概要
妊娠性疱疹とは、妊娠中、主に妊娠中後期の女性に生じることのある皮疹の一種です。主に激しいかゆみを伴う赤い皮疹ができ、身体中いたるところに発生する可能性があります。また、出生児にも同様の皮疹を認めることがあります。
妊娠性疱疹は出産後2~3か月程度で自然に治っていくことがほとんどで、後遺症などもないといわれています。妊娠中の女性であれば誰にでも起こりうる可能性がありますが、発症に関するリスク因子や年齢などははっきりわかっていません。
原因
原因は、妊娠中の女性の血液中に皮膚を構成する組織成分の一部を攻撃する自己抗体(免疫グロブリン)ができてしまうためと考えられています。なぜこの自己抗体ができてしまうのか、そしてなぜ妊娠中だけにそれが起こるのかなど、詳しい原因やメカニズムなどはまだ解明されていません。
しかし、妊娠性疱疹は妊娠のたび繰り返し出現し、なかには回数を重ねるほどに重症化していくこともあります。妊娠性疱疹を発症している妊婦さんと触れ合うなどで感染する可能性はありません。
症状
妊娠性疱疹発症初期の段階では、赤い斑点のような皮疹(紅斑)が現れます。痛みや出血はなく、非常にかゆみが強いのが特徴です。これに引き続いて、蕁麻疹のような軟らかくて膨らんだ形状(浮腫性)の紅斑に変化していき、多くの場合で表面に水疱(水ぶくれのような皮疹)が現れます。
妊娠性疱疹の皮疹の出現部位には個人差があり、胸やお腹から出現する場合もあれば、両腕や両足などから出現する場合もあります。これらは、妊娠中は通常徐々に拡大、悪化していきます。
検査・診断
皮疹の特徴や症状などから妊娠性疱疹が考えられる場合、血液検査や皮膚生検などを実施して、他の皮膚疾患(アレルギー性蕁麻疹、ウイルス感染症など)ではないことを確認したのち、診断します。
もともとアレルギー体質である、普段から蕁麻疹などが出やすい方は、担当医にその旨も説明することで診断の助けになることもあります。
治療
妊娠中に発症する病気のため、非妊娠時と同じような薬が使えるわけではありません。ただ、妊娠が終われば自然に軽快することが多いことから、まずは副腎皮質ホルモン(ステロイド)の外用薬を使用することが多いです。
しかし症状が酷かったり、全身に及んでしまったりするなど、充分な治療が必要であると判断されると、ステロイド薬の内服を開始することがあります。
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