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穿通枝皮弁による乳房再建の特徴
横浜市立大学附属市民総合医療センター形成外科部長の佐武利彦准教授は「穿通枝皮弁(せんつうしひべん)」による乳房再建術において、日本でトップクラスの技術と実績を持つパイオニアです。穿通枝皮弁法の現...
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穿通枝皮弁による乳房再建の特徴

公開日 2015 年 10 月 07 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

穿通枝皮弁による乳房再建の特徴
佐武 利彦 先生

公立大学法人横浜市立大学附属市民総合医療センター形成外科 部長 准教授

佐武 利彦 先生

横浜市立大学附属市民総合医療センター形成外科部長の佐武利彦准教授は「穿通枝皮弁(せんつうしひべん)」による乳房再建術において、日本でトップクラスの技術と実績を持つパイオニアです。穿通枝皮弁法の現在の状況、そしてこれからについてお話をうかがいました。

穿通枝皮弁による乳房再建

お腹やお尻、太ももなどから皮膚と脂肪組織を移植します。その際、血流を保つために筋肉ごと血管を持ってくるのではなく、筋肉の中を通っている血管(穿通枝を含む)だけを取り出すのが大きな特徴です。
穿通枝は筋肉の中、あるいはその下を通る太い血管から枝分かれして、脂肪層や皮膚に向かって走っている細い血管です。この穿通枝と、穿通枝の血液の流れの先にある脂肪層と皮膚が移植されます。

穿通枝皮弁による乳房再建のメリット・デメリット

組織をとるドナー部の機能をできるだけ損なわずに、血行がよく、あたたかくやわらかな乳房をつくることができます。また、からだのさまざまな部位から組織をとることができ、患者さんが望むところから移植することができるのもメリットのひとつです。

穿通枝皮弁による乳房再建術に用いられるドナー部

背中や胸のわきなど乳房から近いところからであれば、血管がつながったままの移植が可能で、手術時間も3時間ほどで済みます。これを有茎穿通枝皮弁法といいます。これは欠損が小さい場合に限られます。

お腹やお尻、太ももなどからの場合は、いったん血管を切り離して組織をとり、あらためて胸の血管とつなぎあわせます。これを遊離穿通枝皮弁法といいます。超マイクロサージャリーと呼ばれる高い技術と経験を要する手術ですので、手術に要する時間は6〜8時間ほど、長い場合には12時間近くに及ぶ場合もあります。

穿通枝皮弁法といえども、組織をとってくるドナー部に傷を残さないわけにはいきません。胸以外に新たに傷をつくってしまうという意味では、インプラント法にはないデメリットであるといえます。

また、血管をつなぎあわせた部分に血栓ができることがあります。そのほか、1本の穿通枝で大きすぎる範囲の皮弁への血流をまかなおうとすると、血流が悪くなって部分壊死や脂肪壊死という状態になります。この場合、固いしこりができます。

しかし、術後48時間は血流の状態などを1時間おきにチェックしていますので、何か問題があれば再手術などの対応ができます。このため手術の成功率は99%以上と非常に高くなっています。

穿通枝皮弁による乳房再建のこれから

自家組織による乳房再建術の進歩を振り返ると、腹直筋を使う筋皮弁法が「有茎腹直筋皮弁」から「遊離腹直筋皮弁」へと改良されてきた経緯があります。これらをそれぞれ第1世代、第2世代とすれば、穿通枝皮弁は「第3世代」といえるでしょう。そして、すでに「第4世代」の術式が使われはじめています。

第3世代の穿通枝皮弁が腹直筋の裏側から表面に向かって走る穿通枝を使うのに対し、第4世代では皮膚と脂肪に直接つながっている血管を使います。これを浅下腹壁動脈皮弁といいます。手術中に腹直筋にまったくダメージを与えることがありませんが、穿通枝皮弁よりもさらに細い血管をつなぐ必要があり、高度な技術が要求されます。

浅下腹壁動脈皮弁

浅下腹壁動脈皮弁はビキニラインに近い下腹部の深いところにありますが、誰にでも見つかるというわけではありません。つなぎ合わせる先の血管との適合の問題もあり、まだすべての患者さんに行うことはできません。

横浜市立大学附属市民総合医療センター形成外科 准教授。「穿通枝皮弁」による乳房再建では国内でも数多くの手術症例数を有し、高い成功率を誇っている。「あたたかく、やわらかく、美しい」乳房再建をめざしており、多くの患者さんに信頼されている。近年では遊離脂肪移植による乳房再建の手術手技、術前後ケア法の確立に尽力している。

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