きせいちゅうしょう

寄生虫症

目次

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概要

寄生虫症とは、寄生虫が体内に侵入することによってさまざまな症状が引き起こされる病気です。

寄生虫には多くの種類がありますが、主に発展途上国でみられることが多く、衛生環境の整った日本では戦後間もなくの頃と比べ患者数は激減しています。

現在、日本でみられる寄生虫症は、流行国に旅行したときに感染するマラリアなどの輸入感染症、アニサキスや日本海裂頭条虫のような飲食物から感染するもの、赤痢アメーバ症を代表とする性感染症、糞線虫のように環境から感染するもの、蟯虫のように人から人への感染するものなどが主です。

また、AIDS(エイズ)など免疫不全症の方では、トキソプラズマやクリプトスポリジウムなどの日和見感染が問題となることもあります。

原因

寄生虫が、人の口や皮膚から体内に侵入することが原因です。たとえば汚染された野菜などを生食することで回虫などの寄生虫に感染することがあります。寄生虫感染が多かった時代では、虫卵を含む人糞などを肥料として用いていました。汚染された野菜が蔓延の原因でしたが、現在は化学肥料の普及で少なくなりました。また、アニサキスのようなサバにいる寄生虫は、加熱もしくは十分な冷凍を行わず、死滅させないで食べると感染します。

性感染症のアメーバ赤痢は感染者の便の中にシスト(嚢子)が存在し、それが性行為により感染することがあります。輸入感染症で代表的なマラリアは、流行地域で蚊に刺されることで感染します。

症状

それぞれの寄生虫の種類によって症状は異なります。日本では寄生虫患者は激減しているため、正確に診断されないこともあります。多くの場合、寄生虫症で重症化することは少ないですが、頻度が多くて重症化するものは、熱帯熱マラリアです。流行地域に渡航した場合には、問診で申し出ることが重要です。

腸に寄生する寄生虫は便と共に体外へ排出されることがあり、排便後に長いひも状の寄生虫が肛門からでていた、下着や便器内で寄生虫が動いていたというケースもあります。特に動いているか、いないかをみることは重要で、動いている場合は虫の可能性が高いです。また、皮膚に迷入した寄生虫症では、線状爬行疹(はこうしん)や出現・消退を繰り返す皮下結節がみられることがあります。

寄生虫が侵入する臓器によって症状は異なります。また、脳内に侵入する寄生虫症では、けいれんや意識障害などの非常に重い症状が引き起こされることがあります。

検査・診断

寄生虫症の診断には、便や血液、皮膚や臓器の組織から寄生虫や虫卵を検出する方法と、血液検査でその寄生虫の抗体価を調べる免疫診断の二通りがあります。

また、まず寄生虫が原因であることを確認するためには、生活歴や海外渡航歴、食事歴、性交渉歴などが重要な手がかりになるため、長引く発熱や下痢などの症状がある方は思い当たる感染の機会を必ず医師に伝えましょう。そのほかにも、以下のような検査がおこなわれることがあります。

血液検査

原因不明の発熱や腹痛などに対して一般的におこなわれる検査です。炎症の程度や各臓器に異常がないかをスクリーニングすることができます。寄生虫症では、白血球数の中の好酸球の割合が高くなることがあります。

画像検査

臓器に侵潤が疑われる場合、超音波検査、レントゲン、CT、MRIなどの検査が行われることがあります。一部の寄生虫症では、内視鏡で診断や治療をすることがあります。

治療

多くの寄生虫は、それぞれに特異的に有効な駆虫薬を投与します。また、臓器内に嚢胞などの病変が形成されている場合には、その病変部を手術で摘出することもあります。

予防

日本では、刺身や寿司などの生食文化がありますが、主に生食が一般的ではないものを加熱しないで食べることは、寄生虫を含むさまざまな感染症のリスクがあります。また海外では、日本ほど衛生状況がよくないことがあり、生ものなどを避けることなどが必要な場合があります。媒介する蚊などに対して、DEETを含む虫よけ剤なども有効です。