けんしょうえん

腱鞘炎

手

目次

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概要

腱鞘炎とは、腱鞘(けんしょう)に何らかの理由で痛みや通過障害を起こすことをいいます。

腱は骨と筋肉とをつなげる、線維性の結合組織です。腱は腕から指まで束状に何本も通っており、腱のはたらきによって指の曲げ伸ばしや手首の動きが可能になります。そして複数の腱をおさめる腱鞘があることで、効率的に手の指や手首を動かすことができます。腱鞘炎は、職業柄パソコンを使うことやものを書くことの多い方(物書きや事務作業員など)がなりやすいといわれています。発症しやすい部位は手首や指であり、それぞれドケルバン病やバネ指などと呼ばれます。

腱鞘炎は、日常生活動作に密接に関連した病気です。腱鞘炎の発症を予防するには、同じような動作を繰り返すにしても適宜、休息をとることが重要です。また、腱鞘炎を発症した場合、局所の安静をはかることが大切です。症状により、治療に手術が選択されることもあります。腱鞘炎を悪化させないためにも、疑わしい症状がある時には早期受診、早期治療介入が重要です。

原因

腱鞘炎は、腱鞘の質の変化や手指の使いすぎによって発症します。

腱鞘の質の変化

腱鞘の質の変化とは、腱鞘が肥厚(むくみなどのために厚みが増すこと)したり、硬くなったりすることを指します。また、加齢や糖尿病によって腱鞘の変化を生じることもあります。

手指の使いすぎ

親指を無理な形で使いすぎると、手首の親指側の腱と腱鞘に炎症が起こることがあり、この状態を「ドケルバン病」といいます。また、キーボードを打つ、ものを書く、楽器を演奏する、など等の動作に関連して「バネ指」を発症することがあります。特にバネ指になるとでは、指がスムーズに屈伸できず跳ねるような動きになることがあります。

症状

腱鞘炎では、痛みや腫れが現れます。

ドケルバン病の症状

たとえば、手首が障害を受けるドケルバン病では、手を広げたり親指を動かしたりすると、腱鞘付近に疼痛(ズキズキとした痛み)が起こります。たとえば、物を持つ、ペットボトルを開ける、などの親指を使ったつまみ動作によって、痛みを感じます。

バネ指の症状

また、指の付け根で腱鞘炎が生じるバネ指では、症状が進行すると「バネ現象」と呼ばれる症状が現れるようになります。バネ現象では、指の動きがスムーズではなく引っかかりを感じるようになり、さらに症状が進行すると指を十分動かせなくなることもあります。

腱鞘炎の症状は、朝方に症状が悪化する傾向があります。これは、就寝中に体がむくみがちになることが影響します。こうした生理的な変化によって、腱鞘炎の症状が悪化すると考えられています。

検査・診断

腱鞘炎を疑う場合、基本的には触診などの診察を行います。まずは患者さんから様子を聞き、腫れの有無を確認し、圧をかけて痛みの変化をみます。

手首の親指側の腱と腱鞘に障害が起こるドケルバン病の診断には、いわゆる「フィンケルシュタインテスト」を用います。このテストは親指を他の指で握った状態で手首を小指側に曲げたときに罹患部における痛みを確認する検査法です。指の付け根に生じた障害であるバネ指では、同部位を押したときの痛みを確認します。罹患が疑われる部分を触知しながら、患者さんに指を動かしてもらい、腱の動きに抵抗が生じるかどうかを感知します。

治療

腱鞘炎の治療では、局所の安静をはかったり、腱鞘炎による痛みや腫れに対応したりします。

局所の安静

腱鞘炎を発症した場合には、原因となっている動作を制限することが治療の第一歩です。無意識のうちに動作をしてしまうこともあるため、テーピングや湿布を利用することも効果的です。しかし、過度な固定は関節の拘縮(固くなること)が危惧されるため、安静の仕方には工夫が必要です。さらに、関節が固まらないようにストレッチなどを行なうことも重要です。

痛みや腫れへの対応

また、腱鞘炎の治療では、腱鞘炎による痛みや腫れに対応することも大切です。軟膏や湿布などの外用剤による治療を行い、症状によってはステロイド注射を併用します。病状によっては手術を行い、原因となっている腱鞘を切開する方法もあります。

腱鞘炎は指や手首の慢性的な使いすぎが誘因になりますが、予防すること、早期回復を目指すことが可能です。もし腱鞘炎になった場合には、適切な処置を行い早急に専門病院へかかることをおすすめします。

予防

腱鞘炎は、仕事や日常生活動作に関連して発症します。そのため、キーボードを打つ、楽器を演奏するなど、腱鞘炎発症のリスクが高い動作に従事する方は、日頃から腱鞘炎の予防を心がけることが重要です。腱鞘炎の発症を予防するには、同じような動作を繰り返すにしても適宜、休息をとることが重要です。