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インタビュー

性同一性障害を自覚する子どもへの対応

性同一性障害を自覚する子どもへの対応
康 純 先生

大阪医科大学 神経精神医学 准教授

康 純 先生

社会には、自分が男性なのか女性なのかを申告したり記載しなければならない場面が多く存在します。今年度2015年10月からマイナンバー制度の通知も始まりましたが、LGBTの支援団体が、個人番号カードの性別記載によって、性同一性障害などの方たちが戸籍上の性別と外見との違いによる不利益を被らないよう要望書を提出しました。ささいなことのように見える社会的ラベリングが、性同一性障害の方たちにとって大きな心理的負担になることがあります。性同一性障害を自覚する子どもへの対応を中心に、大阪医科大学の康純先生にお話をうかがいました。

性同一性障害の人たちが自分の性を表現しようとしない理由は、ほぼ100パーセント、表現することによっていじめられる可能性を恐れるからです。ここには肉体的ないじめのみならず、陰口なども含みます。成長期に、いじめられるからと我慢して自分の表現したい性ではない格好をしているような場合、その葛藤を親も理解できずに意見の衝突が起こることもあります。

しかし、今の若い親はもともと知識を持っており、「この子はひょっとしたら性同一性障害かもしれない」と考えることもあります。そのような場合には、子どもの時点で病院に連れられてきて、受診することができます。しかし、これも簡単なことではありません。たとえば以下のようなケースがありました。

先日、小学生で性別違和を持つお子さんのお母さんだけが来院されて相談に乗りました。必要であれば学校に対して直接お話しもしますし、お子さんが学校に行きやすいようにサポートするのが私の役割だとお話ししたら、それをお子さんに伝えてくださり、お子さんが病院に行ってみようという気になってくれました。

そこで初めて来院して、病院のIDカードを発行したときに問題が起こりました。カードの性別欄に、そのお子さんが望む性別ではなく、戸籍上の性別が記載されてあったのです。その子はそれを見た瞬間にショックを受け、「どこに行っても自分の気持ちは誰もわかってくれない」と絶望していました。

私がジェンダークリニックを始めたときから、IDカードの性別の欄には受診者の希望する性別を入れ、名前の欄には通称があれば通称を入れるという約束をしていたはずでした。しかし事務的な行き違いがあり、お子さんに大きなショックを与えることとなってしまったのです。

このようなことが起きても、多くの方は我慢されます。仕方がないと諦めているからです。しかし小学生など、感情をまだコントロールできない年代の場合は感情が爆発することもあります。本人は自分を責めてしまいますし、なんとか話を聞くつもりでしたがうまくいかず、お母さんにだけお話を聞いて、次回の来院を促すことで精一杯でした。

このように、世間一般は当たり前に男女区別をするシステムになっており、これが葛藤に結びついてしまう現状があるのです。

性同一性障害を抱えるお子さんについて、本当に典型的な例としては、物心ついた時から遊び方の好みや服装の好みがすべて本人の自覚する性のタイプであるということが挙げられます。

たとえば、まわりが男の子と認識している場合でも本人の自覚する性のタイプが女性であれば、女の子としか遊ばず、お人形遊びやおままごとが好きで、男の子と走り回ったり荒々しい遊びは絶対にしないということがあります。

逆に、まわりが女の子と認識している場合でも本人の自覚する性のタイプが男性であれば、スカートを履かせようとしても絶対に履かず、男の子と遊びたがり、誕生日のプレゼントに欲しがるものが男の子が好む変身ベルトやレンジャーのおもちゃなどで、おままごとなど見向きもしないという傾向があります。

最近の親御さんには理解のある方も増え、「これを買って」と望んだものを買い与えられて育った子どもさんであれば、私が見ても、「体の性は女性だが、どこからどう見ても男の子」逆に「体の性が男性だが、どこからどう見ても女の子」という印象をもつこともあります。

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