治療
がん悪液質は、全身性炎症を背景としてさまざまな原因が関与しています。そのため、全身の炎症を抑える薬物治療、栄養療法、運動療法、心理的あるいは社会的介入を含めた治療が行われます。患者の状態や生活様式に合わせて適切な方法が選択されます。
早期の栄養サポートにより、がん悪液質の進行をゆっくりにさせたり、ほかの原因による栄養不良を改善させたりすることができる可能性があります。
体重減少が5%以下で代謝異常が見られる状態は、悪液質の前段階と定義され、この状態から栄養サポートを行うこともあります。
代謝障害が進行し、栄養サポートが無効になった状態を不可逆的な悪液質といいます。この状態になると、予後は厳しいと考えられています。
ステロイドなどの薬物療法することで、がん悪液質の症状を和らげる効果が得られたとの報告はありますが、これまで日本でがん悪液質を適応症とする薬剤はありませんでした。最近になって、グレリン様作用薬のアナモレリンががん悪液質の治療薬として登場しました。
薬物療法だけでは十分な効果は得られず、栄養療法や運動療法の併用が必要と考えられています。
悪液質が進行した不可逆的悪液質の状態では、栄養療法に効果がないと考えられているため、栄養投与量は徐々に減らしていきます。人生の最終段階における医療で生命予後が短い場合には、余命延長を目的とした栄養投与を行わないことが推奨されています。
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