メディカルノートでは医療相談サービスを運営しています。この医療相談サービスでは、日常で生じる不安な症状やその対処法などについて回答しています。この記事では、花粉症についての「よくある質問」をまとめてみました。
花粉症は、スギなどの植物が原因となって鼻水やくしゃみなどのつらい症状を引き起こします。ごく一般的なアレルギー性の病気で、毎年のように苦しめられている方も多いでしょう。気になる症状がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
〈A1〉花粉症の治療は対症療法がメインであり、体質を根本から変えて根治させることは難しいと思われます。根治療法に近い方法には、減感作療法があります。これは、少量の抗原(アレルゲン)を体に入れていくことで、アレルギー反応が起こりにくいようにしていく治療です。以前は注射でしか行えなかった治療ですが、現在では液体や錠剤を舌の裏に入れることで行えるようになり、手軽になりました。ただし、1日1回、3~5年程度続ける必要があります(2019年時点)。また、これまで12歳以上でしか行うことができませんでしたが、一部の薬剤で治療が可能となっています。治療はスギ花粉が飛んでいない時期に開始し、指定の研修を修了した専門医しか薬を使うことができません。
〈A2〉スギ以外にもヒノキ・イネ・ブタクサなど、多くの植物の花粉に対するアレルギーが起こり得ます。スギ・ヒノキは花粉が小さく、風にのって遠距離に届くので、都市部でも避けることが難しいです。それ以外の花粉は、草むらや川辺などに生える野草が多く、こういった場所に近づかなければ強い症状は起こりにくいとされています。花粉症が起こる季節としては、春と秋に多く、夏と冬は少ないとされています。
〈A3〉花粉症のある方の一部では、生の果物、野菜などを摂取した際に口・のどにかゆみや違和感を覚える場合があります。これは、花粉⁻食物アレルギー症候群や口腔アレルギー症候群と呼ばれています。
花粉⁻食物アレルギー症候群では、まず花粉に感作*されて、その後に口腔粘膜に食物が接触してアレルギー反応をおこすようになります。春に多いスギ、ヒノキの花粉症はトマトと関連し、シラカンバ・ハンノキの花粉症はリンゴ、モモ、キウイ、大豆など、秋のブタクサはメロン、バナナなどと関連性があるとされています。
感作…ある抗原に対して感じやすくなる状態のこと
〈A4〉花粉症の症状には、鼻水・くしゃみ・咳・だるさ・熱っぽさなどがあり、風邪と見分けがつきにくい場合があります。また、花粉症でつらい症状があったり、よく眠れなかったりして体力が落ちていると、風邪にかかりやすいということも考えられます。
一般的には、目のかゆみ・涙が出る・体のかゆみなどは風邪では起こりにくいと考えられます。また、花粉症の患者さんの鼻水や涙を調べると、好酸球やIgEというアレルギー反応を示す物質が増えていますが、風邪ではIgEは増えません。耳鼻科の診察では、鼻粘膜の状態を観察し、粘膜が白っぽくむくんで透明な鼻水が多く見られた場合にはアレルギー性鼻炎(花粉症)、赤っぽく炎症を起こしていたら風邪と考える場合が多いと思われます。