空気が乾燥し、風邪やインフルエンザも流行する冬は、喉の腫れや痛みを感じやすい季節です。この記事では、喉が腫れる・痛くなる理由から、自宅でできる予防とセルフケア、風邪が治った後も残りやすい喉の違和感とのつきあい方、なかなか症状が改善しないときの受診の目安までを解説します。今日からできるセルフケアのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
監修:イーヘルスクリニック新宿院 院長 天野 方一先生
冬になると空気が乾燥し、暖房を使う機会も増えるため室内の湿度はさらに低下しがちです。加えて、空気が乾燥する時期は風邪やインフルエンザなどの感染症が流行しやすく、人が多く集まる室内で過ごす時間が長くなることも、感染の機会が増える一因です。「乾燥」と「感染症の流行」という2つの要因が重なることで、冬は喉のトラブルが増えやすくなります。
喉は、呼吸や食事の際に外の空気や食べ物が最初に通る部位であり、ウイルスや細菌、ほこりなどにさらされやすい場所です。そのため、喉の粘膜には異物を絡めとって排出する防御機能が備わっていますが、空気が乾燥するとこの防御機能が弱まり、ウイルスや細菌が付着・増殖しやすくなります。喉に乾燥などの刺激を受けたり、細菌やウイルスが感染したりすると、体の防御反応として粘膜に炎症が起こります。
喉のトラブルは、予防を心がけることも大切です。加湿器などを使用することで室内の湿度を適度に保ち、喉の乾燥や防御機能の低下を防ぎましょう。外出時はマスクを着用することで、乾燥した外気やほこり、ウイルスなどから喉を守る効果が期待できます。
外出から帰ったときなどは、こまめにうがいをして喉に付着した異物を洗い流しましょう。十分な睡眠や栄養バランスのよい食事を心がけることも、感染症を遠ざけるうえで役立ちます。
喉の痛みや腫れが起こってしまった場合は、自宅で市販薬などを使ってセルフケアをすることも選択肢の1つです。うがい薬や喉スプレー、トローチなど、さまざまな市販薬を活用することができます。
これらの市販薬を有効成分の面から見ると、大きく「抗炎症成分」と「殺菌・消毒成分」に分けられます。喉の腫れや痛みそのものを鎮めたいときは、粘膜に直接作用して炎症を鎮める抗炎症成分が向いています。代表的な成分の1つに、刺激が少なく続けやすいアズレンスルホン酸ナトリウム水和物があります。一方、ウイルスや細菌が原因となっている可能性があるときは、殺菌・消毒を目的とした成分であるポビドンヨードなどの使用を検討するのも一案です。どの製品がよいか迷ったときは、薬剤師や登録販売者に症状を伝えて相談するのもよいでしょう。
製品の形状によっても、使い勝手や向いている場面が異なります。うがい薬は、喉全体に成分を行き渡らせやすく、外出後の予防や喉に不快感があるときのケアに向いています。喉スプレーは患部に直接噴射できるため、外出先などでも手軽に使うことができます。トローチは、口の中でゆっくり溶けるため有効成分が長く喉にとどまります。症状や生活シーンに応じて、組み合わせて使うとよいでしょう。
近年は、熱や鼻水など風邪の主な症状が治まった後も、喉の痛みや違和感だけがしばらく続くケースがしばしばみられます。このような時期は体力の消耗が少ない分、喉のケアをやめてしまいがちですが、粘膜が敏感な状態は続いています。症状が軽くなった後も喉の不快感が残る場合には抗炎症作用があるアズレンスルホン酸ナトリウム水和物を含む製品でセルフケアを行ったり、うがいや加湿、マスクの着用などを続けたりすることに加え、刺激の強い飲食物や喫煙を控えるとよいでしょう。
セルフケアを数日続けても改善しない場合や、高熱を伴う場合、強い痛みで飲み込みが困難な場合、声のかすれが続く場合などは、早めに医療機関を受診しましょう。特に、喉の痛みに加えて息苦しさや唾液が飲み込めないといった症状がある場合は注意が必要です。
冬の喉の痛みや腫れは、乾燥と感染症の流行が重なりやすい季節特有の悩みです。加湿やうがい、マスクといった予防を心がけつつ、症状が出たときは、抗炎症成分や殺菌・消毒成分の特徴、そして製品の形状ごとの使いやすさを理解して、上手にセルフケアを行ってください。無理をせず、症状が長引くときや強いときは医療機関を受診するようにしましょう。
イーヘルスクリニック新宿院 院長、帝京大学大学院公衆衛生学研究科 非常勤講師、久留米大学医学部公衆衛生学講座 助教
日本内科学会 認定内科医日本腎臓学会 腎臓専門医・腎臓指導医日本抗加齢医学会 抗加齢専門医日本医師会 認定産業医
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院 (eHealth clinic 新宿院)」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
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