院長インタビュー

Patient Firstの精神で職員一丸となって医療の質向上に取り組む飯塚病院

Patient Firstの精神で職員一丸となって医療の質向上に取り組む飯塚病院
増本 陽秀 先生

飯塚病院 院長

増本 陽秀 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

この記事の最終更新は2019年03月29日です。

福岡県飯塚市にある飯塚病院は、同院の開設に尽力した麻生太吉氏の「郡民のために良医を招き、治療投薬の万全を図らんとする」精神を現在に受け継ぎ、職員一丸となり、患者さんを第一に考えた医療の提供に努めています。

2018年に開院100周年を迎えた同院独自の取り組み、診療体制、医師や看護師の研修教育体制について、病院長の増本陽秀先生に伺いました。

病院外観(北棟)
病院外観(北棟)

当院は2001年にISO14001、2008年にはISO9001の認証を取得しました。ISOは製品やサービスの質を保証する国際的な基準です。品質や環境を管理し向上させるための組織のマネジメント手法が述べられており、マネジメントシステム規格とも呼ばれています。

当院が認証取得しているISO14001は環境マネジメントシステム、ISO9001は品質マネジメントシステムです。ISOの導入により、病院トップの方針が各部署の職員一人ひとりにまで浸透しやすくなり、目標達成を目指して病院全体が同じ方向を向いて行動できるようになったと感じます。

またトップの方針を受け、現場の最前線にいる医療従事者が医療現場の改善を目的として「TQM活動」を行っています。当院では、毎年1月に院長がその年の方針を発表し、これが院内報に巻頭言として掲載されます。それを受けて現場の職員は、方針に沿ったTQM活動を開始するため有志によるサークルを立ち上げます。4月には病院を挙げて「キックオフ大会」を開催し、各サークルの活動テーマや意気込みを病院全体で共有して気運を高め、それから半年かけて改善のためのPDCAサイクルを回します。10月に開催される「TQM発表大会」で半年間の成果を発表し、優秀チームは表彰を受けます。このTQM活動は2019年で26年目を迎え、10月の発表大会には日本全国から毎年たくさんの医療関係者が見学に訪れています。

チームが力を合わせて目標達成を目指して活動することで、職種を越えた連帯感とコミュニケーションが強化され、これが「現場力」の源となり当院の一番の強みとなっています。

手術風景
手術風景

当院の救命救急センターは1982年の開設以来、緊急手術や集中治療を含む救急医療が必要な患者さんを受け入れ続けてきました。24時間体制で稼動している当センターでは、予断を許さない状態で搬送されてくる患者さんに対して、より迅速に的確な処置を行えるよう、医師の役割分担、看護師によるトリアージ、ER-Aide(イーアール・エイド)の導入など、独自のシステムを運用しています。

さらに臓器別の専門医療と、あらゆる病状に対応できる総合診療の両者を充実させることで、高度急性期・急性期医療における役割を果たしています。

カンファレンス風景
カンファレンス風景

当院は地域医療支援病院の指定を受けています。当院の周辺地域のみでなく筑豊地域全体の医療を、地域の他の医療機関と共に支えることが当院の大切な使命です。

当院では院内組織を、診療部門、看護部門、医療技術部門、経営管理部門の4つの部門に分け、それをさらに細分化しています。同じ診断名の病気でも、必要とされる医療・介護・福祉サポートの内容と程度は患者さんによって異なります。当院では、多職種の職員が診療科や部門を超えて協力し、それぞれの患者さんに最も適した医療サービスを提供するよう努めています。

当院は、臨床研修指定病院として初期研修医および専攻医(後期研修医)を受け入れています。科学的根拠に基づき、一人ひとりの患者さんに最も適した医療を提供するため、医師教育に力を入れています。

