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大動脈弁狭窄症とは? その原因、症状、発見にいたる典型例について

大動脈弁狭窄症とは? その原因、症状、発見にいたる典型例について
八戸 大輔 先生

医療法人 札幌ハートセンター 札幌心臓血管クリニック 循環器内科 部長/ストラクチャーセンター長

八戸 大輔 先生

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心臓には4つの部屋があり、それらを隔てる“弁”が血液の逆流を防いでいます。心臓の弁の1つである大動脈弁が硬くなり、血液がうまく送り出せなくなる病気を“大動脈弁狭窄(きょうさく)症”といいます。近年、高齢化の進展に伴い増加している大動脈弁狭窄症。その原因や症状、発見にいたる典型的な例について、八戸 大輔(はちのへ だいすけ)先生(札幌心臓血管クリニック循環器内科 部長・ストラクチャーセンター長)にご解説いただきました。

心臓は4つの部屋に分かれ、それぞれ部屋の出口には“弁”がついています。通常、心臓の弁は血液が通るときに開き、通り終わるときに閉じて、逆流防止弁として機能しています。この弁のうち、左心室から大動脈へつながる部分にあるのが“大動脈弁”です。大動脈弁狭窄症とは、この大動脈弁が硬くなり、血液がうまく送り出せなくなる病気を指します。

素材提供:PIXTA
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大動脈弁狭窄症では、全身に血液が送り出せなくなることで、倦怠感、尿量の減少などの症状が現れます。また、肺に血液が逆流してしまい、息苦しさや胸の痛みなどの症状が出てくることがあります。

欧米では75歳以上の方の8人に1人が大動脈弁狭窄症であるといわれています。このデータを日本に当てはめた場合、75歳以上の方は1,848万人(2019年総務省統計局データ)であることから、そのうちの8人に1人、つまり231万人の方が大動脈弁狭窄症であると計算できます。

基本的には、加齢に伴い大動脈弁が硬く変性することで、大動脈弁狭窄症が起こります。高齢化の進展とともに加齢性の変化に基づく大動脈弁狭窄症は増加しており、手術を要する重症な大動脈弁狭窄症のうち80%を占めるといわれています。そのほかの原因として、細菌感染によるリウマチ熱の後遺症として現れるものや、まれではありますが先天的な弁の異常によるもの、たとえば一尖弁(いっせんべん)二尖弁(にせんべん)四尖弁(よんせんべん)などがあります。

代表的な3つの症状として、息苦しさ、胸の痛み、失神があります。そのほかに、先ほどお話しした、倦怠感や尿量の減少などが症状として現れることがあります。息苦しさ、胸の痛み、失神の症状が現れた場合には、適切な治療のタイミングを逸しないためにも、できるだけ早く病院を受診していただきたいです。

写真:PIXTA
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患者さんがご高齢の場合、息苦しさなどの症状を“歳のせい”と考え、病院の受診を控えてしまうケースがあるようです。また、無意識のうちに息苦しさなどの症状が出ないように生活の中の運動量を制限している可能性があります。このような場合、診察でお話を伺うと患者さんは「特に症状はありません」とお答えになりますが、実際に運動を行う検査(運動負荷試験)を行うと、息苦しさなどの症状が現れることがあるのです。つまり、患者さんに自覚症状がなくても、実際には症状が出るくらい病状が進行している可能性があるということです。私たちはこのような点に注意し、病気を見逃さないよう大動脈弁狭窄症の診療にあたっています。

先ほどお伝えした息苦しさ、胸の痛み、失神という代表的な症状を主訴に病院を受診したり、かかりつけ医に相談したりして検査を行い、大動脈弁狭窄症が見つかることが多いです。一方で、自覚症状のない方の場合、高血圧などほかの病気で病院にかかり、胸の音を調べた際に大動脈弁狭窄症に特徴的な音(心雑音)が指摘されることがあります。また、急に心不全を起こして救急搬送されたことをきっかけに、その原因として大動脈弁狭窄症が発見されることもあります。

いずれにせよ、大動脈弁狭窄症の疑いがあると指摘された場合には、適切なタイミングで治療を行うためにも、なるべく早く詳しい検査を受けましょう。次のページでは、大動脈弁狭窄症の検査と治療方針について解説します。

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