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喀血に苦しむ患者さんへ安心を届けたい〜岸和田リハビリテーション病院 喀血・肺循環センター

喀血に苦しむ患者さんへ安心を届けたい〜岸和田リハビリテーション病院 喀血・肺循環センター
石川 秀雄 先生

医療法人えいしん会 理事長・病院長 医療法人えいしん会 岸和田リハビリテーション病院 喀血・肺...

石川 秀雄 先生

目次
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喀血(かっけつ)治療の専門施設である、医療法人えいしん会 岸和田リハビリテーション病院 喀血・肺循環センター。年間200〜320例の気管支動脈塞栓術(BAE)を実施し、その高い治療技術を求めて日本全国から多くの患者さんが来院しています。

今回は喀血・肺循環センターの設立者であり、3000例以上のBAEの経験を持つ石川秀雄先生に、センター設立の経緯や喀血治療にかける想いについてお話しいただきます。

※喀血の症状や検査方法は記事1『喀血とは?吐血との違いや原因について』を、喀血の治療法「気管支動脈塞栓術(BAE)」については記事2『喀血の治療法−カテーテルで行う「気管支動脈塞栓術(BAE)」について詳しく解説』をご覧ください。

循環器内科医からの転身

石川先生

最初は渋々始めたBAE

私は気管支動脈塞栓術(BAE:喀血に対するカテーテル治療)をライフワークとするまで、循環器内科医をしていました。そんな私がBAEを始めたのは、国立療養所近畿中央病院(現:国立病院機構 近畿中央呼吸器センター)で勤務していたときのことです。

同病院は呼吸器疾患の専門病院であったため、循環器内科医の本業ともいえるカテーテル治療(PCI)を必要とする方は数少なかった一方で、喀血に悩む患者さんはとても多くいらっしゃいました。そのようなことから、「カテーテル治療の経験を生かしてBAEもやってくれへんか?」と声がかかり、BAEを行うこととなったのです。

正直に言うと、最初は「仕方なく」という気持ちでBAE を行っていました。当時は現在のように3DのCTアンギオもありませんし、1回の治療時間に5時間も6時間もかかっていました。そのうえ、治療した途端に再喀血する患者さんも多く、申し訳なさと辛さでいっぱいになりながらBAEを行っていました。

BAEへの意識を180度転換させた言葉

血管モデルでトレーニングをする様子
血管モデルでトレーニングをする様子

疲労感に苛まれながらBAEに明け暮れていたとき、当時の副院長であった井内先生からこんな言葉をかけられました。

「もしかして日本で一番BAEをやっているのは石川先生とちゃうか?しんどいかもしれんけど、どうや本格的にBAEをやってみんか?」と。

そのとき、ちょうど近畿中央病院が準ナショナルセンターに指定され、経営陣がオリジナルな治療を模索していた中で、BAE を売りにしたらどうかとなったようです。

もっとも尊敬する臨床家であった井内先生からそんな言葉をかけられて、「それは確かにそうかもしれん。うん、頑張ってみよう!」と一念発起。「やらされている仕事」から「自分の仕事」へと、モチベーションが180度変わり、本格的にBAEを行うことになったのです。

喀血・肺循環センターの設立

岸和田リハビリテーション病院 石川秀雄先生

近畿中央病院から医療法人盈進会への移籍−渡邉美樹氏への直談判

一生懸命やっていると院内外からの紹介患者さんもだんだんと増えてきて、気づいたときには自分の専門となっていました。夢中になってBAEをしていたちょうどそのとき、3つの病院からヘッドハンティングの話が来たのです。そのうちのひとつが、医療法人幸会喜多病院(現:医療法人えいしん会岸和田リハビリテーション病院)でした。

喜多病院にはカテーテル室がなかったのですが、「BAEを行うためのカテーテル室を作る」という条件を提示してくれたため、同病院への移籍を決心しました。

しかし、そこに当時の法人代表であった渡邉美樹氏(ワタミ株式会社創業者)から、突然のストップがかかります。喀血・肺循環センターの設立には2億円ほどの投資が必要だったため、「喀血・肺循環センターの設立は、石川先生の働きぶりをみてから」と事務局長へ指示が入ったとのことでした。

「移籍までして、もしセンター設立に至らなかったら…」と危機感にかられた私は、渡邉氏へ直談判を申し込みます。これまでに感じたことのないような緊張感を持って直談判に望んだ結果、渡邉氏は「ぜひやりましょう!」と言ってくれたのです。

