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インタビュー

遠隔期に発症する「肺動脈弁閉鎖不全症」

遠隔期に発症する「肺動脈弁閉鎖不全症」
市川 肇 先生

国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 小児心臓外科

市川 肇 先生

乳児期の手術により予後は大きく改善しますが、年月が経つと「肺動脈弁閉鎖不全症」を発症することが多くあります。その際、QOLの向上を踏まえて肺動脈弁の置換手術をいつ行うかについて議論がなされています。適切な再手術の時期について国立循環器病研究センター小児心臓外科部長の市川肇先生にお話を伺いました。

※遠隔期・・・退院後数年月が経った時期のこと

心内修復術は、かつては狭くなった右心室流出路の再建時に、右室流出路の肺動脈弁輪を切除してパッチと呼ばれる膜を当てて拡大形成する方法(右室流出路パッチ拡大術)が主流でした。その後自分の弁輪を残す方法(自己弁温存法)が開発され、その中でも弁輪を温存するために弁輪を切開せずに右心室の肉を削る方法(右心房・肺動脈アプローチ)を当センター4代目総長の川島康生先生が開発されました。

これらの手術によってひとまずチアノーゼがなくなり元気になるのですが、手術から20~30年経った遠隔期の予後については、肺動脈弁輪を温存せずに切開した場合、「肺動脈弁閉鎖不全症」が起こりやすいといわれています。弁が機能しなくなることにより右心室が送り出した血液の多くが逆流するため右心室が正常の2~3倍にまで大きくなりしなやかさが失われ、進行すると左心室を圧迫して左心室の機能まで悪化させてしまう病気です。症状は非常にゆっくりと現れるため自覚症状はほとんどないことが問題で、不整脈心不全による足のむくみが生じて気づくといったケースもあります。

「肺動脈弁閉鎖不全症」を治療するためは肺動脈弁を置換する再手術が必要となります。右心室の出口は大きく、血液の流速が遅いため血栓ができやすいので機械弁ではなく生体弁を使って置換するのが標準となっています。

ただここで議論となるのは、どの時点で再手術を行うかということです。生体弁はブタの弁やウシの心膜で作っているため寿命があり、そのことを踏まえて手術の時期を考える必要があるからです。例えば20歳で弁置換手術を行った場合、30歳で再置換しなければならないといったことが考えられます。年齢を重ねるほど代謝が落ちるため、弁の寿命は長くなる傾向にありますが、仮に40歳で手術しても60歳で再手術しなければならず、早めに手術をしてしまうことは体に大きな負担をかけることになります。

現時点では右心室の大きさを見て判断しています。右心室が大きくなり戻らないようなところまでゴムが伸びきってしまったような状態になってしまうと手術をしても良い結果が得られず、不整脈が治らないこともあります。重要なのは、放っておいても右心室の大きさが戻らなくなってしまうノーリターンの臨界点を見極めることです。肺動脈弁置換術は右心室の大きさと動きによって予後が左右され、右心室が小さく動きもよい症例ではアドバースイベント(有害事象)が少なく、大きくて動きが悪いほど多くなるといわれています。

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