たそうせいうんどうにゅーろぱちー

多巣性運動ニューロパチー

同義語
MMN
最終更新日:
2024年01月19日
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2024/01/19
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概要

多巣性運動ニューロパチー(multifocal motor neuropathy:MMN)とは、運動神経の“髄鞘(ずいしょう)”が障害されることで運動神経障害が生じ、手足が使いづらくなったり歩きにくくなったりする末梢神経(まっしょうしんけい)の病気です。感覚神経は障害されないため、しびれや感覚障害はありません。

髄鞘は末梢神経線維を包み込む膜で、神経信号を早く正確に伝えるはたらきがあるため、その障害(脱髄)が起こると神経の電気信号が正常に伝わらなくなります。

厚生労働省の神経免疫疾患研究班によって行われた全国調査(2021年)によると、日本における多巣性運動ニューロパチーの患者数は約500人と推定されています。発症年齢は平均約41歳で、10歳代後半から60歳代まで幅広く発症することが分かっています。また、男女比は2:1で男性に多く発症します。

多巣性運動ニューロパチーに対する根治療法はありませんが、免疫グロブリン製剤などの薬物療法で症状の改善を図ります。

原因

発症の原因はまだはっきりしていません。自己の末梢神経、特に髄鞘を標的に攻撃する免疫異常が強く推定されますが、そのメカニズムの詳細はまだ明らかになっていません。

多巣性運動ニューロパチー患者のおよそ半数に、神経細胞膜に存在する糖脂質の1つ“GM1ガングリオシド”に対する自己抗体(IgM抗体)*が陽性となることから、IgM抗体が発症に関与している可能性があると考えられています。

*自己抗体:自分の体の細胞を抗体と認識して攻撃する抗体。

症状

運動神経が障害されることで、手足の筋力低下や筋肉の萎縮が生じます。症状は手足に左右非対称で現れ、特に上肢遠位*の手指から発症することが特徴です。

具体的な症状としては、箸が使いづらい、物がつまみにくい、腕が上がらない、歩きにくいなどの症状がみられます。そのほか、疲労感や低温時に運動麻痺が悪化することも特徴として挙げられます。

*遠位:体幹側から離れた部分

検査・診断

多巣性運動ニューロパチーの診断には、問診や末梢神経伝導検査のほか、補助的に血液検査や末梢神経の画像検査(超音波、MRI)、脳脊髄液検査(のうせきずいえきけんさ)などを行います。

末梢神経伝導検査は、皮膚の上から手足の運動神経を電気で刺激することで刺激が神経を伝わる速さや波形に異常がないかを見る検査です。この検査によって脱髄が起こっているかどうかを調べることができます。

また、多巣性運動ニューロパチー患者の半数に確認される抗GM1 IgM 抗体の有無を確認するため、補助的に血液検査を行います。

治療

多巣性運動ニューロパチーの治療として薬物療法を行います。

第一選択は免疫グロブリン療法です。初回は、体重1kgあたり2,000mgの免疫グロブリン製剤を5日かけて静脈投与します。効果がある場合は、その後3週間ごとに体重1kgあたり1,000mg投与を続ける方法が推奨されています。

免疫グロブリン療法で効果が認められない難治性の場合は、免疫抑制薬が検討されます。しかし、現在のところ効果についての明確なエビデンスはありません。

薬物療法に加え、リハビリテーションも重要です。活動量が減少すると関節が固まって伸ばしにくくなるなど、関節にまで問題が生じる可能性があります。日常生活における活動量やQOL(生活の質)の維持・向上を目的に、関節域を保つなどのリハビリが行われることがあります。しかし、多巣性運動ニューロパチー患者は疲れやすいため、リハビリの負荷や時間に注意し、無理のない範囲で行うことが重要です。

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