そして2006年5月、ついに喀血・肺循環センターが設立されました。

患者さんは集まってくれるのか…という不安をよそに、多くの紹介が

無事、喀血・肺循環センターの設立に至り安堵する一方、「本当に患者さんが集まってくれるだろうか…」という大きな不安がありました。近畿中央病院というブランドに患者さんが来てくれていただけで、その肩書きを失ってしまった老人病院勤務の私のところには誰も来てくれないのではないだろうか。そう思っていたため、年間症例数20例とかなり控えめな目標を設定していました。

しかし私のそんな不安をよそに、初年度からおよそ100例もの紹介が喀血・肺循環センターへと来たのです。今や年間200〜320例もの紹介をもらえるセンターへと成長しました。

喀血・肺循環センターを支えるスタッフ

喀血・肺循環センター スタッフ
岸和田リハビリテーション病院の術者の皆さん。
左から、大町直樹先生(喀血・肺循環センター副センター長 兼 呼吸器インターベンション医長)、西原昂先生(喀血・肺循環センター医長)、山口悠先生(呼吸器インターベンション医長)、石川秀雄先生(理事長 病院長 喀血・肺循環センター長 呼吸リハビリセンター長)

喀血・肺循環センターが、日本全国から患者さんが集まってくれるような施設に成長できたのは、当然私の力だけではなく、スタッフの強力なサポートがあったからです。診療放射線技師・看護師・薬剤師・医療秘書・喀血・肺循環センター運営課長と共に、より高いレベルの喀血治療を患者さんに提供すべく、日々尽力しています。

ここでは、当センターの診療放射線技師と喀血・肺循環センター運営課長をご紹介します。

診療放射線技師による治療前のCTアンギオ解析

BAEを行う前に必ず行う検査が、CTアンギオ(造影CT検査)です。CTアンギオでは、喀血の原因疾患や喀血を引き起こしている血管を特定します。

通常、CTアンギオは医師がやっている病院が多いのですが、当院では診療放射線技師がそれらを行ってくれています。さらに、診療放射線技師がCT結果から、治療すべき血管やリスクを見極め、以下のような解析結果報告書に細かくまとめてくれます。

そのようなサポートがあるために、私たち医師は治療に専念することが可能です。BAEを行ううえで、スキルとモチベーションの高い診療放射線技師はなくてはならない存在です。

CTBA解析結果報告書
診療放射線技師によるCTBA解析結果報告書。治療対象血管を星の数によって三段階に重み付けし、さらに治療リスク判定も実施し、治療すべき血管が解析されている。

喀血・肺循環センター運営課長との二人三脚で行うBAE

私と一緒に喀血・肺循環センターの中心的な存在として活躍してくれているのが、喀血・肺循環センター運営課長である北口和志氏です。北口氏はもともと医療機器のディーラーであり、私が近畿中央病院で勤務している頃に出会い、創業期から熱心にサポートしてくれました。

北口氏は、喀血治療に強い熱意を持っていたため、私は喀血・肺循環センターを立ち上げる際に、「一緒にセンターを立ち上げませんか?」と声をかけました。すると、なんとその場で、奥様にすら相談せずに私について来てくれる決心をしてくれたのです。

北口氏は私よりも多くの私以外の術者のBAEをみてきていますから、金属コイルの選択や詰め方に関しては私と同じかそれ以上の知識を持っているといっても過言ではありません。

そのため、私たち医師が治療に集中するあまり視野が狭くなってしまう中、北口氏はいつも全体を見渡し、また術者がヒートアップしたときなど、ブレーキとしてはたらいてくれる場合もあり、常に的確な指示を与えてくれます。

また、患者さんには私たちのディスカッションがすべて聞こえているので、それが安心感にもつながっているというお話をよくいただきます。「NASAの交信みたい」とおっしゃる患者さんもいらっしゃり、高度に専門的な議論の末に、治療方針が逐一決められているという頼もしい印象を持っていただいているようです。

全国から来てくれる患者さんの期待に応え、安心して治療を受けていただくために

喀血・肺循環センターには、北海道から沖縄まで、日本全国から喀血に苦しんでいる患者さんに来院していただいています。

「もし自分が遠く知らない土地で治療を受けるとなったら…」そう考えると、患者さんの不安な気持ちが分かると同時に、私たちに強い信頼感を持ってくれていることを強く感じます。そして、「なんとかして喀血の苦しみから解放されたい」と強く願う気持ちもよく分かります。

