概要
エプーリスとは、歯肉腫とも呼ばれる歯肉に発生する腫瘤性病変です。見た目には突起として認識される病変ですが、がんのような腫瘍とは異なります。男性よりも女性に多くみられる疾患であることも知られています。
エプーリスの治療は、病変部位を切除することが基本となります。病変そのものだけを切除すると再発することが懸念されるため、同時に抜歯を行うこともあります。
原因
エプーリスには、肉芽腫性エプーリス、線維性エプーリス、骨形成性エプーリス、妊娠性エプーリス、先天性エプーリスなど多くの種類があります。
エプーリスの原因は、完全には明らかになっていませんが、歯石や歯科治療で使用された補綴物(つめもの、かぶせもの)などによる慢性的な刺激や、ホルモンの関与が想定されています。さらに、先天的な異常により発症するエプーリスも知られています。
症状
エプーリスは、歯肉の突起物として認識されます。大きさは小豆大程度のものが多いですが、なかには鶏の卵ほどの大きさになるものもあります。表面はピンク色の粘膜に覆われており、基本的には物理的な刺激が加わらない限り潰瘍を形成することはありません。
ただし、大きなものは歯と当たることもあり、それに伴い出血やびらん、潰瘍を形成することがあります。エプーリスは、正常の歯肉粘膜から茎のようなくびれを持って盛り上がっていることも多いです。
エプーリスは、妊娠に関連して発生することもあります。この場合には、出産をすることで自然に消失します。
先天的に生じるエプーリスでは、前の歯肉に生じることが多く、生まれつきの突起物として認識されます。ごくまれに非常に大きくなることもあり、この際には哺乳や呼吸に支障が出る可能性も出てきます。
検査・診断
エプーリスは、口腔がんのような腫瘍性病変とは異なります。両者を鑑別するためにも、歯肉に生じた突起物を正確に評価することが大切です。エプーリスを診断し、また、どういったタイプのエプーリスであるのかを決定するために、病理検査が行われることがあります。病理検査とは、病変部の組織の一部を採取して、顕微鏡で観察する検査方法です。
治療
エプーリスの治療は、病変部位を切除することが基本となります。病変そのものだけを切除すると再発することが懸念されるため、同時に抜歯を行うこともあります。
妊娠に関連したエプーリスでは、出産によって自然に退縮することが期待できます。そのため、無治療で慎重に経過観察をすることもあります。
また、先天性に生じるエプーリスの場合にも、徐々に小さくなり、治癒することが期待できます。病変が大きく哺乳や呼吸に悪影響を生じることが懸念される場合には、病変部位の切除も検討されます。
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