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母指CM関節症を治す治療とは?〜手術よりも先に薬や装置による治療で様子を見る〜

母指CM関節症を治す治療とは?〜手術よりも先に薬や装置による治療で様子を見る〜
國吉 一樹 先生

流山中央病院 CEO、せれの整形外科クリニック柏の葉 院長

國吉 一樹 先生

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母指CM関節症とは、親指(母指)の付け根にある“CM関節”と呼ばれる関節の軟骨がすり減ることによって、関節部分の痛みや親指の骨の変形などが生じる病気です。なかでも40歳代以降の女性の罹患率が高く、特に閉経後はかかる頻度が高くなるといわれています。

主な原因としては親指の使いすぎや加齢などが挙げられます。初期は関節部分にだるい痛みが生じますが、軟骨がすり減っていくと何かを握った際や親指に力を入れる動きをした際に強い痛みが生じ、瓶の蓋を開ける、タオルを絞るなどの動きが困難になります。このように、母指CM関節症では日常生活に支障をきたすこともあるため、適切な治療を受けることを検討しましょう。

母指CM関節症の診断では主に触診が行われるほか、必要に応じてX線検査などの画像検査が行われます。診断時は、関節に同様の症状が現れる腱鞘炎(けんしょうえん)やリウマチなどとの鑑別が必要です。

母指CM関節症の治療法には、保存的治療と手術治療があります。通常、はじめに薬物療法や装具による治療などの保存的治療を行って様子を見ますが、数か月治療を続けても痛みが緩和されない場合には手術治療が検討されます。特に、骨の位置がややずれた状態(亜脱臼(あだっきゅう))や親指の付け根が変形し、白鳥の首のように大きく反り返った状態(スワンネック変形)の場合には手術が検討されることが一般的です。

母指CM関節症の保存的治療は病気の進行を防ぎ、症状を軽減させる目的で行われます。

具体的には、炎症・痛みを抑えるための薬物療法やCM関節を保護するための装具の着用などが検討されます。

薬物療法では、消炎鎮痛剤が含まれた貼り薬を患部に貼るほか、痛み止めの内服薬が処方されることがあります。また、痛みがひどい場合や患部の腫れが強い場合にはステロイド製剤などの関節内注射が行われることもあります。

装具による治療では、CM関節を保護する専用の軟性装具(サポーター)を利用するか、硬めの包帯で親指から手首を8の字型に巻くこと(テーピング)によって動きを制限します。

このような装具を装着することでCM関節を休ませることができるほか、親指を動かす際に無理のない正しいポジションを保つことができるようになります。

母指CM関節症の手術方法にはいくつかの種類がありますが、主な方法として“関節固定術”や“関節形成術”が挙げられ、患者の希望や生活様式などを踏まえて検討されます。

手術は全身麻酔あるいは片腕のみの麻酔によって行われ、手術後はギプスを装着し、2〜3か月は親指に力を入れないようにして過ごす必要があります。また、手術後にリハビリテーションが必要となることもあるので、医師の指示に従って治療を受け、治療後も注意して過ごすようにしましょう。

関節固定術とは、CM関節をネジなどで固定することによって親指に力が入りやすくなるようにする手術方法です。関節が固定されてしまうため親指の動きに制限がかかりますが、力が入りやすくなることによって重いものを持ちやすくなるなどの特徴があります。

関節形成術とは、CM関節の軟骨を切除することによって関節のすり減りを防ぎ、痛みを和らげる手術方法です。軟骨が少なくなることによって骨と骨との隙間が広くなり、親指の開きがよくなるほか、物をつまむ・握るなどの作業がしやすくなります。

CM関節は加齢とともに軟骨が摩耗(まもう)しやすく、45歳以上の女性では3人に1人が軟骨を摩耗しており、そのうちの3人に1人に痛みなどの症状が現れているといわれています。進行すると強い痛みが生じて親指が開きにくくなり、日常生活に支障が出ることもあるため、親指の付け根に痛みや腫れを感じ、それが持続している場合には整形外科や形成外科などの受診を検討しましょう。

なお、サポーターやテーピングをする場合は自己判断で行うのではなく、必ず医師や理学療法士の指示に従って行うようにしましょう。

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  • 流山中央病院 CEO、せれの整形外科クリニック柏の葉 院長

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