私たちは、そんな患者さんの強い信頼と期待に応えると同時に、少しでも不安を軽減してあげられるような治療を提供するべきだと思っています。

世界一リラックスできるカテーテル室を目指して

喀血・肺循環センターのカテ室
喀血・肺循環センターのカテ室。天井に空模様が描かれている。

患者さんに安心していただくために、喀血・肺循環センターは、「世界一癒し系のリラックスできるカテーテル室」を目指しています。

それは内装面でもいえることですし、スタッフ全体の雰囲気も大切だと思っています。

通常カテ室というと、ピリピリとした緊張感に包まれていることが多いです。術者がピリピリしているのは余裕や自信がない証拠です。しかし、治療は基本的に局所麻酔で患者さんの意識がある状態で行います。スタッフが過度に緊張していると、その緊張は直に患者さんにも伝わってしまいます。少しでも安心して治療を受けていただくために、治療中の雰囲気作りはとても大切だと考えています。

治療はすべての症例で見学可能

より安心感を持っていただくために、すべての症例でご家族の治療見学が可能です。治療中のスタッフ間の会話などもすべてお聞きいただけるなど、すべてを操作室からお見せします。

手術の様子が分からない場所で待機していると、治療に想定以上の時間がかかっているときなど、「何かあったのではないか…」という不安は大きくなる一方でしょう。そのような不安を軽減していただくためにも、治療の様子を見学できるようにしています。終了後にモニターを使ってご説明するより、リアルタイムに見ていただいたほうが、はるかによく理解していただけます。実際のところ95%くらいの患者さんのご家族が見学してくださっています。

石川秀雄先生が考える、喀血治療の将来構想

石川秀雄医師

治療技術を向上させるためには「センター化」が求められる

喀血の患者さんは日本全国にも国際的にも潜在的にまだまだ数多くいらっしゃると思われますが、その発症頻度は多くありません。呼吸器内科医であっても、1年に数えるほどしか喀血をみないといわれているほどです。

このように症例数が限られている中で、いくつかの病院がばらばらと治療を行っても、各病院は十分な症例数を積むことができず、治療レベルを向上させることは困難でしょう。

そのため、患者さんに高いレベルの治療を届けるためには、一定の地域内に喀血治療を専門に行う病院を作る「センター化」が必要なのではないかと考えています。1つの病院に地域内のすべての喀血患者さんを集約することで、治療技術の向上が期待できます。我々のようないわゆるハイボリュームセンターが、北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州の各地域にひとつずつできるというのが私の将来構想です。

関東にはすでに我々と志を同じくされる病院が複数あり、中部では静岡県立静岡医療センター、中国では倉敷中央病院が、それぞれ頑張っておられます。

喀血治療を普及させていくために

喀血の治療は放射線科医が実施している病院がほとんどでしたが、本来は呼吸器の病気に精通している呼吸器内科医が喀血治療を担うべきです。心臓や脳のカテーテルは放射線科任せにせず、循環器内科医や脳神経外科医が実施しているように。

しかしこれまで、呼吸器内科医がカテーテル治療を行うという発想や文化はほとんどありませんでした。そこで私は、喀血治療を行う全国の呼吸器内科医の先生方と一緒に「呼吸器血管内治療研究会」を立ち上げ、カテーテル治療を行う呼吸器内科医を増やすための取り組みを行っています。「右手に気管支鏡、左手にカテーテル」が当院の喀血・肺循環センターのキャッチコピーです。

また、当院では喀血・肺循環センターの臨床研究部門として「喀血研究所」も立ち上げました。臨床研究のブレーン/メンターとして高名な臨床研究学会代表理事 原正彦先生のご指導を直接受けることができる体制を整えております。

このような取り組みによって南大阪から世界に向けて喀血治療のエビデンスを次々と発信し、喀血治療の有効性と安全性を世界の呼吸器科医と喀血患者さんに浸透させていくことが、喀血治療の国際的普及につながり、ひいては世界の悩める喀血患者さんの救済につながることを確信いたしております。喀血治療のグローバルな爆発的普及に向けてこれからもスタッフ一同、全力で邁進して参ります。