すいぎんちゅうどく

水銀中毒

最終更新日:
2020年08月31日
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2020/08/31
更新しました
2017/04/25
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概要

水銀中毒とは、水銀が体内に過剰に取り込まれることにより異常をきたす状態を指します。水銀は天然に存在する液体金属で、気圧の測定や体温計、ランプや電池などにも利用されています。

水銀中毒が原因である有名な公害病として水俣病があります。水俣病は、窒素肥料工場から排水されたメチル水銀(有機水銀)という物質に汚染された魚介類を食べることで、発症に至りました。メチル水銀は人体に悪影響を及ぼすことが知られており、視野障害・運動失調・構音障害という3つの特徴的な症状をきたします(ハンター・ラッセル症候群)。
 

原因

水銀中毒の原因は、水銀が人の体のなかに過剰に取り込まれることです。いわゆる、水銀(無機水銀)自体は、皮膚や消化管から取り込まれるものの、脳を含む中枢神経系に移行することはできないためハンター・ラッセル症候群は発症しません。

一方、メチル水銀(有機水銀)は中枢神経系に移行してしまうため、神経細胞や神経細胞をとりまく髄鞘(ずいしょう)と呼ばれる組織に取り込まれると神経に対する毒性が発揮されます。

症状

無機水銀と有機水銀とで大きく異なります。

無機水銀による症状

腎臓や消化管に対する障害が生じるため、腹痛や吐き気、下痢、腎機能障害による気分不快感やだるさなどがみられます。

有機水銀による症状

神経障害が生じるため、手足や顔面のしびれ、ふるえなどの不随意(ふずいい)(自分の意思によらない)運動、視野異常、言葉を出しにくい(構音障害)といった症状がみられます。子どもにも大人にも大きな影響が出るのみならず、妊娠中の方が中毒になると赤ちゃんにも重大な神経の発生異常が現れます。

検査・診断

血液、尿、および毛髪を調べて水銀の値が高くなっていることを確認します。有機水銀については、頭部CT検査や脳MRI検査などの画像検査をおこなって、それ以外の明らかな原因がみられないことを確認するのも重要となります。また、一般的な血液検査や尿検査をおこなって、腎臓や肝臓の機能を中心にこれらの障害の程度を把握します。

治療

急性の中毒に対しては、解毒剤としてキレート剤を用います。キレート剤はひとつの水銀分子を取り囲むようにして水銀が体内の重要な分子に結合できないようにする作用があり、キレート剤と水銀の複合体(キレート錯体)をそのまま体の外に排出させることを促進します。

慢性的な中毒については有効な治療方法がなく、治療は困難となります。
中毒が疑われる場合には、生活のなかのどこから水銀がやってくるのかを突き止めて、水銀が体内に入る機会を最小限にとどめることが重要となります。
 

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