DOCTOR’S
STORIES
カテーテル治療におけるスキルをフル活用し、どんなときでも平常心での診療を心がける平瀬裕章先生のストーリー
私が医師を目指す最初のきっかけになったのは、大学を選ぶ時期に通っていた予備校の講師の話です。その講師は、自分が医師であることを理由に、自分よりも辛そうな患者さんがいるにもかかわらず、優先的に診察をしてもらったことがあったそうです。そのときの「患者さんの状況ではなく、職業や身分が判断基準となっている医師に対して嫌な思いをした」という講師の話が印象的でした。その話を聞いたとき、「医師として最も重要なことは、苦しんでいる患者さんを救うことではないのか?」、「自分が患者さんを救える医師になろう」と、「医師」という職業に興味を持ちました。
また、同じ予備校に通っていた友人が医学部を目指していたことも、医師を目指すうえで1つの大きなきっかけ、さらには原動力になっていました。友人と一緒に医学部を目指し、さらに医学部時代も友人と支え合いながら過ごすことで乗り越えられた試練も多くあったと思っています。
医学部生時代の夏休みに見学に行った氷見市民病院で、当時、カテーテル治療をされていた堀田祐紀先生に出会いました。心臓の分野にもともと興味のあった私は、堀田先生の姿を見て、ますます循環器内科の世界に魅了されていったことを今でも覚えています。
堀田先生は、カテーテル治療に積極的に取り組んでいらっしゃる先生でしたので、緊急カテーテル治療の現場を見学させてもらえたのは、とても貴重な経験でした。そこで目にしたのは、スピード感や勢いのあるカテーテル治療。流れるような速さでカテーテル治療を行う先生の姿を見て、私は「やはり循環器内科の世界でチャレンジしよう」と確信したのです。ストレスフルな状況や困難な場面に直面しても物怖じしない性格も、この世界では必要なスキルの1つであることから、循環器内科を選択してよかったと感じています。
残念なことに、循環器内科の世界に入るきっかけをくださった先生からその後直接的に指導を受けたことはないのですが、医師同士としての付き合いはあり、今でも尊敬する医師の1人です。
私がカテーテル治療を行ううえで大切だと感じていることは、知識はもちろんのこと、緊急時におけるスピード感、柔軟に対応する力です。そして、それらを養うためには思考回路を鍛え続けることが必要であると考えています。さらに、その大切な要素を限られた時間の中でフル活動させ、カテーテル治療のなかでやってよいこと、やってはいけないことを見極めることこそが、カテーテル治療のスキルであると感じています。また、カテーテル治療において、それが手術を成功へ導くポイントにもなり得るのです。
私たちが本来やるべきことは、患者さんを救うことです。そして、救うことができた患者さんが喜んでくださる姿は、私たちにとって何ものにも代えがたい喜びになります。カテーテル治療をその喜びにつなげていくために、知識や経験を活かしながら診療に励んでいきます。
「過度なプライドは持たないこと」、「固執はせずに、柔軟であれ」。
これらは、患者さんに適した治療を提供することにもつながると考えているため、私の中のモットーとしています。
たとえば、私がカテーテル治療を行う際に、2〜3名の医師が手術室にいることがあります。当然、後輩医師もいるのですが、私はほかの先生たちの発言や意見にも素直に耳を傾けることを意識しています。後輩医師のなかには、執刀医として担当している私とは違う視点を持ち、患者さんのためになる提案をしてくれる医師もいます。後輩医師の提案が、ときとして患者さんにとってよい結果を招くこともあります。そのため、発言や意見してくれたことに対し、突き返すのではなく、柔軟に受け入れる姿勢はとても大切です。
プライドが高ければ高いほど、経験が長ければ長いほど、柔軟に受け入れる姿勢を忘れかけている医師も多いように思います。過度なプライドは捨てて、患者さんにとってよりよい治療を提供する。そんな医師であり続けたいと思います。
「常に平常心でいること」、これは私が常々意識していることです。診療時であっても、手術中であっても、です。
以前、とある循環器内科の先生のカテーテル治療をライブ中継で見ていたことがあります。そのときに多少のトラブルがあったのですが、その先生はトラブルがあった際でも平常心を保ち、周りのスタッフにも安心感を与えていたことをよく覚えています。
医療の現場では、基本的に医師が中心となり、治療や手術を進めていきます。医療の中心を担う医師が手術中に慌てだしたり、イライラしだしたりしてしまったとしたら、周りのスタッフによい影響があるとは言えません。もちろん、緊急の事態が起こってしまったら、医師もとても焦りますし、動揺もします。しかし、そのような状況下でもスムーズな治療を行うには、いかに平常心を保ち、スタッフたちにも平常心、さらには安心感を保ってもらえるかが重要になると考えています。これからも、患者さんから安心して治療を委ねていただけるよう、平常心を大切に日々の診療に取り組んでいきます。
医師としての存在意義を感じる瞬間は、やはり患者さんが病気から解放されて喜んでくれる姿を見たときです。
また、これは私だけではないはずですが、まだ知識も技術も足りない若手医師時代、名の知れた先生の素晴らしい技術に憧れを抱きました。そして、「自分の家族に何かがあったら、自分が診るよりも、名の知れた先生に診てもらいたい」と思ったことでしょう。そのような段階から、さまざまな知識を得て経験を積み、医師として独り立ちをしていくのです。
今でも向上心を持ち続けることを大切にしていますが、今までにつけた知識や経験から、「この先生に治療を任せたい」と思ってもらえる医師に少しは近づけているのではないか、そう思えたときは、努力してきてよかったと思います。また、知識や経験があるからこそ、患者さんを門前払いするのではなく、患者さんが救われる選択肢を判別できるとも思っています。これからも、患者さんに喜んでいただけるよう、1人の医師として一人ひとりの患者さんと向き合っていきたいです。
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