治療
濾胞性リンパ腫の治療方針は、ステージ、腫瘍量(腫瘍の大きさやがん細胞の多さ)、症状の有無によって決定されます。
限局期(ステージIまたはII)
病変が一部に限局している場合、主に放射線療法が推奨されていますが、進行期と同様の治療が行われることもあります。
進行期(ステージIIIまたはIV)
無症状で腫瘍量が少ない場合
直ちに治療を行わず、注意深く経過を観察する“watchful waiting”という方針が採られることがあります。治療が行われる場合は、リツキシマブ(抗CD20抗体薬)の単剤投与が選択肢となります。
症状がある、または腫瘍量が多い場合
薬物療法が標準的な治療法です。リツキシマブまたはオビヌツズマブ(抗CD20抗体薬)と、複数の細胞障害性抗がん薬(CVP療法やCHOP療法、BR療法など)を組み合わせた治療が行われます。また、再発を防ぐため、抗CD20抗体薬による維持療法が行われることもあります。
再発・難治性
再発した場合や治療効果が不十分な場合、放射線療法や抗CD20抗体薬を用いた薬物療法のほか、以下の例のようなさまざまな治療法が検討されます。
特に再発を繰り返す場合では、当初は効果の得られた治療法でも、再発後は以前と同様の治療効果が得られなくなることがあります。そのため、それまでの治療内容や、患者本人の希望、体の状態などを鑑み、治療法が選択されます。2026年時点ではCAR-T細胞療法や二重特異性抗体薬などの新たな治療法が選択肢に加わっています。
造血幹細胞移植
薬物療法後に、赤血球や白血球などに分化する前の細胞である“造血幹細胞”を静脈から投与する造血幹細胞移植が検討されることがあります。
CAR-T細胞療法
患者自身のT細胞(免疫細胞)を取り出し、がんを攻撃するように遺伝子を作り変えて戻す治療法です。複数(2種類以上)の治療法を行ったことのある患者に対して選択肢となります。
抗CD20抗体薬や細胞障害性抗がん薬以外の薬物療法の例
リツキシマブと併用して、染色体異常をもった造血幹細胞の増殖を抑える免疫調節薬(レナリドミド)が用いられることがあります。ただし、レナリドミドは胎児に影響を与える可能性があるため、妊婦は使用できません。
二重特異性抗体薬は、がん細胞とT細胞の両方に結合し、患者自身の免疫力でがんを攻撃させる薬です。2026年現在、皮下注射あるいは点滴で静脈に投与するモスネツズマブ(点滴の場合、グレード1~3Aのみ適応)と、皮下注射を行うエプコリタマブが、再発または難治性の濾胞性リンパ腫で保険適用となっています。
造血幹細胞移植やCAR-T細胞療法、二重特異性抗体薬などは治療費が高額となりますが、ひと月の医療費が上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される“高額療養費制度”という制度があります(2026年時点)。上限額は年齢や所得によって異なるため、加入している公的医療保険の窓口で確認してみましょう。
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