大阪府羽曳野市に位置する医療法人春秋会城山病院は、近隣の藤井寺市や柏原市を含めた救急医療に対応しています。また、近年ではがん診療に注力し、地域の医療ニーズに応えられるように尽力しています。同院は、地域で完結できる医療の実現のために近隣の医療機関と協力を行うなど、地域医療に貢献しています。城山病院は地域医療への貢献のためにどのようなことを行っているのでしょうか。理事長である福本 仁志先生にお話を伺いました。
城山病院はICU8床、回復期リハビリテーション51床、無菌室2床を含む299床で羽曳野市や藤井寺市、柏原市の地域医療に貢献できるように日々努めています。
22の診療科に加え、診療科の壁を超えてチームを形成し、さまざまな治療や診察にあたるセンターも作りました。このセンターは当院で3つあり、専門性をいかして診療にあたっています。
当院は2006年7月に現在の羽曳野市はびきのに移転しました。移転にともない、移転前にあった診療科の一部を変更しました。これは、当院の近隣にある大阪はびきの医療センター(旧大阪府立呼吸器アレルギー医療センター)との連携を行っていきたいと考えたからです。具体的には、脳血管内治療科や、心臓血管外科などを新設し、当院が注力している診療科と、大阪はびきの医療センターが注力している診療科を別々にすることで、地域のみなさんが病院選びで困ってしまうことを少なくすることが狙いです。
当院では、脳神経外科や心臓血管外科、整形外科分野などの救急患者さんの受け入れを行っています。地域の救急医療のニーズに対応していくために、診療科を増やすほか、救急救命士との連携や育成に尽力しています。
当院は、柏原羽曳野藤井寺消防組合と連携をし、救急救命士や救急隊員の実習を行うことがあります。もちろん、当院の医師が監修をし、患者さんに許可をいただいて行っています。地域の救急医療や、次世代の育成に貢献できるように尽力しています。
夜間救急に対応できるように、当院では当直の医師を配置しています。日によって配置できる医師の数は異なりますが、なるべく4名以上で当直が行えるように努めています。
可能な限り救急の受け入れ対応ができることを目指しています。
私は、地域の方々に、地域のなかで医療を完結できるようにしていただきたいと考えています。そのためには、当院が地域の病院と連携を行っていくことが大切だと思います。
たとえば、地域で治療をしたあとに遠方にリハビリテーションに行くことは、患者さんによっては負担になってしまうことがあります。
当院が中心となって、地域のなかで完結できる医療を展開していけることを目指しています。
当院の地域医療連携室では、かかりつけ医の先生方との連携を進めています。たとえば、かかりつけ医の先生方や、ほかの医療機関から当院へ紹介を受けた際に、診察や検査の予約などを行っています。
まずは、患者さんにはかかりつけ病院に受診していただき、かかりつけ医から当院を紹介していただきたいと考えています。また、当院で治療などを行ったあとには、その結果をかかりつけ医の先生や医療機関に報告をしています。
当院は1997年9月にガンマナイフ*を設置しました。当院でガンマナイフ治療を行う患者さんは近隣の病院からご紹介していただいた患者さんもいらっしゃいます。
受診を考えている患者さんや、地域の先生方は、ガンマナイフ治療が適応される病気なのか、当院の脳神経外科外来へ確認していただきたいと思います。
また、ガンマナイフ治療は保険診療で行っています。
ガンマナイフとは、線源から出るガンマ線を虫眼鏡の焦点のように、病気になっている部分に照射し治療を行う装置
地域で医療を完結させるために、当院でがん診療に力を入れていくことを検討しています。当院で、がん拠点病院と同等の医療を提供することを目指しています。
また、がんの治療以外に、患者さんのご家族のサポートや緩和ケアなどを提供し、苦痛をどうやってやわらげることができるのか検討するなど、さまざまなことを行っていきたいと考えています。
当院では、がんの検査をするPET-CTを備えています。PET-CT検査とは、PETとCTの撮影が行える装置が一体化したものです。
PET-CT検査を行うことで、病気の部位がどのあたりにあるのかを確認することができます。PET-CT検査や治療などで、当院のがん診療を強化していければよいと考えています。
外来でがんの化学療法を行う外来化学療法室を設置しています。ほかの診療科の外来でも医師と看護師や薬剤師などが協力して治療にあたっていますが、外来化学療法室ではよりチームワークを大切にしています。
外来化学療法室では、がん以外にも骨髄造血障害の患者さんの治療を行っています。
当院では、市民公開講座や地域のみなさんと交流できるイベントを行っています。2017年は健康教室を7月と9月に開催しました。2017年7月に開催された健康教室では、ロコモティブシンドローム*の予防や夏バテ予防についてお話をしました。
当院が開催する健康教室を通じて地域のみなさんの健康維持に貢献したいと考えています。
ロコモティブシンドロームとは、運動器障害やおとろえによって移動機能が低下した状態
1990年に旧厚生省が制定した看護の日に、当院では地域のみなさんに向けたイベントを開催しています。2017年は5月10日に開催し、地域のみなさんが健康相談や栄養相談を行えるイベントを企画しました。
当院は、地域の急性期医療を担える病院を目指しています。また、当院を中心に地域内で医療が完結できるように、周りの医療機関との協力や連携を行っていきたいと考えています。
当院で働くスタッフも「城山病院は患者さまのために存在します」という理念に基づき、自分のしていることが地域に貢献できているのか、患者さまのためになっているのかなどを考えています。当院のスタッフの一人ひとりが、地域に貢献できるように日々働くことで、当院の理念に近づけるのではないかと思います。
そのため、一人ひとりの患者さんを大事にし、診察や治療に臨んでいきたいです。
地域のみなさんに「城山病院があるから安心できる」といっていただけるようにスタッフ一同で尽力していきたいと考えています。