概要
尿道結石嵌頓とは、尿道に結石がはまり込んでさまざまな症状が引き起こされる状態を指します。よく尿管結石のことを「尿道結石」という患者さんがいますが両者は発生する場所が違う、別の疾患です。
尿は、腎臓で血液中の老廃物をろ過し、水分を吸収することで生成されます。腎臓で生成された尿は腎盂から尿管を通り膀胱に溜められます。
結石の多くは、腎盂か膀胱で形成されます。いずれの結石でも尿道から尿と一緒に流れ出てしまうことがほとんどです。しかし結石が尿管、膀胱を経て尿道まで運ばれ、尿道にはまり込んで体外へ排出されない状況が、ときとして生じます。この状況を尿道結石嵌頓といいます。
腎臓から尿道まで尿が生成されてから排出されるまでの通り道を尿路と呼びますが、全尿路結石のなかで尿道結石が占める割合は低く、非常にまれです。また、男性の発症率が圧倒的に高く、男女比は20:1程度であるといわれています。男性は尿道が長いことが原因と考えられます。
原因
尿路にできる結石には、以下のような成分のものがあります。
などです。通常、尿管を伝って出てくる結石は尿管の太さからみてもそれほど大きくはありません。ただ、これが膀胱内に出てきた後排尿でも膀胱内から出て行かず、徐々に膀胱内で大きくなる場合や、前立腺肥大症や神経因性膀胱で残尿があり、尿中で細菌が増殖し結石を形成する、などが原因と考えられます。
尿道結石は、このなかでもリン酸マグネシウムアンモニウム結石が多くを占めているとされています。また尿道憩室や尿道瘤など尿道の形状に異常がある場合に発症しやすいの言われています(特に女性)。
症状
一般の尿路結石の症状については項をお譲りしますが、結石が尿道内にはまり込んだ嵌頓の状態では、尿が出にくくなる、または完全に尿が出なくなることも少なくありません。また、尿が停滞することで腹満や腹痛、水腎症が引き起こされ、尿管を通過した際についた傷に細菌感染が生じると腎盂腎炎などの重篤な合併症を生じます。重症な場合では敗血症を起こし命にかかわることもあります。
検査・診断
尿道結石は、結石がはまり込んでいる位置にもよりますが、腹部超音波検査では確認することが難しく、一般的にはCT検査やレントゲン検査が行われます。
尿閉になっている場合に、まず導尿しようと尿道カテーテルを挿入するも入ってゆかず、そこで尿道造影や内視鏡を行って発見されるということも少なくありません。
加えて尿が出ない場合、熱がある場合は腎機能や炎症反応を調べるために血液検査が行われます。
治療
結石が尿道に嵌頓している状態では自然排泄は難しく、放置すると腎盂腎炎や膀胱炎を発症する可能性もあるため、治療は嵌頓した結石を摘出することを目的として行われます。
尿道結石嵌頓の場合には、尿道から内視鏡を挿入してレーザーで結石を粉砕する経尿道的尿道砕石術が行われますが、尿道損傷のリスクがあります。そのため、まず一度膀胱内に結石をもどして(内視鏡で押し込む、など)膀胱内で破砕することのほうが多いです。
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