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大動脈弁狭窄症に対するTAVIとは? その概要と特徴

大動脈弁狭窄症に対するTAVIとは? その概要と特徴
八戸 大輔 先生

医療法人 札幌ハートセンター 札幌心臓血管クリニック 循環器内科 部長/ストラクチャーセンター長

八戸 大輔 先生

目次
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心臓には4つの部屋があり、それらを隔てる“弁”が血液の逆流を防いでいます。心臓の弁の1つである大動脈弁が硬くなり、血液がうまく送り出せなくなる病気を“大動脈弁狭窄症”といいます。大動脈弁狭窄症に対する治療の1つであり、身体的な負担が少ない方法として近年適応の範囲を広げているTAVI(タビ)の概要と特徴について、八戸 大輔(はちのへ だいすけ)先生(札幌心臓血管クリニック循環器内科 科長・ストラクチャーセンター長)にご解説いただきました。

TAVIとは、カテーテルと呼ばれる医療用の管(約6mm)を用いて、壊れた大動脈弁を新しい弁に置き換える治療法です。局所麻酔を行ったうえで足の付け根にある太い血管(大腿(だいたい)動脈)からカテーテルを挿入し、心臓まで到達させて新しい弁を埋め込みます。

カテーテルを挿入するアプローチとしてはいくつかの種類があり、基本的には、体の負担がもっとも少ない“大腿動脈”を選択します。一方、足の血管の状態により大腿動脈が適さない場合には、鎖骨下動脈、大動脈や心尖(心臓の下端)からカテーテルを挿入することもあります。

留置する弁にはいくつかの種類があり、現在は主にバルーン拡張型、自己拡張型の2種類が使われています(2020年7月時点)。

バルーン拡張型の弁は、治療時間が短くて済み、スカート(弁の下部の盛り上がっている部分)によって血液の逆流を防止できる点が特徴です。一方、自己拡張型の弁は弁の外側に血液の逆流を防ぐための膜がついているため逆流を防止でき、また、大動脈弁や心臓の形に沿って柔らかく留置することができるため、安全性が高い点が特徴です。

当院では、より短い時間での治療が可能になり、血液の逆流を抑えやすいという点を加味して、バルーン拡張型の弁を選択することが多いです。しかし、大動脈弁の石灰化が大きく硬くなりすぎているような症例では、自己拡張型の弁を選択することもあります。

TAVIの弁は常に進化しており、近い将来、また新たな弁が登場すると聞いています。このことからも分かるように、大動脈弁狭窄症の治療は日々進歩を続けているのです。

当院の場合、TAVIにかかる治療時間は25〜30分ほどです(標準的な症例の場合)。もちろん中には難しい症例もあり、そのような場合には1時間ほどかかります。治療後は、TAVIを行った日から数えて3日ほどで退院できることが多いです。

TAVIのメリットは、低侵襲である(身体的な負担が少ない)ことです。最近の研究論文では、経大腿動脈アプローチでのTAVIと手術を比較し、TAVIのほうが治療後の死亡・合併症として起こる脳梗塞(こうそく)ともに少なく、TAVIが手術に劣らない可能性が示されました。今後、TAVIが大動脈弁狭窄症のスタンダードな治療になっていく可能性があります。

一方で、TAVI弁の耐久性に関して、10年以下であれば手術の生体弁と変わらない耐久性が確立されていますが、10年以上のデータは乏しい現状があります。このような背景から、現状では“80歳以上”がTAVIを行う年齢の目安とされているのです。

TAVIを行う八戸 大輔先生のチーム

TAVIを行った後は、特に運動制限などなく日常生活を過ごしていただけます。注意していただきたいことは2点です。

1つ目は、処方されたお薬はきちんと服用すること。TAVIの治療後は、必要に応じて抗血栓薬(血をサラサラにする薬)を処方します。抗血栓薬を飲まずにいると、せっかく留置した弁に血栓(血の塊)がついてしまうため、処方された薬はきちんと飲みましょう。2つ目は、食事の塩分に気をつけ、塩辛いものを取りすぎないこと。塩分の過剰な摂取は高血圧の原因になり、心臓や腎臓に負担をかけてしまうため、注意してください。

当院は心臓病に対するカテーテル治療を数多く行っており、私自身、これまでに500例以上のTAVIを経験しています。このような経験に裏付けられたチームとしての成熟度は高いと自負しています。

当院には、TAVIコーディネーターがいます。TAVIコーディネーターは治療前から介入し、治療中、治療後まで関わり、患者さんとご家族のケアを行います。たとえば、患者さんやご家族の価値観(治療への考え方)について事前にお伺いしたり、むし歯歯周病があると治療中に感染を起こすリスクがあるため治療前に口腔(こうくう)ケアの指導をしたりと、細やかな視点でケアを行っています。もし治療に関して気になることがあれば、主治医や看護師はもちろん、TAVIコーディネーターにお声がけください。

八戸先生

大動脈弁狭窄症は症状が現れてからの予後が悪いため、症状が出た時点で迅速に治療を検討する必要があります。そのため、大動脈弁狭窄症と診断され、症状が出てきた場合にはなるべく早く治療を検討しましょう。

一方で、無症状と思っていても実は症状を自覚していないだけというケースも考えられます。たとえば、息苦しさを感じないよう無意識のうちに運動量を制限している場合などがあります。そのようなときには、きちんと検査を受け、今後の方針について医師などの専門家と相談することが重要です。

治療を検討する際には、患者さんの価値観や人生観、ご希望などをきちんと伺い、よりよい方法を決めていきます。私たちは外科・内科両方の視点から幅広く考え、患者さんにとって最適と思われる治療法を提案しますので、気になる点があればぜひご相談ください。安全な治療を目指し、お元気に人生を歩むお手伝いをできればと考えています。

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