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Blood
濾胞性リンパ腫
血液細胞のなかで、細菌やウイルスなどに対処する白血球の一種である、Bリンパ球の一部が正常の秩序から外れて増殖したもので、悪性腫瘍、がんの一種です。 リンパ腫はホジキンリンパ腫、非ホジキンリ...
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血液
更新日時: 2017 年 09 月 13 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 09 月 13 日
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概要

血液細胞のなかで、細菌やウイルスなどに対処する白血球の一種である、Bリンパ球の一部が正常の秩序から外れて増殖したもので、悪性腫瘍、がんの一種です。

リンパ腫はホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫に分類された上で、それぞれのなかで更に細かく分類されますが、濾胞性リンパ腫は非ホジキンリンパ腫に属する低悪性度B細胞性リンパ腫に当たります。

Bリンパ球は骨髄で成熟し、末梢血中で細菌などの抗原に暴露され、リンパ節や脾臓、粘膜関連リンパ組織といった器官の胚中心と呼ばれる場所で、抗原に対処するための多様な抗体、免疫グロブリンを作る能力を獲得します。最終的には免疫グロブリンの産生に特化した形質細胞、或いは長期的に生存し再度同じ抗原が体内に侵入した際に活性化してより素早く対処するメモリーB細胞というものに分化するのが正常のBリンパ球の分化過程です。

Bリンパ球とは異なる方法で抗原に対処するTリンパ球は別の分化過程を経ます。 リンパ腫はこの分化のさまざまな段階にあるリンパ球の一部の段階にあるリンパ球が何らかの理由で異常に増殖した結果として生じます。

濾胞性リンパ腫の場合は、胚中心に存在する段階のBリンパ球であるcentrocyte、centroblastが元の細胞です。低悪性度と呼ばれる通り、病気の進行は比較的緩やかで、治療を行わなくても生存中央値は10年以上です。

非ホジキンリンパ腫のなかで比較的症例の多い病気ですが、人種差があり黄色人種での発生率は白人の半分程度です。性別による発症の差はありませんが、年をとるにつれて発生率があがり、診断時の年齢中央値は65歳程になります。子供や若年成人での発生はまれです。

原因

何らかの理由で胚中心に位置するcentrocyte、centroblastが無秩序に増殖することが原因です。濾胞性リンパ腫の患者さんの約85%で、リンパ腫細胞にt(14; 18)という染色体異常がみられますが、この異常自体は健康な方の血液や、反応性に腫大したリンパ節でもみられることがあり、更に何らかの異常が加わることが病気の発生には必要です。

このt(14;18)という染色体異常は、B cell leukemia/lymphoma 2 (BCL2)という、細胞の自己死(アポトーシス)を妨げる遺伝子の過剰な発現を引き起こし、結果としてこの異常を獲得した細胞の生存に有利にはたらきます。

症状

ほとんどの場合は、頸部、腋下、鼠径部などでのリンパ節の腫れを除いては無症状です。同じリンパ性組織である脾臓が腫大する場合もあり、その際は腹腔内での機械的な圧迫による腹部膨満感、食欲不振、便秘、排尿障害などが起こる場合があります。

血液系の悪性腫瘍に特徴的ないわゆるB症状(微熱、倦怠感、寝汗、意図しない体重減少)を診断時に生じている例は20%程度です。

検査・診断

腫大しているリンパ節が体表面にある場合は小規模な手術で、肺門部という胸の中心に位置している様な場合は通常の手術でリンパ節を切除し、それを顕微鏡での形態的な観察、細胞表面分子による分類などを行って診断します。

濾胞性リンパ腫では、リンパ腫が体内のどの部分を侵しているかによってステージを、リンパ腫が存在する組織を顕微鏡で観察した際のcentroblastの数によってグレードをつけます。グレードは1-3の段階に加えて、3を更にcentrocyteがみられるかどうかで3aと3bに分けて考え、centroblastの数が多くかつcentrocyteのみられないグレード3bは濾胞性リンパ腫のなかでも悪性度が高く(病気の進行が早く)、中悪性度リンパ腫に分類されるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と同程度の治療を行うことが推奨されます。3aをどの様に扱うかはまだ議論が分かれている状態です。

グレード3にあたる濾胞性リンパ腫は比較的まれで、濾胞性リンパ腫の約1/5程度です。細胞表面分子による分類では、CD10、CD20、BCL2、BCL6が陽性でCD5が陰性となるのが典型的です。予後は上記のグレードと、いくつかの臨床的要素、検査結果を加味したFLIPIという方法で予測をします。

治療

リンパ腫という病気の一般的な傾向として、悪性度が低く病気の進行の緩やかな物ほど根治するのが困難で、逆に進行の早いものほど治療が効いた場合は根治が可能です。低悪性度に分類される濾胞性リンパ腫では、病気自体が症状を起こすことが少なく、進み具合も緩やかですが根治は望めません。

しかし、他の病気による寿命を迎えるまで病気をコントロールすることは場合によっては可能で、治療の目的はリンパ節、脾臓の腫大による症状の緩和と、より悪性度の高いリンパ腫(特にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)への進展を防ぐことになります。

症状がなくグレードも低い場合は経過観察となる場合があります。その際は定期的な診察と血液検査で病気の進行具合を確認します。症状がある場合、病気が一箇所のリンパ組織に限局しているステージ1や複数箇所でも横隔膜の上下片方にしかリンパ腫のないステージ2では、リンパ節生検でグレード3である場合や患者さんが放射線治療を拒否された場合を除いて、基本的には局所的な放射線治療を行います。病変自体が大きい場合にはリツキシマブというB細胞表面のCD20という分子を標的にした薬剤と場合によっては化学療法を放射線治療と組み合わせて行います。

横隔膜の上下両方に病変のあるステージ3、リンパ組織以外(骨髄など)にも病変が及んでいるステージ4で症状がある場合は、リツキシマブと化学療法を組み合わせたBR療法やR-CHOP療法という組み合わせが用いられます。特にグレード3bの場合、副作用はBR療法より強いですがR-CHOP療法の方が、患者さんの体力が許す場合は望ましいです。そうでない場合はBR療法の方が副作用は少ないですが、どの治療法を用いるかは病院の方針や医師の経験によるところが大きいです。

患者さんの元々の健康状態が優れない場合は、化学療法を組み合わせることで副作用により逆に状態を悪化させることもあるのでリツキシマブ単体で治療することもあります。 治療開始後は腎機能や肝機能に問題が出ていないかを確認するための血液検査や、リンパ腫に対する治療効果がどの程度出ているかを確認するためにPET検査などを行います。悪性腫瘍の治療は日進月歩ですので、治療方針に関しては最新の治療に詳しい担当医師とよく相談の上決定してください。