牽引されてきた先生を招き、当院で手術していただいたり、手術を見ていただいたりしました。

秋山先生は、人の心の機微を知り、人の上に立つ戦国武将のような先生でした。医師としての知識の深さや技術力の高さから手技の大切さを学び、心臓外科の土台をつくるために尽力してこられた姿に感銘を受けました。私が心臓血管外科の医師になったのも、秋山先生がいたからだと感謝しています。

心臓血管外科で実感した、患者さんが歩いて帰ることの嬉しさ

初めて医師としての喜びを感じた瞬間

私が医師になった当時、がんの患者さんには病名を告知しないことが当たり前でした。たとえ患者さんが苦しんでいても、それが進行したがんによる症状だと伝えることができず、患者さんと一緒に病気と向き合えない状況で診療を続けることは、次第に苦痛になっていきました。

一方、心臓血管外科では、患者さんに病気のことをしっかりと説明したうえで治療に臨むことができました。患者さんに「今は苦しいけれど頑張ろうね」「手術を乗り越えたら、きっと元気になれるよ」などと話すことができて、やりがいを感じました。

具合が悪くて受診された患者さんが、無事に手術を終えて帰る姿や、ご家族が喜ぶ姿を見られることは、医師としての醍醐味です。心臓血管外科での研修時代、医師としての喜びを実感することができました。

苦しいときも患者さんの元気な姿を見ればまた頑張れる

心臓血管外科では、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心臓弁膜症などの心臓に関わる病気をはじめ、大動脈の病気である大動脈瘤や、末梢血管の病気である下肢静脈瘤など、さまざまな病気の治療を行います。そのなかでも、私は胸部を切り開いて行う動脈瘤の治療を得意としてきました。

血管にできたこぶ状の膨らみである動脈瘤は、破裂してしまった場合は命にかかわるため緊急手術を余儀なくされます。動脈瘤破裂の患者さんが搬送されてきたとき、夜間、休日であっても駆けつけて手術をしていました。

重症の患者さんは、手術のあとで亡くなられてしまうこともあります。そうすると次の手術に向かうときはどうしても気が滅入ることもありますが、無事に手術が成功したときは、次の手術に向き合う気力が湧いてきます。

心臓血管外科では、体の機能を犠牲にすることなく、機能を与える手術を行います。患者さんの生命と向き合う仕事なので大変なこともありますが、嬉しいことも多く、具合の悪かった患者さんが元気になって歩いて帰る姿は私の活力です。

初めての症例と向き合い最善を尽くした経験

まだ難しい手術はほとんど担当したことがなかった頃、人生で初めての大きな手術を経験しました。大動脈弁閉鎖不全症を患った患者さんで、感染性心内膜炎による高熱を発し、基部が破壊されている重症の大動脈弁輪部膿瘍を合併していらっしゃいました。人工呼吸、透析、抗生剤などの治療では心不全を改善することはできず、手術は困難だといわれていました。

しかし、先輩医師が学会出張に出られているときに患者さんの具合が悪くなり、私が手術することになりました。手術の前には論文を読んで準備し、私の子どもと同い年くらいの小さな男の子が「お父さん、がんばって」と言うのを聞きながら手術室に入りました。いざ心臓を開けてみたら内部は見たこともない状態で、どうしたらよいのだろうと途方に暮れましたが、何とかできる限りの最善を尽くさなければと思いました。とにかくやってみようと腹をくくって、穴が開いているところを心膜で補填していきました。困難な手術でしたが、患者さんが若かったこともあり、助けることができたのは本当に幸いでした。

この症例については学会でビデオ発表し、そのとき恩師の秋山先生に「お手柄だね」と褒めていただいたことを覚えています。諦めずに手術を完遂でき、とても嬉しかったです。

静岡市立静岡病院の外科専門研修プログラム─早く手術を経験したい若手医師へ

当院が実施する外科専門研修プログラムは、グループ全体で外科の各分野の手術数を確保しています。当院では消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科に力を入れており、とくに循環器系に強みをもっていることが特色です。それぞれの診療科にバランスよく若手医師の皆さんが参加してくださることを期待しています。

また、若い方にはよりよい手術を見せたいと思いますし、なるべく早く手術を経験してもらいたいと考えています。外科の医師を志し、当院の外科専門研修プログラムを選ぼうと考えている方は、手術に興味をもっている方だと思います。当院では、手術に関心がある若手医師のために、外科の醍醐味である手術をいち早く経験していただいています。通常、病院では経験豊富な医師が手術を担当することが多いのですが、当院では若手も専攻医も分け隔てなく、できるだけ手術を任せられるように配慮しています。

医者にとって一番嬉しいことは患者さんが元気になることです。若いときから多くの手術を経験したい方をお待ちしています。

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  • 静岡市立静岡病院 心臓血管外科 副院長

    困難な手術でも諦めず、患者さんの救命に力を注ぐ。心臓血管外科の疾患は時に一刻を争うこともあるが、手術後、重症だった患者さん歩いて帰る姿を見ることが医師としての活力と...

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