北海道の循環器医療を支える
札幌心臓血管クリニック
広大な土地に医療が偏在する北海道――医療が不足する地域への医師派遣
札幌は約196万人が暮らす大都市であり、市内人口に対する医療提供体制は充足しています。高レベルの医療を提供できる医療機関も多く、夜間・休日の救急医療体制もきちんと整備されている状態です。対して北海道全域で見ると、広大な土地に医療機関や医師が偏在しており、深刻な医療過疎に陥っている地域が多く存在します。医療の遅れも目立ち、病気が見つかったときには進行している患者さんが多いのも現状です。
こうした状況を受け、当院では札幌市外にある25の病院に医師を派遣して診療を行うサテライト外来*を開設し、地方に暮らす方々の循環器疾患の早期発見に努めています。また、市内にも22のサテライト外来*を設置しています。そこで専門的な検査・治療が必要と判断した場合には、当院を受診いただき詳しい検査や治療を行います。高齢の患者さんなど自力での来院が難しい方もいるため、当院までの無料送迎も行っています。サテライト外来実施施設の一覧はこちらをご覧ください。
「誰一人として心臓病で死なせない」の実現を目指して
私のモットーはシンプルに“患者さんを断らない”“24時間対応する”の2つです。誰一人として心臓病で死なせたくない――という思いを胸に、常に高いレベルの循環器医療を患者さんに提供できるよう努めています。当院では、全ての患者さんに対してスピーディーに治療を提供するために設備投資を惜しまずに行っています。新しい設備を導入することで、患者さんをお待たせすることなく治療を行うことができますし、治療のクオリティも格段に上がります。必要だと判断した医療機器はすぐに揃えるようにしています。
また当院では毎朝、循環器内科と心臓血管外科が合同カンファレンスを行い、一人ひとりの患者さんの治療方針を決める話し合いを行っています。当院のように毎日合同カンファレンスを行っている病院はめったにないでしょう。これほどカンファレンスを徹底する大きな理由は、“何科の誰が診たか”によって治療方針が変わるのを避けるためです。同じ病気で同じ病院にかかっても、診察した医師の技量や経験、診療科によって受ける治療が違ってしまえば、患者さんの不利益につながる可能性があります。また、毎日のカンファレンスは医師たちの学びの場にもなります。「この病気にはこのように対処すればよいのか」と理解が深まり、医師全員のレベルが底上げされていきます。
厚別・豊平に分院をオープン――
困ったらいつでも来てほしい
当院には札幌市内だけでなく、北海道の各地からも多くの患者さんが来院されます。今後は東南アジアへの進出なども視野に入れていますが、やはり一番大切したいことは北海道や札幌の患者さんに高いレベルの循環器医療を提供し続けることです。そして、緊急治療が必要な患者さんを受け入れられる体制を維持していきたいと考えています。また、情報発信も積極的に行い、YouTubeやLINEをとおして循環器疾患について解説したり、患者さんからの質問にお答えしたりする動画を配信しています。
2022年には厚別区のJR新札幌駅近くに初の分院“新札幌心臓血管クリニック”が開院、2024年6月には2つ目の分院として豊平区に“札幌心臓血管クリニックとよひら”が開院されます。これからも札幌、北海道の循環器医療を守るために尽力していきます。困ったときにはいつでも当院までお越しください。
札幌心臓血管クリニック
札幌ハートセンターの
カテーテル検査・治療
札幌心臓血管クリニックの
不整脈・狭心症・心筋梗塞・
心臓弁膜症の治療
不整脈の治療
カテーテルを使い根治を目指す
不整脈とは、心臓を動かすための電気刺激の異常により脈が一定でなくなる病気の総称です。不整脈の一種である心房細動や心室頻拍などの根治的な治療法に“カテーテルアブレーション(経皮的カテーテル心筋焼灼術)”があり、当院では年間600件以上のカテーテルアブレーションを実施しています(2023年1〜12月実績)。実施にあたっては、3Dマッピングシステムなどの技術を用いながら、より安全な治療を目指しています。
心室頻拍など再発すると突然死のリスクがある患者さんには、カテーテルアブレーション後にICD(植込み型除細動器)を体内に入れてから退院いただいています。また、退院後に自宅で危険な不整脈が起こったときに備えて、ICDの情報が当院に自動送信される“遠隔モニタリングシステム”も導入しています。当院に情報が入ってきたら、患者さんに連絡をして、なるべく早く来院いただきます。遠方にお住まいの方であれば、近隣の循環器内科の先生に連絡し、患者さんの状態を診てもらうようお願いをしています。健康診断などで不整脈を指摘されて不安を感じている、症状があっても我慢している――などの不安や困り事があればご相談ください。
