治療
いぼ痔の治療としては、保存的治療、硬化療法、ゴム輪結紮法、手術療法などが行われます。重症度に応じて治療法が選択され、症状が軽度の場合には保存的治療から始めますが、保存的治療で改善しない場合は硬化療法や手術療法などが検討されます。
1. 保存的治療
保存的治療としては、生活習慣の改善や薬物療法が行われます。
いぼ痔の主な原因は生活習慣であるため、まずは水分と食物繊維の摂取を増やすことが推奨されます。体の冷えやアルコールの過剰摂取などを避ける生活も重要です。排便習慣の改善も行い、排便時に過度にいきまず、長時間の排便を避けるように心がけます。痛みや腫れがある場合は、半身浴や入浴によって下半身を温めると、症状が緩和されます。
薬物療法としては坐薬や軟膏、内服薬が用いられます。薬物療法によっていぼ痔がなくなるわけではありませんが、症状を抑えるために有効です。
2. 硬化療法
硬化療法は、内痔核に直接薬を注射して、出血や脱出を改善させる方法です。
I度~III度の内痔核の場合には、フェノールとアーモンドオイルを混ぜた硬化剤の注射が検討されます。いぼ痔を硬化・収縮させて出血を防止します。しかし、脱出する痔核を脱出しないように治す効果は期待できません。
また、II、III度の内痔核では、ALTA(アルタ)療法と呼ばれる硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸の注射が選択されることが多くなっています。ALTAは脱出する痔核に対して効果を有した注射薬であり、今までは手術療法以外に治療法がなかった脱出する痔核に対しても有効な治療法です。ALTA投与に際しては、四段階注射法という投与方法で行うことが求められており、肛門疾患の手術経験が豊富な医師のみが施術可能です。
3. ゴム輪結紮法
ゴム輪結紮法は、いぼ痔の根元を専用の輪ゴムで締め付けて壊死・脱落させる方法です。内痔核の治療として用いられることがありますが、痔核のふくらみが小さすぎるものは、すぐ外れてしまい適応とならない場合があります。
また、血液凝固異常疾患の場合や抗血栓薬を服用している場合は、治療後に出血する可能性が高いため行わないことが多いです。
4. 手術療法
手術療法の方法として、結紮切除術やPPH法などが行われます。
結紮切除術は、どのようないぼ痔にも有効で治癒率の高い手術方法です。一般的にはII~IV度の内痔核や内外痔核の際に選択されます。いぼ痔の外側の皮膚を切開して、いぼ痔を徐々に剥離していき、最後に出血を抑えるためいぼ痔の根元を糸で縛って切り取ります。
入院期間は患者の年齢や糖尿病などの基礎疾患の有無、生活環境によって日帰り~約10日と異なりますが、完治までには約1か月かかります。
PPH法は、主に内痔核を縮小させるために行われます。内痔核の上の直腸の粘膜を輪のような形で切除し、脱出している肛門クッションを吊り上げて元の位置に戻す手術方法です。全周性に粘膜が脱出するタイプの痔核にはよい適応です。
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