ふぁろーしちょうしょう

ファロー四徴症

最終更新日:
2022年04月27日
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2022/04/27
更新しました
2021/12/03
更新しました
2017/04/25
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概要

ファロー四徴症とは(1)心室中隔欠損(左右の心室を分ける仕切りの壁に大きな穴が開くこと)、(2)大動脈騎乗(正常な場合は左室につながっている大動脈が左右の心室にまたがっている状態)、(3)漏斗部(右心室の出口付近)および肺動脈の狭窄(きょうさく)、(4)右室肥大(右心室に負担がかかり右室の壁が厚くなる)の4つの特徴を持つ心疾患のことです。先天性の病気で、胎児期に心臓ができ上がる過程で肺動脈と大動脈と呼ばれる2つの大きな血管を分ける壁がうまく形成されなかったことで起こります。また、ファロー四徴症に肺動脈閉鎖を合併することもあり、ファロー四徴症極型と呼ばれます。

ファロー四徴症は漏斗部や肺動脈の狭窄の程度に応じて、心室中隔欠損を通して右心室から大動脈へ酸素が低い血液が流れるため(右ー左短絡という)、爪や唇の色が紫色になるチアノーゼと呼ばれる症状を引き起こします。また、生まれつきの病気であるため、生後間もなく心雑音が聞こえ、乳児期には激しく泣いた後などにチアノーゼ発作(無酸素発作)と呼ばれる発作症状を引き起こすこともあります。

ファロー四徴症と診断される人の割合は、肺動脈閉鎖を合併するファロー四徴症極型も合わせると1万人に5.3人程度で、男女の差はありません。先天性心疾患にはチアノーゼを伴うものとそうでないものがありますが、チアノーゼを伴う先天性疾患としてはもっともよくみられる病気です。

原因

心臓の発生初期の過程で異常が生じ、心臓の2つの大きな血管(肺動脈と大動脈)を分ける仕切りの壁が体の前方にずれることでファロー四徴症の4つの特徴が現れます。環境因子や遺伝因子などの関与が指摘されており、通常は散発性に発生することが多いといわれています。また、ファロー四徴症の15%程度に、22q11.2欠失症候群と呼ばれる特定の染色体異常が合併するという報告があります。

*:予測できず不規則に特定の病気が見られること

症状

血中の酸素濃度が低いために爪や唇が紫色になる症状が主にみられ、これはチアノーゼと呼ばれます。チアノーゼが現れる時期と程度は心臓の状態によって異なりますが、生後1~2か月頃からチアノーゼがみられるようになり、成長とともに症状が目立つようになることが多いです。また、一般的にはチアノーゼがみられる前の、生まれて間もない頃から心雑音が聞こえます。

右心室の出口の狭まりが強い赤ちゃんの場合は、泣いた後や熱を出したときなどの刺激によってチアノーゼ発作(無酸素発作)と呼ばれる発作症状を起こすことがあり、チアノーゼとともに呼吸困難がみられます。症状は10分程度で自然に治まることがほとんどですが、意識がなくなったり全身のけいれんを起こしたりすることもあり、発作が長時間に及ぶと命に関わることもあります。

多くは乳幼児期から小児期に症状がみられますが、人によっては小児期には目立った症状がなく、大人になってから不整脈などの心臓の症状が現れることもあります。

検査・診断

ファロー四徴症は、検査で心室中隔欠損、大動脈騎乗、漏斗部狭窄・肺動脈狭窄、右室肥大が認められた場合に診断されます。これらの特徴は、心エコー検査または心臓カテーテル・造影検査などで調べることができます。

ファロー四徴症の重症度は漏斗部狭窄・肺動脈狭窄の程度によって異なり、狭窄が強いほど重症でチアノーゼが強くなります。

治療

ファロー四徴症の主な治療には外科手術と薬物治療があります。

外科手術

ファロー四徴症の基本的な治療です。チアノーゼの程度が比較的軽い場合はチアノーゼの悪化を防ぐ治療を行い、乳児期後半から1歳前後で根治手術を行います。

根治手術では狭窄した右心室の出口から肺動脈を広げる手術(右室流路再建)と、右心室と左心室を隔てる壁の穴をふさぐ手術(心室中隔欠損のパッチ閉鎖)を同時に行います。

新生児や乳児期で患者が小さく右心室の出口の狭窄が強い場合は、チアノーゼ発作を改善するための手術(体肺動脈短絡術)を行い、成長した後に根治手術を行います。

根治手術後はチアノーゼが解消し、日常生活の制限もなくなることが多いですが、術後長期にわたって肺動脈弁逆流、残存肺動脈狭窄不整脈三尖弁逆流(さんせんべんぎゃくりゅう)、大動脈の拡大や大動脈弁逆流などが現れる可能性があるため、動悸や心不全に注意しながら定期的な経過観察が必要となります。残存病変が強い場合にはカテーテル治療や再手術が必要になることもあります。

薬物治療

根治手術を行うまでは、チアノーゼ発作を抑えるための治療薬(β遮断薬)を使用することがあります。また、チアノーゼの改善を目的に行われる体肺動脈短絡術後は血液を固まりにくくする薬(抗血小板薬など)が必要です。

根治手術後は心臓の負担の程度に応じて利尿薬や強心薬、さらに術後の不整脈に対して抗不整脈薬を使用することがあります。

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