まんそんこちゅうしょう

マンソン孤虫症

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概要

マンソン孤虫症とは、マンソン裂頭条虫(Spirometra erinaceieuropaei)と呼ばれる寄生虫の幼虫(弧虫)によって引き起こされる病気を指します。マンソン裂頭条虫は、カエル、ヘビ、ブタ、イノシシなどの中で幼虫として存在しており、これらと不衛生な状況下で接触・生食することでヒトへ感染します。マンソン裂頭条虫は世界中に広く分布していますが、日本を含む東南アジア諸国からの報告例が多いです。

マンソン孤虫症を発症すると、胸やお腹、大腿部などに皮下腫瘤を見るようになります。皮下以外にもマンソン裂頭条虫の幼虫が、眼球周囲、脳、肺、陰嚢などの臓器中に侵入すると、侵入した臓器に関連した症状が引き起こされることになります。駆虫薬のみでは治療が困難なため、手術によって幼虫を取り除く必要があります。

原因

マンソン裂頭条虫は水中で孵化した後、ケンミジンコなどに食べられます。ケンミジンコは次にカエル、ヘビ、ブタ、イノシシなどによる食物連鎖を経て、動物内に感染します。

さらにマンソン裂頭条虫はプレロセルコイドと呼ばれる形態の幼虫へと変貌し、イヌやネコなどに入り込むと成虫へと変化します。イヌやネコに寄生したマンソン裂頭条虫は卵を産み、糞便と一緒に排出されることでマンソン裂頭条虫の生活環が完成・継続します。

プレロセルコイドに汚染された動物をヒトが食物として摂取するとマンソン裂頭条虫の感染が成立、マンソン孤虫症を発症します。ヒトの体内ではプレロセルコイドは成虫になれず、そのままの状態で体内を移動、皮下、眼瞼、脳、肺など侵入した先での症状を起こすようになります。マンソン裂頭条虫はヒトの体内では20年ほど生きることができるという報告もあります。

症状

マンソン孤虫症では、原因となるプレロセルコイドに感染してから約1週間潜伏した後に発症します。

初発症状には発熱、全身倦怠感があります。マンソン孤虫症では幼虫が入り込んだ先で局所症状も認めることとなり、痛みを伴う皮下腫瘤が多いです。マンソン孤虫症による皮膚症状の好発部位は胸やお腹、大腿部などの脂肪の多い場所になります。腫瘤はマンソン孤虫そのものであるため、マンソン孤虫の移動を反映して皮下腫瘤が現れたり消失したりもします。

内臓臓器に幼虫が入り込むことがあります。脳に入り込むとけいれんや筋力低下、頭痛、しびれや感覚消失など、内耳にも入り込むと聴覚低下やめまい、肺に入り込むと咳や血痰などを呈するようになります。

検査・診断

マンソン孤虫症の診断では、便中に排泄された幼虫を確認したり、皮下腫瘤を摘出した際の検体を用いて病原体を同定したりします。またマンソン孤虫症ではSpirometra ranarum、Spirometra erinaceiなどマンソン裂頭条虫以外の虫によるものもあるため、検体から得られた弧虫を成長させて観察することもあります。マンソン孤虫症では免疫反応がはたらき抗体が体内で産生されるため血液検査で抗体値を調べて診断根拠とすることもあります。

治療

マンソン孤虫症では、寄生虫の治療薬(メベンダゾール、アルベンダゾール、プラジカンテルなど)もありますが、それほど効果がみられないことから、手術による病変(寄生部位)の切除がメインとなります。