もうのうえん

毛嚢炎

同義語
毛包炎
最終更新日
2021年11月16日
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2021/11/16
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

毛包炎(毛嚢炎)とは、毛根を包む毛包や毛嚢に炎症が起こった状態のことです。具体的には、表面にとどまる炎症を毛包炎、毛包の下部まで炎症が及んでいるものを毛嚢炎といいます。毛包炎の中でも、1つの毛包にのみ生じ、硬いしこりのような皮内~皮下の強い炎症を伴う膿疱(のうほう)が現れたものを“せつ”と呼び、同様の強い炎症が複数の毛包に広がるものには“よう”と呼びます。

毛包炎(毛嚢炎)は、毛包に細菌(主に黄色ブドウ球菌)が感染することで炎症が起こります。主に顔や背中など毛の生えている部位に生じやすく、糖尿病や免疫機能の低下がみられる人は重症化しやすいといわれています。

原因

傷などから毛穴に細菌が入り込み、炎症を起こすことが原因で生じます。髭剃りやムダ毛処理の後に毛包炎が起こりやすいのはそのためです。原因となる主な細菌として皮膚にいる常在菌“黄色ブドウ球菌”と“表皮ブドウ球菌”が挙げられ、両方が同時に感染する場合もあります。

またステロイド外用薬を使用している場合も、薬品によって免疫が抑制されるため毛嚢炎(毛包炎)が起こることがあります。

症状

毛包に一致した赤い丘疹(きゅうしん)(​​​​​ぶつぶつ)や、真ん中に膿疱と呼ばれる(うみ)を持った水疱(すいほう)があり、その周りは赤みを持っています。かゆみはないことが多く、しばしば圧痛(押したときの痛み)を伴います。

毛穴があるところにはどこでもできますが、顔面や胸、腋窩(えきか)(​ワキ)といった脂漏部位や首の後ろ、太もも、お尻といった擦れやすいところにできる傾向があります。1つの毛穴だけにできることもありますが、多くの毛穴にできることもあります。

なお、毛包炎の中でも硬いしこりのような膿疱が生じる“せつ”は、強い痛みやほてりを感じることがあります。また、複数の毛包に広がる“よう”でも、強い痛みが生じるほか、発熱などの体調不良が現れることもあります。

検査・診断

 毛嚢炎(毛包炎)では見た目の症状で判断可能なことも多いため、症状が軽い場合には特に検査は行いません。ただし、症状の程度によっては培養検査を行います。この検査によって膿疱を培養することで、どんな菌に感染しているかが分かります。原因菌が特定されると、薬剤感受性検査をすることができ、その結果によって治療に用いる抗菌薬を適切に選ぶことができます。

治療

症状が軽い場合は自然に治ることも多く、特に治療の必要はありません。痛みがあるときや数が多い場合には、抗菌薬の内服や外用を行います。1つの抗菌薬でよくならない場合には、薬剤感受性検査の結果から効果の期待できる系統の抗菌薬に変更することがあります。重症の場合には、切開によってを排出することもあります。

予防

毛包炎(毛嚢炎)の予防には、何より皮膚を清潔に保つことが大切です。汗を小まめに拭き取り、シャワーなどで洗い流すようにしましょう。また、衣服や寝具など肌に触れるものを清潔に保つことも意識しましょう。

そのほか、小まめに保湿を行い肌のバリア機能を高めることや、カミソリ・毛抜の代わりに電気シェーバーを使うことで皮膚に傷を作らないよう心がけることも効果的です。

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