治療
分娩麻痺の治療方法には、“非手術療法”と“手術療法”があり、必要に応じて選択されますが、どちらも必要になる場合もあります。具体的な治療方法は以下の通りです。
非手術療法
出生直後の治療
生後数週間は腕を安静にし、自然に回復するのを待ちます。生後3週間が経過したら関節が固まらないように腕を動かす訓練を行い、時間の経過とともに腕を動かす力や知覚する力が回復してきたら積極的に活用するよう、医療従事者が一人ひとりの赤ちゃんに合った訓練方法を提案します。この段階でかなり回復している場合は、いったん治療を終了することもあります。
生後1か月が経過してもまったく腕を動かせない場合は手術が行われます。ただし、肩や肘の動きは悪いが手指は動いている、という場合には、回復を期待して経過観察となることもあります。
幼児期のリハビリテーション
手術を受けたかどうかにかかわらず、幼児期は運動機能を維持するためのリハビリテーションを継続的に行います。
中には途中で関節が固くなってくることもあるため、その場合はより積極的なリハビリテーションを検討し、必要に応じて手術を検討します。
手術療法
神経手術
生後1か月ほど様子を見て回復が困難と判断された場合、生後3か月頃に手術が行われます。ただし、手指は動いていて肩や肘の動きだけが悪い場合は、もう少し様子を見て生後6か月ごろに手術を行うのが一般的です。
手術は、損傷した神経の再建が可能と考えられる場合には神経移植術が、再建が難しいと考えられる場合には肋間神経や副神経の移行術が検討されます。ただし、手術を受けても術後の回復は遅いことが一般的で、完全には回復しないこともあります。
二次再建手術
神経手術を行っても回復が不十分だった場合や、障害が残ってしまった場合などには、肩や腕がより動かしやすくなるよう二次再建手術を検討します。二次再建手術では、同じ筋力で腕がよりスムーズに動くよう、筋肉や腱を移動させることが一般的です。
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