肘が痛い:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
熊本回生会病院 院長補佐
中村 英一 先生【監修】
肘の痛みを感じたとき、怪我などの心当たりがない場合は原因がわからず不安になることもあるでしょう。
このような症状があるとき、考えられる原因にはどのようなものがあるでしょうか。
肘が痛くなるような病気やケガには、主に以下のようなものが挙げられます。
5歳以下の子どもに多い状態です。子どもでは骨を支える構造が未熟なため、衝撃が加わると靭帯から骨が外れて脱臼してしまいます。「親が子どもと手をつないで歩いているとき、子どもが転倒しそうになり親がこどもの手を引っ張ったら、肘を痛がって手を動かさなくなった」というケースが典型的です。言葉を話せない年齢の場合は、泣くだけだったり、肘を動かさなくなったするだけで発見が難しい場合もありますので注意が必要です。
肘の関節面の軟骨がすり減り、骨と骨どうしがぶつかるようになり痛みが出てきます。関節内の骨の端の部分にとげのような構造ができるため、動きが制限されたり、滑らかに動かないといった症状も起こります。進行すると、肘の近くに通っている神経にも問題が起きて、手指のしびれや動きにくさも起こることがあります。
中高年でテニスやバトミントンなどラケットをふるスポーツをされる方に多いとされています。手首をかえす筋肉の腱は肘の骨(上腕骨の外側)に付着しており、フォアハンドでラケットをふる際に無理をすることにより、腱の骨の付着部に炎症が起こって肘の外側が痛くなります。雑巾を絞る、手首を曲げた状態から伸ばす、中指を曲げた状態から伸ばすような動きで痛みが起こりやすくなります。
成長期の子どもで、勢いよく投球する動作を繰り返すことで起こります。軟骨・骨・靭帯が損傷し、痛みに加えて動きに制限が起こります。
肘周囲の骨が折れると折れた骨が筋肉によって引っ張られ、位置がずれてしまうことが多いといわれています。手術が必要になることも多いため、肘や腕を強くぶつけたなどの後に痛みや腫れが現れたときには注意が必要です。
安静にしても痛みがおさまらない場合、肘・手首・指の動きに支障がある場合には、整形外科へ相談しましょう。仕事やスポーツでどの程度肘を酷使するか、利き手はどちらか、いつからどのような症状がありどのような動作で悪化するか、動かさないときには痛みがないか、などを医師に伝えましょう。
肘の痛みを起こさないため、もしくは悪化させないために日常生活で気をつけられるポイントには以下のようなものがあります。
硬い机などに肘をつき、不安定な姿勢でスマホを操作したり、夢中で長時間キーボードのタイピングをしたりしていると、思わぬうちに肘に強い力がかかっている可能性もあります。
クッションや衣服で肘を保護し、片手だけに負荷がかからないようにしましょう。ほおづえをつく癖がある人はできるだけやめるようにしましょう。
つい無理をしてしまいがちですが、スポーツによる痛みは長引いたり繰り返したりすることもあるため注意が必要です。
野球・テニスなど片手だけに強い力がかかるスポーツは、痛みが出ないか注意しながら行い、インストラクターやコーチの指導の下無理をしないようにしましょう。また、ローラースケート・スキー・自転車など、転倒のリスクがあるスポーツをする場合は、肘のプロテクターを装着しましょう。
日常生活でできる対処法を試しても症状がよくならない時は、一度病院を受診しましょう。