不整脈治療の
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狭心症の治療
年間約2,500件のPCIを実施
狭心症とは、心臓に栄養を運ぶ血管である“冠動脈”が狭くなり、心臓に血液が十分に行き届かなくなることで、胸の痛みや圧迫感が生じる病気です。当院では狭心症の患者さんのほとんどにPCI(経皮的冠動脈形成術)を実施しており、2023年の年間症例数は2,492件にのぼります(1月〜12月実績)。複雑な症例にも対応するために、ロータブレーター*などの治療器具も積極的に使用しています。また、2021年には日本で初めてロボット支援下でのPCIを導入しました。ロボットを用いることで1mm単位での動作調整が可能となり、より正確な治療が期待できるようになりました。
当院では、“患者さんに負担をかけない検査”を心がけ、256列マルチスライスCTを用いた検査・診断を行っています。従来、狭心症の診断ではカテーテル検査が中心に行われてきましたが、正確性が高い利点がある半面、カテーテルを冠動脈まで挿入しなければならないため、患者さんの体に負担がかかるデメリットがありました。256列マルチスライスCTでは、カテーテルを挿入することなく心臓の血管1本1本をリアルに解析することが可能です。結果は即日出るので、結果の受け取りに後日来院していただく必要はありません。胸が押しつぶされそうな痛みが5〜30分持続する場合には狭心症を疑いますので、気になる症状がある方は一度受診してください。
狭心症治療の
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心筋梗塞の治療
特殊な治療器具を駆使し素早い治療を実現
心筋梗塞は何らかの原因で冠動脈がふさがれてしまい、心筋が壊死を起こした状態を指します。壊死している時間をできるだけ短くするために、1分1秒でも早く血流を再開させることが重要です。当院では、血栓によって冠動脈が完全にふさがれているタイプの心筋梗塞に対し、素早く血栓を除去するためにエキシマレーザー*という特殊な機器を用いてPCIを行っています。治療後はリハビリテーションも重要です。当院では多職種が連携して、一人ひとりの状態や回復度に応じたリハビリテーションを実施しています。
心筋梗塞では、胸痛や胸部圧迫感、胸やけなど、発症の前兆とされる特徴的な症状が生じることもあります。安静にしていても痛みが20分以上続く、以前も同じような痛みが起こり頻度や程度が増している――などの場合には、心筋梗塞のリスクが非常に高まった状態と考えられます。全ての方に起こるわけではありませんが、こうした症状を感じた場合には、痛みが治まったからといって放置せずに、直ちに医療機関を受診するようにしましょう。
心筋梗塞を予防するためには、生活習慣の改善や心臓検診の受診などが大切です。特に、家族歴のある方、生活習慣病をお持ちの方、50歳以上の方、過去にメタボリックシンドロームの診断を受けた方、喫煙歴のある方は心臓検診の受診を推奨します。当院でも256列マルチスライスCTなどを使用した心血管ドックを行っています。心配なことがあれば、ぜひ一度受診してください。
心筋梗塞治療の
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心臓弁膜症の治療
高齢の方など手術不適応とされた方も治療可能に
心臓弁膜症は心臓にある4つの部屋を隔てる“弁”が正常に機能しなくなる病気の総称です。心臓弁膜症に対する治療法には、外科手術やカテーテル治療といった選択肢があります。当院では循環器内科と心臓血管外科が1つのチームとなり、毎朝の合同カンファレンスで多角的な視点から慎重に治療方針を検討しています。外科手術とカテーテル治療を組み合わせて治療を行うこともあります。
心臓弁膜症のカテーテル治療については、大動脈弁狭窄症に対するTAVI、僧帽弁閉鎖不全症に対するMitraClip、心房中隔欠損症に対するASD閉鎖術などを積極的に行っており、TAVIについては年間約200件(2023年1月〜12月実績)実施しています。カテーテル治療の登場によって、高齢の患者さんなど外科手術のリスクが高い方でも根治を目指した治療ができるようになりました。また、透析患者さんへのTAVIについては“TAVI指導施設”でのみ実施が許可されていますが、当院はその指導施設となっています。
もしも他院で「治療はできない」と言われたとしても、当院では治療できる可能性があります。チーム一丸となり治療の可能性を探っていきますので、諦めずに一度ご相談ください。
心臓弁膜症治療の
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- 公開日:2024年5月28日