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治療と仕事の両立を支援する東京労災病院の取り組み

治療と仕事の両立を支援する東京労災病院の取り組み
加藤 宏一 先生

東京労災病院 脳神経外科部長 / 両立支援部長

加藤 宏一 先生

目次
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東京労災病院では、主にがん脳卒中、メンタルヘルス不調の方の治療と仕事の両立支援を行っています。両立支援の取り組みのひとつである両立支援相談窓口では、治療と仕事の両立にあたり、何らかの悩みや不安がある方の相談に応じています。また、患者さんのみならず、企業や他の医療機関からの相談にも対応しています。

実際に、どのように両立支援相談窓口を利用したらよいのでしょうか。また、両立に関する調整を行う両立支援コーディネーターには、どのような役割があるのでしょうか。

今回は、東京労災病院 両立支援部長である加藤 宏一先生に、同病院の両立支援の取り組みについてお話しいただきました。

 

私たち東京労災病院は、病気の治療のみならず、病気の予防から治療後の復職支援、治療と仕事の両立支援まで、患者さんの人生に寄り添ったサポートを行っています。

両立支援に注力するようになったのは、がんの患者さんの増加がきっかけでした。がんにかかったことを理由に仕事を辞める方が増加したことを契機に、その対策のために実態調査を始めたのです。

医療の進歩と共に、近年はがんが治るケースも増えてきました。たとえば、就業しながら通院でがんの治療を行うことが可能になり、たとえがんにかかったとしても仕事を続けるケースも増えています。一方、治療と仕事の両立を上手に続けられる体制はまだまだ整備されていない現状があり、当院でも両立を可能とする体制づくりに取り組むようになりました。

東京労災病院
患者さんの人生に寄り添ったサポートを行っている東京労災病院

東京労災病院が属する独立行政法人 労働者健康安全機構では、2014年より、がん、脳卒中糖尿病、メンタルヘルス不調の4つの病気の治療と仕事の両立支援に取り組んできました。

中でも、私たち東京労災病院は、がん、メンタルヘルス不調の方の治療と仕事の両立支援の中心病院として活動しています。

治療就労両立支援センター
東京労災病院内にある治療就労両立支援センター

当院の両立支援のひとつに、両立支援相談窓口の取り組みがあります。両立支援相談窓口では、治療と仕事の両立で何らかの悩みや不安がある方の相談に応じています。病気の状態や治療のスケジュールなどによって相談の内容は異なりますが、たとえば、以下のような相談に対応してきました。

  • 病気の治療をしながら働き続けられるか不安だ
  • 病気のことを職場にどのように伝えたらよいかわからない
  • 両立に対する職場の理解が得られるか不安だ

など

私たち東京労災病院の両立支援の対象は、当院の患者さんだけに限りません。そのため、両立支援相談窓口は、当院をご利用いただいている患者さんのみならず、どなたでもご利用いただくことが可能です。また、患者さんだけではなく、企業や他の医療機関からの相談にも対応しています。

対象疾患も注力しているがん脳卒中、メンタルヘルス不調のみならず、あらゆる病気の方の相談に応じる体制を築いています。

 

相談窓口のご利用を希望される方は、まずは窓口へお電話ください。相談内容や状態をお伺いしたうえで、その後、実際に相談に来ていただきますが、特別な準備は必要ありません。

窓口への相談は1回で終わる方もいれば、10回程度面談を続けるような方もいます。相談を継続される場合も、1年で終わるケースもあれば何年もかかるケースもあります。

相談の回数や期間に特に制限はありません。必要な回数や期間、ご利用いただきたいと思います。

両立を行ううえで、患者さんが勤める企業などに対して何らかの調整が必要であれば、当院の両立支援コーディネーターが間に入り調整を行います。両立支援コーディネーターとは、治療と仕事の両立支援に関する基礎的な知識を有し、患者さん、医療機関、企業の間で情報を共有し、両立に伴う調整を行う者を指します。

当院では、がん脳卒中、メンタルヘルス不調の方が相談にいらした場合、必ず両立支援コーディネーターに連絡がいくような体制を築いています。

両立支援コーディネーター

両立支援コーディネーターの活動とは?

たとえば、両立支援コーディネーターが、患者さんの主治医、産業医、職場の担当者から話を聞き現状を把握したうえで、どのような仕事であれば従事することが可能か、改めて患者さんの職場へお伝えすることが可能です。その際、通勤時間や勤務時間、休憩や出張の有無、細かい作業内容などについて伝えるようにしています。

当院には、両立支援コーディネーターの資格をもっている者が7名います(2019年2月現在)。具体的には、医療ソーシャルワーカーやリハビリスタッフ、管理栄養士、臨床心理士だった者が両立支援コーディネーターの資格を取得し、両立支援に取り組んでいます。

当院では、両立支援コーディネーターの取得を推進しており、両立支援に従事する者を積極的に育成するよう努めています。

 

私は、治療と仕事の両立支援の中でも、特に、中小企業に勤める方や自営業の方の両立支援が課題であると考えています。中小企業は、大企業と比べて従業員が一人抜けたときの会社への影響が大きく、場合によっては、企業の存続に関わってしまうこともあるからです。自営業の方であると、治療で仕事を辞めてしまうことで生活できなくなってしまうなど、より深刻な問題につながることもあると考えられます。

現状でも、障害者雇用安定助成金や東京都難病・がん患者就業支援奨励金など、治療と仕事の両立のための勤務制度や休暇制度を導入することで、事業主に助成金が発生するケースもあります。

今後は、このような助成金のさらなる整備が、より両立しやすい社会へとつながっていくと考えています。

 

加藤先生

がん脳卒中など何らかの病気を発症した方には、病気を理由に早まって仕事を辞めないでいただきたいと思います。大切な決断は、相談してからでも遅くありません。退職してしまう前に一度ご相談いただきたいと思います。

また、両立を目指すときには、治療やご家族と過ごす時間を優先したうえで、仕事も続けられる体制を築くことが大切です。そのためには、職場のサポートも大切になるでしょう。上手に職場と調整を行うために、両立支援コーディネーターへの相談も検討していただきたいと思います。

当院は現在、がんや脳卒中、メンタルヘルス不調の両立支援に力を入れていますが、今後は注力する対象疾患を広げていきたいと考えています。あらゆる病気の患者さんが上手に治療と仕事を両立することができるよう取り組んでいくつもりです。

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  • 東京労災病院 脳神経外科部長 / 両立支援部長

    加藤 宏一 先生

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