ばねゆび

ばね指

同義語
弾発指
最終更新日:
2024年05月13日
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2024/05/13
更新しました
2021/03/24
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概要

ばね指とは、指に発症する腱鞘炎(けんしょうえん)の一種で、指の付け根の痛みや腫れなどの炎症症状が現れます。ばね指は朝方に悪化することが多く、日中は指を使用することで症状が改善しますが、病状が進行すると“ばね現象”と呼ばれる指がはねるような動作を伴うようになります。

ばね指はキーボードやスマートフォンの入力作業のように指をよく使う人に発症しやすいほか、エスロトゲンという女性ホルモンの減少も関与しており、エストロゲンの分泌が減少する妊娠出産期や更年期の女性に多く発症します。

ばね指の治療には、指の使用頻度を減らすことが重要です。併せて夜間、患部に消炎鎮痛塗布剤やパップ剤を使用したり、風呂などで温めて伸展ストレッチ運動を行ったりします。効果がなければステロイド注射を行いますが、2~3回続けても効果がなければステロイドがかえって腱を傷めるため、腱鞘切開という手術的な治療介入を行います。

原因

ばね指の主な原因には、指の使い過ぎや女性ホルモンの減少が挙げられます。

指と前腕をつなぐ筋肉は腱となって骨につながっており、 バンドのようなループになっている“靱帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)”の中を腱が行き来することで滑らかに指を曲げたり伸ばしたりできます。しかし腱鞘がむくんで厚くなったり硬くなったりすると、腱鞘とその中を通っている屈筋腱(くっきんけん)がこすれ合い、炎症が生じて腫れが生じます。このため、腫れた部分が引っかかって、指を伸ばそうと強い力を加えると「カクン」と跳ねるようになります。このように発症するのがばね指です。

腱鞘の組織は年齢が高くなるにつれて硬くなりますが、パソコンのキーボードでの入力作業や楽器の演奏などで指をよく使う人は腱鞘に負担がかかるため、ばね指を発症しやすいといわれています。また、女性ホルモンの1つであるエストロゲンには、腱鞘の炎症を修復する働きがあります。妊娠出産期や中高年の女性はエストロゲンの分泌量が大きく減るため、炎症を修復できなくなってばね指を発症しやすいと考えられています。

このほか、糖尿病の方は結合組織に病変を起こしやすいため発症リスクが高いほか、関節リウマチ透析を受けている人などもばね指発症のリスクが高いといわれています。

症状

指の付け根に痛みや腫れ、熱感などの症状が現れます。初期では、ばね指の症状は朝方が強く、日常動作を重ねることで徐々に症状が緩和されます。靱帯性腱鞘の中には滑膜性腱鞘(かつまくせいけんしょう)があり、潤滑油の働きがある滑液が腱鞘内を流れています。夜間指を動かしていないと滑液が流れないため、朝方の動き始めには痛みを感じますが、日中徐々に動かすにつれて滑液が流れるため症状は改善します。

ばね指は進行すると滑膜腱鞘が圧迫されて滑液が枯れるため、指の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなります。さらに締め付けが強くなると腱鞘の前後で腱がこぶのように肥大し、それが腱を通る時に“ばね現象”が見られるようになり、指が引っかかるような動作をするようになります。さらに悪化すると指が動かなくなる(ロッキング)こともあります。

検査・診断

ばね指が疑われる際は触診を行います。

ばね指は、靱帯性腱鞘とそこを通過する屈筋腱との間に炎症が生じることで発症します。この部位はちょうど指の根元(MP関節と呼ばれる部位に相当)に位置しており、MP関節の手のひら側を圧迫することで痛みが誘発されます。また、同じ部位で腱がこすれるため、触診をしながら指先を伸ばす動作をすることでこの抵抗感を感知できます。こうした臨床症状をもとにして、ばね指を診断します。

なお、糖尿病関節リウマチ透析などに関連して発症するばね指の場合、1か所のMP関節で症状が治まることはなく、多発性に別の関節にも発症することもあります。

治療

ばね指の治療では、安静にするほか、局所へのステロイド注射や手術療法を行います。

炎症を和らげるために安静にすることは重要であり、可能な限り指先の動作を控えることが重要です。この際、関節を固定すると関節が拘縮(固くなること)する可能性があるため、装具での固定などは基本的に行いません。関節が固まらないように暖めながら伸展ストレッチなどを行います。

痛みが強く生活に支障をきたす場合は、炎症が生じている腱鞘の内部にステロイド薬を直接注射します。特にトリアムシノロンという薬は痛みや炎症を抑える効果が期待できますが、2回以上続けて腱鞘内に注射すると腱断裂を起こす可能性が報告されています。トリアムシノロン以外の薬は腱に悪影響を与えることは比較的少ないといわれていますが、何度も繰り返し使用すると腱が変性する可能性があるといわれています。いずれのステロイドの注射をしても再発を繰り返す場合は、引っかかりが生じている腱鞘を開く腱鞘切開を行います。

なお糖尿病の方は腱鞘炎になりやすく、これは同時に再発を招く要因でもあります。再発を繰り返さないためには、糖尿病の治療をしっかりと行うことも重要です。

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