かたいひろうこっせつ

下腿疲労骨折

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

下腿疲労骨折とは、脛骨(けいこつ)腓骨(ひこつ)などの下腿(かたい)(膝から足首にかけて)を形成する骨に生じる疲労骨折のことです。

疲労骨折は、健常な骨に通常では骨折を生じないような微小な外力が繰り返し加わることが原因となって生じます。ごくわずかな亀裂から徐々に病変が拡大し、最終的に完全な骨折に至ります。進行が緩やかなため、多くは初診時のX線検査で病変部に異常が認められないことも多く、骨を修復するための骨膜反応や仮骨形成が見られることがあるのも特徴です。

疲労骨折はランニングやジャンプなどの運動動作によって生じることが多く、激しいスポーツを行う成長期から青年期にかけての男性に好発します。また、下腿は運動の負荷を受けやすい部位であるため疲労骨折を生じやすく、脛骨での発生頻度が特に高いとされています。

原因

下腿疲労骨折の多くは激しいスポーツを繰り返し行うことが原因です。脛骨は全疲労骨折の中でも発症頻度が高いとされていますが、骨折が上3分の1の部位に生じるものを疾走型骨折、中3分の1で生じるものを跳躍型骨折と呼び、主にランニングやジャンプ動作が原因となります。

下腿疲労骨折は単にスポーツによって骨に繰り返しの外力が加えられたことだけが原因で生じるわけではありません。急に環境や習慣を変えて激しい動作を繰り返したり、靴底や地面が固く運動動作の衝撃が直に骨に伝わったりするなど、環境的な要因も関与しています。

症状

通常の骨折とは異なり、症状は徐々に進行するのが特徴です。疲労骨折は繰り返される外力によって、骨に微小な亀裂が生じ、その亀裂が徐々に拡大して完全骨折に至ります。

骨に亀裂が生じた段階で、病変部に痛みや熱感などを生じますが、画像検査で病変が確認できるようになるには2~3週間ほどかかるのが一般的です。

発症初期の痛みは運動中にのみ生じますが、進行すると安静時にも痛みを感じるようになります。また、亀裂から完全骨折に至ると骨折部が転位を生じて歩行が困難になるほどの強い痛みが生じることも少なくありません。

それぞれの部位で生じる疲労骨折の症状は以下の通りです。

脛骨

跳躍型骨折が多く、一度骨折を生じると治りにくいのが特徴です。脚のスネに痛みや熱感、圧痛が著明に現れ、完全骨折に至るものでは骨折部の転位を生じることも多々あります。

腓骨

脚のスネよりやや外側に痛みや熱感を生じます。腓骨は脛骨と異なり、体重の荷重を受けないため、比較的治りやすい骨折であると考えられています。

検査・診断

骨折の有無を調べるため、第一にX線検査が行われます。しかし、発症初期には病変は描出されず、そのままの状態で同じ運動を繰り返すと3~4週間ほどで骨の亀裂が観察できるようになります。骨折は徐々に進行していくため、検査で亀裂を確認できる頃には骨の修復反応として、骨膜反応と仮骨形成が見られるのが特徴です。

また、骨折部の転位などを調べるためには3D-CT検査やMRI検査が有用であり、骨折線が判別できないケースでは骨シンチグラフィー検査が行われることもあります。

 

治療

疲労骨折の治療は基本的にはスポーツを中止して安静を図り、完全骨折に至った場合にはギプスやシーネでの固定が行われます。

しかし、転位が著しい場合や脛骨の跳躍型骨折のように自然に治りにくい場合には、固定用ネジやプレートで骨折部を整復・固定するための手術が行われることもあります。また、痛みが強い場合には鎮痛剤や湿布などでの対症療法が行われます。

大部分は後遺症を残さずに治りますが、無理に早期からスポーツへ復帰すると疲労骨折を繰り返す原因となるので注意しましょう。

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