概要
ジクワット中毒とは、除草剤の一種であるジクワットによって引き起こされる中毒のことです。類似の中毒としてパラコート中毒が知られており、最悪の場合死に至ることもあります。
ジクワットに対する解毒剤はないため、中毒が疑われる状況では対症療法が中心となります。
原因
除草剤の一種であるジクワットは細胞毒性が強く、体内に取り込まれるとフリーラジカルと呼ばれる物質を大量に産生します。その結果、体の各臓器に対して組織障害を起こし、さまざまな症状をもたらします。
なお、ジクワットは、同じく除草剤として使用されるパラコートとの合剤として使用されることもあるため、パラコート中毒を併発していることもあります。
症状
ジクワット中毒では、摂取した直後から吐き気や嘔吐などが出現します。その後、腹痛や下痢、便失禁、口の中のただれなどを認めるようになります。
重篤な場合には腎機能障害や肝機能障害、中枢神経障害なども併発します。これらの障害に関連して、尿量の低下、黄疸、けいれんや四肢の麻痺、しびれ、感覚障害、さらには意識障害をみることもあります。
症状が進行すると呼吸障害や血圧低下も顕著になり、最悪の場合には死に至ることもあります。
検査・診断
ジクワット中毒が疑われる際には、ジクワットを摂取した状況や摂取量、症状、経過などを確認します。ジクワットが体内に存在することを確認するために、血液や尿を用いてジクワットの濃度測定や定性検査を行うこともあります。
また、臓器障害の程度を評価するために、血液検査、尿検査、胸部単純レントゲン写真、腹部単純レントゲン写真などの検査が行われます。
脳出血や肺障害、麻痺性イレウス(消化管が動かなくなった状態)の状況などを評価するために、より細かく臓器の形態変化を評価するCT検査が行われることもあります。
治療
ジクワットに対する解毒剤はないため、中毒が疑われる状況では対症療法が中心となります。まずは、ジクワットの吸収を防ぐために胃洗浄や腸洗浄が検討されます。
また、体内に吸収されたジクワットを体外に排泄させることを目的として、利尿作用の期待できるマンニトールやフロセミドなどの薬剤が使用されたり、血液浄化療法が行われたりします。
腎機能障害や呼吸障害が強い場合には、それぞれ人工透析や気管挿管による人工呼吸管理などが検討されます。
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