すいえいかた

水泳肩

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

水泳肩とは、クロールやバタフライなどの肩関節を大きく動かす泳法を繰り返すことで、肩関節内部や周辺の腱板に炎症や断裂が生じる状態のことです。

腕を大きく回すことで推進力を得るクロールやバタフライは、肩関節に過度な負担を引き起こします。肩関節周囲には多くの筋肉が存在し、肩関節と腱板でのつながりを持ちますが、これらの腱板が腕のストローク運動の際に上腕骨の大結節と擦れ合うことが主な原因です。また、水泳肩は野球肩と呼称される場合もあります。

原因

クロールやバタフライは腕の連続的なストローク運動によって推進力を得る泳法です。このため、一回の練習で数百回の肩関節運動が生じ、他のスポーツよりも肩を酷使するスポーツといえます。

特にクロールでは、水面から抜いた片腕をやや後方に挙上し、再び水中へ入れるという動作を繰り返します。高い推進力を得るには、肘を高くキープすることがポイントとなりますが、この際に肩関節は内旋位と呼ばれる状態になります。

内旋位の肩関節では、肩関節を構成する上腕骨の大結節とそこに付着する上腕二頭筋や棘上筋、棘下筋などの腱板が衝突し、擦れ合った状態となります。腕のストローク運動を繰り返すことで、このような腱板へのダメージが繰り返されて腱板の血行が悪くなり、炎症を起こしたものが水泳肩です。

また、バタフライでは肩関節に強い力で断続的な衝撃が加わるため、肩関節内部の肩峰下滑液包や関節唇などが傷つき痛みを伴うこともあります。

症状

水泳肩の主な症状は、水泳時に肩関節周囲に違和感を覚えることからはじまり、さらに悪化すると肩関節の後面を中心に痛みを生じます。やがて内旋位の状態を維持することができなくなり、安静時にも痛みを生じるようになります。

また、肩峰下滑液包に炎症が生じた状態で無理なトレーニングを続けていると、痛みが強くなるだけではなく、腱板が断裂することもあるので注意が必要です。腱板の断裂が生じると、腕をひねったときに痛みが強くなり、肩の挙上がスムーズに行えなくなるばかりでなく、筋肉の萎縮によって外見的な左右差も現れるのが特徴です。

検査・診断

診断のために行われる検査は身体診察と画像検査が主体となります。

身体診察

身体診察では、肩関節に生じた損傷によって特徴的なサインが出ることがあります。これらのサインは診断上大きなてがかりになるため重要な所見です。

画像検査

水泳肩では画像検査で異常がみられないことも多いですが、レントゲン検査やCT検査、MRI検査、超音波検査などで肩関節や周辺の骨、筋肉、腱などに異常がないかの評価が行われます。

特にMRI検査では肩関節内部の詳細な病変や腱板断裂などを観察することが可能です。

治療

水泳肩の多くは肩関節の安静と消炎鎮痛剤の内服、湿布などの保存的治療によって症状改善が期待できます。しかし、関節内部に強い炎症が生じていたり、炎症による滲出液が貯留していたりする状態では、保存的治療だけでなく、ステロイド剤の関節内注射によって炎症を抑える治療が行われることもあります。

また、腱板断裂が生じているものでは、症状の程度とその後の選手生活などを考慮して腱板を修復する内視鏡手術が行われることもあります。

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