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インタビュー

思春期早発症とは―早期に初経(生理)や発毛、声変わりが生じる

思春期早発症とは―早期に初経(生理)や発毛、声変わりが生じる
峯岸 敬 先生

群馬大学 理事(研究担当)

峯岸 敬 先生

思春期早発症は、通常、小学校高学年の児童〜中学生のあいだに始まる思春期よりも早くに思春期が起こる疾患です。通常の思春期と同じく、初経(生理)や精巣の発育、声変わり、陰毛の発育などが症状として現れます。最終的には性ホルモンの分泌異常によって症状が出ますが、時には背景に脳腫瘍や卵巣・精巣などの腫瘍が隠れていることもあります。思春期早発症の原因と症状について、群馬大学副学長・理事で産婦人科医でもいらっしゃる峯岸 敬先生にお話しいただきました。

10歳くらいの子ども

思春期早発症は、何らかの理由によって通常よりも早く思春期が始まり、第二次性徴(初経や精巣の発育、乳房の発育、声変わりなど)が現れる疾患です。日本産科婦人科学会の定義では、思春期の年齢について8〜9歳ごろに始まり17〜18歳ごろまでとされていますが、思春期の発来には個人差があります。通常、男児は12歳ごろ、女児は10歳ごろから思春期の兆候がみられますが、それが2〜3年ほど早く始まります。

思春期早発症の発症率は同性同年齢のあいだでおおよそ2〜3%の割合で発症します。しかしながらそのなかでも治療対象となる患者さんは半数程度といわれており、残りの半数は検査の結果、経過観察にとどまることもあります。そのため、実際に治療の対象となる思春期早発症の患者さんは同性同年齢の1%程度です。

女児のほうが男児よりも3〜5倍多く発症するといわれています。

思春期は脳にある視床下部という部位から出たGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)が下垂体に働きかけ、下垂体が精巣・卵巣に命令を送り、精巣や卵巣から性ホルモン(男性はテストステロン、女性はエストロゲン)が分泌されることによって心身に変化が生じます。具体的には発毛や声変わり、月経(生理)・精巣の発育などの体の変化、身長が一気に伸びる(成長スパート)、骨成熟の促進です。

思春期早発症ではこれらが通常の思春期よりも2〜3年以上早く生じます。

思春期早発症の原因

思春期早発症はその原因によりおおきく2種類に分類されます。そのなかでも中枢性はさらに2種類にわけられます。

中枢性思春期早発症は、視床下部から下垂体へGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)が早期から分泌されることが原因で思春期が早期に訪れます。この場合、視床下部や下垂体といった中枢のコントロールが機能しなくなっていることから、中枢性思春期早発症と呼ばれます。

視床下部から下垂体へGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)が早期から分泌され、その結果として下垂体が精巣や卵巣を刺激するLH(黄体化ホルモン)、FSH卵胞刺激ホルモン)の分泌を増やし、精巣や卵巣にテストステロンやエストロゲンの分泌を促します。

この中枢性思春期早発症のなかでも、腫瘍など脳の病気によって引き起こされるものを器質性中枢性思春期早発症、検査でも脳などに異常が見当たらず原因不明のものを特発性中枢性思春期早発症といいます。女児の場合は特発性中枢性思春期早発症の割合が多く、女児の思春期早発症の70〜90%を占めます。男児の場合は脳腫瘍などが原因の器質性中枢性思春期早発症が女児よりも多いといわれています。

末梢性思春期早発症は、視床下部や下垂体といった中枢は正常に機能しているが、何らかの原因により精巣・卵巣からの性ホルモン分泌が過剰に起こっていることで思春期早発症が現れるものです。つまり、精巣・卵巣といった末梢の性ホルモン分泌をコントロールできなくなることから末梢性思春期早発症と呼ばれます。

たとえば精巣や卵巣に腫瘍が発生し、性ホルモンが過剰分泌されることで末梢性思春期早発症となることがあります。

親子

非常にまれですが、思春期早発症の一部には遺伝性のものがあることがわかっています。

副腎皮質という場所からつくられるステロイドホルモンの生成の過程で必要な酵素や蛋白が先天的に欠損することにより起こる疾患です。ステロイドホルモンの一種である性発達に関連する副腎性アンドロゲン(性ステロイド)が正常に分泌されない場合、思春期早発症が起こることがあります。

遺伝子異常により男児にのみ発症する思春期早発症です。LH(黄体ホルモン)受容体の突然変異によって、LHの分泌やLH受容体との結合に関係なく過剰にテストステロンが分泌されてしまうことが原因であるといわれています。

家族性男性思春期早発症は、日本においてはあまり報告されていません。

思春期早発症の症状として現れるものは、通常の二次性徴の特徴と一致します。ただ、それが通常よりも早期に発来する点に特徴があります。そのため、症状が現れた年齢が重要です。

具体的な思春期早発症の主な症状は以下の通りです。

思春期早発症の症状

  • 9歳までに精巣(睾丸)が発育する
  • 10歳までに陰毛が生える
  • 11歳までに脇毛、ひげが生える、声変わりがみられる

男児の場合は精巣の発育(4ml以上)が思春期早発症の基準のひとつとなります。しかしながら精巣の発育は気づきにくい症状であるため、女児よりも男児の思春期早発症のほうが発見しにくい傾向にあります。

  • 7歳6か月までに乳房の発育がみられる
  • 8歳までに陰毛、脇毛が生える
  • 10歳6か月までに月経(生理)が始まる

女児の場合は乳房の発育がわかりやすい症状ですが、早期乳房発育症との鑑別が重要です。早期乳房発育症は6歳ごろに一時的にエストロゲンの分泌が高まり、乳腺が発達し、乳房がふくらみます。しかしこの場合は経過観察していくと乳房の発育しか症状がなく、乳房のふくらみもやがて消失します。

そのほか、視床下部の先天的奇形である視床下部過誤腫による笑い発作(ニヤニヤする、声をあげて笑うなど)、ゴナドトロピン依存性思春期早発症(中枢性思春期早発症)では副腎の成熟を伴うことからにきびの増加、といった症状が現れることがあります。

悩む小学生

思春期早発症は人より早く思春期がくるだけで、そんなに心配はいらないのではないかと思う保護者もなかにはいらっしゃるかもしれません。しかしながら、早期に思春期が発来することで子どもが社会生活を送るうえで苦痛を伴うことがあります。

思春期早発症は、早期に体が完成してしまうため一時的に身長は伸びますが、低身長のまま体の成長が止まってしまうことがあります。

周りの子よりも早く乳房がふくらむ、陰毛が生えるなどの二次性徴がみられるため、周りの子から注目される、体のことでからかわれるなど、子ども同士の交友関係でストレスを受けることがあります。

原因でも述べたように、なかには脳腫瘍などの重篤な疾患が起因となって思春期早発症が生じている可能性も否定できません。背景にこれらの重篤な疾患が隠れている場合は、早期に治療を開始しないと命にかかわる可能性があります。

子どもに思春期早発症が疑われる場合、放置せずにまずは小児科を受診しましょう。小児科には内分泌専門医という、思春期早発症に詳しい医師がいます。内分泌専門医の資格を持つ医師がいる医療機関を受診するか、お住まいの近くにこの資格を持つ医師がいない場合は、かかりつけの小児科医などから紹介をしてもらうとよいでしょう。

思春期早発症はほかの子よりも早い思春期の発来により精神的苦痛を感じたり、ときには重篤な疾患が原因となって発症していたりするケースがあります。「人より発育が早いだけ」と放置せず、気になる症状があればまずは医師に相談をしてください。

 

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