概要
下腿疲労骨折とは、膝から足首までの下腿(いわゆる“すね”)に生じる疲労骨折のことです。
疲労骨折は骨の同じ部位に繰り返し小さい力が加わることで生じる骨折で、スポーツ練習などで生じることが多くあります。また、若年者での発症が多いといわれています。
発症した場合は安静が必要となり、痛みが強い場合は消炎鎮痛薬が使用されます。必要に応じて手術が行われることもあります。
原因
下腿疲労骨折は、下腿の骨の同じ部位に繰り返し力が加わることで発症します。下腿の骨は脛骨(内側の太い骨)と腓骨(外側の細い骨)の2本ありますが、運動の際に力が加わる部位は、運動の特徴により異なります。
長距離走などの走ることが多い競技では、脛骨の上側(膝側)や下側(足首側)、または腓骨の下側で骨折を生じることが多く、疾走型の骨折と呼ばれます。
バスケットボールやバレーボールなどジャンプ動作が多い競技では、脛骨の中央部(膝と足首の中間部)、腓骨の上側で骨折を生じやすく、跳躍型の骨折と呼ばれます。
運動により加わる力が骨折の原因となりますが、栄養不足や病気により骨が弱くなっている場合、筋力が不足している場合、足に合った靴を履いていない場合、グラウンドが固い場合などには骨折が生じやすくなることもあります。
症状
下腿疲労骨折では、運動時に下腿の痛みが現れるほか、骨折した箇所を押したり軽くたたいたりすると痛みを生じます。安静にしているときは痛みが軽快しますが、症状が進行すると安静時にも痛みが出現することがあります。
検査・診断
下腿疲労骨折が疑われる場合には、症状や運動習慣についての問診のほか下腿の画像検査が行われます。
一般的に、骨折の診断では最初にX線検査を行います。しかし、発症初期には明らかな骨の異常が確認できないケースがあります。そのため、発症から間もない場合などにはCT検査やMRI検査が行われることもあります。
このほか、骨粗鬆症などの病気が骨折の原因として疑われる場合には、その病気に応じた検査が行われることもあります。
治療
下腿疲労骨折の治療では、患部を安静にして負荷を軽減することが基本となります。スポーツの練習など、運動は休止します。
負荷の軽減のために松葉杖やギプス、サポーターなどを用いることもあります。安静の期間は症状により異なりますが、多くの場合は1~3か月の安静と経過観察が目安となります。痛みが強い場合には消炎鎮痛薬が使用されます。
脛骨中央部の跳躍型骨折は治癒が難しいとされており、安静の期間も長くなるほか、必要に応じて手術が行われることもあります。
予防
下腿疲労骨折は、過度のトレーニングにより生じることが多いため、適切なトレーニング量となるような調整が必要です。また、栄養不足や筋力不足、柔軟性不足などの要因を取り除くことも大切です。そのほか、負担の少ない運動のフォームを身につけ、足に合わない靴の使用を避け必要に応じてインソールなどを使用することも、疲労骨折の予防としては重要となります。
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