減圧症に対する特異的な検査はありませんが、現在では主に血液検査やMRIなどの画像検査が行われています。また、ご自身で病状を判断する自己チェックシートの活用も有用な手段の一つです。引き続き、ハーバード大学医学部外科学講座研究員の近藤豊先生にお話し頂きました。
減圧症では、一般的な診察と血液検査で、他の疾患の除外と基礎疾患の有無、ヘモグロビン値やヘマトクリット値での脱水所見、凝固能などの評価をおこないます。
私はプロカルシトニン値が高いほど減圧症の重症度が高い傾向にあると考えています。
診察と血液検査で減圧症の可能性が高いと判断した場合には、病状に併せて、心臓超音波・CT・MRI検査等を追加します。
減圧症に対する特異的な検査方法は現在のところありませんが、画像検査で気泡を確認できれば、減圧症とほぼ診断ができます。
しかしながら、気泡は画像に現れない場合も多いので、通常は一般診察、神経学的検査、血液検査、画像検査(レントゲン、心臓超音波、CT検査など)によって総合的に診断します。
なお神経学的検査で異常がみつかるのは、脊髄型減圧症や脳型減圧症の場合です。
内耳前庭型減圧症の診断には、外リンパ瘻との鑑別が必要となることが多く、耳鼻科での専門的診察が必要になることがあります。
(減圧症の種類については記事3『減圧症の症状は? 潜水中に「息切れ」を感じたら要注意』を参照)
医療機関の受診に迷った場合には、自己チェックシートも有用なツールの一つになります。また、定期的にスキューバダイビングをする方であれば、DAN JAPAN(Divers Alert Net Work Japan)の会員になると、潜水に関する講習会の受講や緊急ホットラインのサービスを24時間365日体制で受けることができます。
DAN JAPANは米国のシステムでしたが、日本でも減圧症にかかった患者さんを早期に対応できる体制の確立が望まれたことから、1992年にDAN JAPANが発足しています。
脳型減圧症や脊髄型減圧症の後遺症の精密検査として、脳や脊髄のMRI検査を実施することがあります。潜水に伴う大腿骨や上腕骨の無菌性骨壊死はMRIや骨シンチグラフィでほぼ診断が可能です。
しかし、脊髄型減圧症の後遺症の場合、MRIでもみつけられない小さな静脈梗塞が原因であれば、検査で異常が発見されないケースがあると考えられています。
他には他疾患の合併の有無や一般的な全身状態を評価するため、定期的に血液検査を実施します。また脳型減圧症の場合には、脳波の精密検査を行うことがあります。
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