治療
切創によって出血が多い場合は、患部を清潔なガーゼなどで圧迫・保護して医療機関を受診する必要があります。
切創は壊死性筋膜炎を引き起こす可能性があるため、傷口を十分洗い流すことが重要です。その後は、必要に応じて消毒も行います。
医療機関では、傷の大きさや深さに応じて以下のような治療が行われます。
表皮までの傷
傷が表皮にとどまる場合はしばらく圧迫することで止血できるため、多くの場合、傷口を縫い合わせる処置(縫合)は必要ありません。屋内で受傷し、未使用の刃物や紙によるものなど傷口が清潔である場合には、医療用のテープを用いて傷口を寄せるようにして固定します。
一方、細菌感染の可能性がある場合は傷口を生理食塩水などで洗い、抗菌薬の軟膏を使用します。動物に引っかかれるなどさらに傷口の感染のリスクが高い場合には、抗菌薬の内服を行うこともあります。
真皮まで到達している傷
傷が真皮にまで到達している場合は治癒した後も傷あとが残る恐れがあるため、縫合が行われることがあります。子どもの顔面などに生じた切創で傷口が比較的清潔な場合は、傷あとに配慮してテープ固定などの処置が検討されます。
感染の可能性がある場合は抗菌薬の外用薬や内服薬が用いられます。血管や神経、腱などの損傷を伴う場合は、麻酔を使って損傷した組織を縫合する処置が行われます。
また、切り傷から破傷風に感染する可能性があるため、感染リスクが高いと判断された場合は破傷風トキソイドの接種が推奨されます。1967年以前に生まれた方は、子どものころに破傷風ワクチン(破傷風トキソイド)を定期接種していないため、基礎免疫がありません。加えて、最後に破傷風トキソイドを接種してから5年以上経過している方も、対応が必要といわれています。
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