「教育」は当院の特徴を表すキーワードのひとつであり、院内外での勉強会はもとより、アメリカの一流施設との提携などにより研修教育体制の充実に努めてきました。

常時多数の研究会や勉強会を開催しており、院内での勉強の機会は豊富です。また海外から講師の先生を招聘しての臨床実地指導や講演会をたびたび開催しています。当院には、職員の英語教育のためにネイティブの英語教師が常駐しており、国際学会での発表資料の添削や、発表に備えた指導を受けることができます。海外提携の一環として、ピッツバーグ大学との共同プロジェクトで開発した教育プログラムを研修医教育に活用しています。この教育プログラムは米国卒後医学教育認定評議会(ACGME)のカリキュラムに準拠したものであり、これによる国際水準の医師教育を目指しています。また後期研修医チーム、指導医チーム、および看護師チームをピッツバーグ大学メディカルセンターに毎年派遣しています。これらのチームは現地で臨床医学研修および看護研修を受け、学んだことを当院の医療従事者に還元しています。

海外の大学や一流医療施設とのこのような提携協力体制は、当院の大きな魅力となっています。

当院は臨床研究にも力を入れています。当院には「臨床研究助成制度」という制度があり、毎年提出される研究計画を審査委員会で審議し、優れた研究課題に対して研究助成金を出し研究を支援しています。さらに論文が医学雑誌に掲載されると、「学術奨励賞制度」で筆頭著者を表彰し褒賞金を出しています。指導医も同時に表彰し、筆頭著者に対する褒賞金の半額を指導医褒賞として授与します。当院は研究と論文執筆を奨励し、学術活動に対する職員の意欲を高めるために、この学術奨励賞制度を医師だけでなく全ての職種の職員に適用しています。

医療の現場には隠れたニーズがたくさんあります。当院はこのニーズを発掘し、解決のためのアイデアをもとに医療機器や医療材料を開発することで「医療イノベーション」を目指しています。イノベーション推進本部を設置してこの活動を推進し、医療機器メーカーとも積極的に共同開発を行い、医療の質の向上を目的として医療イノベーションに取り組んでいます。

アメリカで医療イノベーションを牽引しているシリコンバレーのフォガティ研究所とも提携し、医工連携やバイオデザインのメッカであるスタンフォード大学との間にも強力なパイプを持っています。

地域住民の皆さんのご意見を当院の医療体制に反映させるために、住民医療協議会を年2回開催しています。協議会では、地域住民の代表の方々に委員として出席していただき、院長を含む病院幹部との意見交換を行ないます。

当院では、運動会、バレーボール大会、フットサル大会などのスポーツ大会や、全職員を対象にした忘年会を開催しています。また「バスハイク」では、家族連れで梨狩りなどを楽しみます。

仕事の場を離れて一緒に楽しむことが、職種を越えたコミュニケーションを促進し、チーム力の強化をもたらすと考えます。

増本先生

当院では、2018年度から2025年度までの中長期計画のビジョンを「Patient Firstを追求し、選ばれる高度急性期・急性期医療」と定めました。

当院は、救命救急センターを中心とする救急医療、診療各科による専門医療、あらゆる病状に対応できる総合診療を3つの柱として、高度急性期・急性期医療を提供しています。一人でも多くの患者さんを受け入れ、より円滑に医療サービスを提供するために「地域連携」を推進し、地域の医療機関と連携することにより地域内で完結できる医療を目指しています。

Patient Firstの精神に則り、患者さんのための「まごころ医療」を提供し続けることで、自ずと患者さんに選ばれる病院になれると考えます。医療従事者の自己満足となることなく、患者さんの思いをしっかりと受け止めて、一人ひとりの患者さんに最も適した医療を提供できる病院でありたいと考えます。

当院は2018年に開院100周年を迎えました。ここに至ることができたのは、職員の努力もさることながら、地域住民の方々、地域医療機関の皆さんに支えていただいたおかげです。

100周年を迎えると同時に、私たちは次の100年へのスタート地点に立つこととなりました。職員が一丸となって力を合わせ、地域の皆さんが安心して暮らせる街創りのために、医療を通じてお役に立ちたいと思っています。

受診について相談する
「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

「受診について相談する」とは?

まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

  • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
  • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。
実績のある医師をチェック

Icon unfold more