症状
心臓は、心嚢と呼ばれる空間で周りを覆われています。心嚢には正常な状態でも「心嚢液」と呼ばれる液体が存在していますが、量としては10~20ml程度です。しかし、心タンポナーデの発症時には心嚢に満たされる液体の量が劇的に増加しており、原因によっては1リットル以上の液体成分が溜まっていることもあります。
心嚢に異常な量の液体が貯留すると、心臓はうまく広がることができなくなる拡張障害を起こします。本来であれば心臓が拡張する際に血液が心臓内に満たされ、その後心臓が収縮して血液が全身に送り出されます。しかし、拡張障害があると、十分量の血液が心臓に戻ってくることができなくなります。その結果、全身に送り出される血液量が低下することになります。
心タンポナーデでは全身への血液供給が不安定になるため、血圧低下が起こります。全身の血圧低下に関連して意識障害や呼吸困難、胸の苦しさを訴えます。外傷性や心筋梗塞後の心破裂などの場合は、急速に症状が現れて悪化し、ショック死することもあります。
その一方、慢性的に徐々に液体が心嚢に貯留する場合、初期の場合は無症状です。液体成分が増えるにつれて、ゆっくりと息苦しさや呼吸困難を覚えるようになります。
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